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» 2018年11月05日 09時00分 公開

DMM.makeの中の人に聞く「IoTとスキル」(4):本当にIoTでなければ解決できないのか

IoTを業務に活用したい人たちをサポートしている、DMM.make AKIBAのスタッフへのインタビュー。今回は、DMM.make AKIBAでテックスタッフとして活躍している日野圭氏。

[杉本恭子, 監修/DMM.make AKIBA,MONOist]

 IoTを業務に活用したい人たちをサポートしている、DMM.make AKIBAのスタッフへのインタビュー。今回は、DMM.make AKIBAでテックスタッフとして活躍している日野圭氏。

>>前回:「何でも分かる」は強みか弱みか

プロフィール

日野 圭(ひの けい)/DMM.make AKIBA テックスタッフ

DMM.make AKIBAのテックスタッフとして、施設運営および電気系・クラウド技術が関わる受託開発を担当。 大阪市立大学大学院修了後、日本電気株式会社にてコンピュータ回路設計とFW設計を経て、ワークステーションのOEM開発PMを担当。要件検討から保守まで、複数の企業とのハードウェアビジネスを経験。 その後、ビッグローブ株式会社にてWebインフラおよびDBを担当。2016年より現職。DMM.make AKIBA 企業向けIoT人材育成研修の講師を務める。



IoTの世界はチームで動くことが必要

―― 日野さんは「IoT人材」という表現に違和感を覚えるそうですね。

日野 はい。IoTの世界は、1人ではできない、チームで動かなければいけないと考えているからです。IoTを構成している「モノ」と「データ」と「インターネット」は、そもそも異なる技術分野です。それぞれを専門とする人が、自分以外の分野についても少しずつ理解したうえでコミュニケーションを取り合い、全体を見ているプロダクトの責任者に集約する、という体制が必要だと私は思っています。ただ、実際はなかなかこうはならず、全体を浅く理解している人がなんとか引っ張っているというのが現状だと思います。

―― 日野さんの考えるIoTの仕事をするチームの実現が難しいのはなぜでしょう。

日野 1つには、技術分野によって考え方、感覚がまったく違うことがあると思います。電機メーカーでは、ハードウェアの人たちはソフトウェアを作るために必要な資料を作るし、ソフトウェアの人たちはそれを見てコードを書いているので、お互いにまったく知らないということはないはずです。しかし、物理的な世界を相手にするハードウェアの担当と、論理的な世界を相手にするソフトウェアの担当の間で、その感覚的な溝がなかなか埋まらないのです。

 また昨今は、ハードウェアでもアジャイル的な開発がしやすい環境になってきていますが、物理的にモノが相手なので、費用や時間のコストを考えると、ある程度ウォーターフォールにならざるを得ません。結果、ソフトウェア側はそのスケジュールに影響を受けてしまいます。メーカーの中で仕事をしていると、担当分野の仕事だけをし続けることが多いので、複数分野にまたがった知識を持つ人が生まれにくいのかもしれません。

―― ということは、自分の専門以外も少しは知っておくということが大事そうですね。

日野 IoTの機器や仕組みを作るならば必要だと思いますね。エンジニアとして生きていくという意味でも、意義のあることだと思っています。相手の分野の言葉が分かればコミュニケーションが取りやすいですし、自分がこう作ると、相手はどうするかということをイメージしながら、円滑に進められると思います。

本当にIoTでなければ解決できないか

―― 今後、IoTがもっと活用されたらいいと思う分野はありますか。

日野 IoTの「T」は「Things」、つまりモノなので何でもアリだと思うのですが、現時点では電気的なモノに偏っている気がしています。ファブリック系のものも多少出てきていますが、どちらかというとアート的な文脈のものが中心で、量販店や百貨店で売られる実用的なものが出てこないのは残念だなと思っています。「Things」だということを分かったうえで、そこにプラスするという発想もアリなのかな、と思います。

 もう1つ思っているのは、スマートホームです。スマートホームは、実際は新築でしか実現されません。建てるときから仕込むほうがいいのは分かりますが、レガシー資産としての家をスマート化するとか、高齢の方でも使えるように使い勝手を変えずにスマート化するとか、そういう視点のIoTも出てきてほしいと思います。

―― 最後に、IoTを業務に活用できる人になるために、1つだけアドバイスするとしたら。

日野 例えば「このデータを集められるIoT機器を作って欲しい」というようなご相談はよくありますが、意外とはっきりしていないのは「なぜ必要なのか」ということです。課題を解決するというアプローチならば、まず課題が何かを明確にしないと役に立つ仕組みをつくることができません。

 そのうえで、本当にIoTでなければ解決できないのかを先に考えたほうがいいと思います。「新しいから」「話題になっているから」とコストをかけても、課題を解決できるとは限らないからです。AIも同じです。流行ってはいますが、ディープラーニングでなくとも、普通の回帰分析などでも十分かもしれない。IoTもAIもあくまでもツールなので、課題の解決に最適なのかどうかを考えることをお勧めします。


 次回は、DMM.make AKIBA 技術顧問の阿部潔氏が登場する。(次回に続く)

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執筆・構成:杉本恭子(すぎもと きょうこ)/フリーライター



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