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» 2018年11月08日 10時00分 公開

小寺信良が見た革新製品の舞台裏(11):ソニーが「発明」した新しい音体験、「ウェアラブルネックスピーカー」の秘密 (1/4)

ここ最近注目を集めている「ネックスピーカー」というオーディオの新ジャンルを生み出したのが、2017年10月発売のソニーのウェアラブルネックスピーカー「SRS-WS1」だ。今回は、このSRS-WS1の開発に関わったメンバーに話を聞いた。

[小寺信良,MONOist]

 ここ最近、オーディオ装置としてにわかに熱い注目を集めているのが、いわゆる「ネックスピーカー」である。2017年10月にソニーが発売し、大きな注目を集めて以降、次々とフォロワーを生み出した。現在では有名無名合わせて10種類以上の製品が市場に出回っている。オーディオは比較的動きが遅い業界だが、たった1年で1つのジャンルを形成するまでに至った、ということになる。【訂正あり】

 中でもソニーのウェアラブルネックスピーカー「SRS-WS1」は、異常な人気に生産が追い付かず、2018年3月には受注停止となった。その間に競合他社の参入を許した結果となったが、同年9月に販売を再開するや、再び順調に売り上げを伸ばしている。

「ネックスピーカー」という市場を創出した「SRS-WS1」 「ネックスピーカー」という市場を創出した「SRS-WS1」(クリックで拡大)

 今回はSRS-WS1の開発に関わったメンバーに、製品の開発経緯や市場の広がりなどについて伺ってみたい。今回インタビューしたのは、ソニービジュアルプロダクツ TV事業部 商品設計部門 商品設計4部 TVペリフェラル設計課 プロダクトマネジャーの伊藤洋一氏、同社 企画マーケティン部門 商品企画部 企画1課の宮崎里紗子氏、TV事業部 商品設計部門 商品設計4部 TVペリフェラル設計課 エンジニアリングマネジャーの澁谷健一氏である。

【訂正】宮崎氏の名前、伊藤氏と澁谷氏の所属部署名に誤りがありました。本文は修正済みです。

「SRS-WS1」の開発に関わったソニービジュアルプロダクツのメンバー 「SRS-WS1」の開発に関わったソニービジュアルプロダクツのメンバー。左から、伊藤洋一氏、宮崎里紗子氏、澁谷健一氏

人気が沸騰した背景

―― 2017年10月に発売されて、およそ5カ月で受注中止となって少なからず驚きました。逆に言えば、ソニーとしてもそんなに売れるとは思っていなかったということでしょうか。

ソニービジュアルプロダクツの宮崎里紗子氏 ソニービジュアルプロダクツの宮崎里紗子氏

宮崎 発売は2017年10月頃なんですけども、2018年3月にあるテレビ番組で本製品を取り上げていただきましたところ、1週間であっという間に全ての店頭から製品が消えてしまいました。われわれもびっくりしたんですけれども、それで一時生産中止ということになってしまいまして、ご迷惑をおかけしました。

 2018年9月に再販を開始したんですが、その後もまた人気が戻って本当に良かったです。待っていてくださった方がたくさんいらっしゃって、安心しました。

伊藤 その番組は「やらせなし」と言いますか、これを気に入って買っていただいた芸人さんが、自分が気に入っているところとか体験をストレートに表していただいたことで、お客さまがご自分で気がついたんですね。「ながら」に良いとか、映画館みたいとか。うちのマーケティングが同じことを言っても、同じようには響かなかったかなと思います。

―― そういう点では、ある意味巨大口コミで広まった商品といえるかもしれませんね。

宮崎 テレビを起点にして、ネットで広がった商品なんです。いいねと思った方がTwitterなどのSNSで発信して、そこからネットで直接購入された方が多いんですね。これは推測ですけれど、それだけ多くの人がいい評価をしてくださったところが安心感につながっていて、実際に体験しなくても買って頂いている方がかなりいらっしゃったのかなと思います。

―― これまでになかったものなので、ある意味説明商品ではあるんでしょう。だけどコンセプトが分かりやすく、効果も想像しやすい商品だったのではないでしょうかね。料理しているときにこれがあったらいいかも、といったひらめきにつながりやすい。みんながそれぞれのメリットを思い浮かべられるというところが、ポイントだったのかもしれませんね。

「SRS-WS1」は効果の想像しやすい商品だった 「SRS-WS1」は効果の想像しやすい商品だった 出典:ソニー
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