JIMTOF 2018 特集
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» 2018年11月08日 07時00分 公開

JIMTOF2018:頭脳を持つ製造機械は“計画的に止まる”、ファナックがAIの用途拡大

ファナックは「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)において、製造機械におけるAI活用の多様なソリューションを出展した。新たに主軸の故障監視や熱変異補正、AIサーボチューニングなどを紹介している。

[三島一孝,MONOist]

 ファナックは「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)において、製造機械におけるAI活用の多様なソリューションを出展した。新たに主軸の故障監視や熱変異補正、AIサーボチューニングなどを紹介している。

主軸を計画保全する「AI主軸モニター」

 ファナックでは、2015年に機械学習技術を持つベンチャー企業のPreferred Networks(PFN)と提携以降、産業用ロボットをはじめとする製造機械でのAI活用に積極的に取り組んできた※)

※)関連記事:人工知能を持つ工作機械実現へ一歩、一歩――ファナックがPFNと資本提携

 ロボットアームを活用したばら積みピックアップを強化機械学習によって実現する取り組みなどの他、射出成形機の消耗品についての予防保全などさまざまな用途での適用を進めてきた※)

※)関連記事:射出成形機にAI搭載、ファナックが深層学習技術で予防保全

 今回のJIMTOFで新たに参考出展したのが、工作機械の主軸の故障監視にAIを活用した技術「AI主軸モニター」である。

photo 主軸のイメージ(クリックで拡大)

 AI主軸モニターは、機械学習により異常度を算出し故障を監視するものだ。主軸が故障すると交換に大きな負担が発生するが、突然の故障を予測できるようにすることで計画保全を実現する。「工作機械の主軸は壊れにくいように見えるが意外に壊れる。そして、壊れると交換や修理に大きな手間が発生し、生産ラインを長く止めてしまうことになる。そういう課題を解決するために開発したのが『AI主軸モニター』である」と担当者は述べている。

実データで学習モデルを作成

 ポイントは、新たなセンサーやハードウェアを設置することなく実現できる点である。データの取得はファナックのデータ収集ソフトウェア「MT-LINKi」で行い、主軸のトルク値データを収集する。このデータの中で異常を示す特徴点を抽出し、異常度をスコアリングして示すというものだ。

photophoto 異常度が低い正常の場合(左)と異常度が高くなっている状態(右)(クリックで拡大)出典:ファナック

 稼働している主軸のトルク値をデータとして取得する場合、膨大なデータ量になるが「ファナックが持つ現場の機器および制御における知見により、関係のあるデータのポイントを理解できていることが大きな価値を持つ。この知見から、主軸故障に関係するデータだけを抽出するアルゴリズムを事前にインストールしておくことで、意味のあるデータを蓄積できる。そのデータから学習するため、短い時間で精度の高い故障予測を行えるようになる」(担当者)としている。

 「AI主軸モニター」の特徴は、事前に学習モデルをインストールした推論ベースのエッジ端末を活用しているのではなく、実データを使った学習を現場で行っているという点だ。「実データを基に学習モデルを構築するので、現場環境の差異などに応じた高精度のモデル構築が可能となる。また、学習時間も短く抑えることが可能で、3日で学習し4日目からは本番稼働が可能だ」(担当者)としている。学習に必要なハードウェアも市販のWindows 10搭載PCであれば問題ないとしている。

 担当者は「いくらAIが便利だといっても、製造現場では手間がかかる機能は使われない。新たなハードウェアの設置やITの知識などがそれほどなくてもすぐに使えるという点が強みだ」と述べている。

photo AI主軸モニターの適用例。正常状態から劣化、故障の予兆までの変化を把握できるため計画保全が可能となる(クリックで拡大)出典:ファナック

 ファナックではJIMTOF2018でこの「AI主軸モニター」に加えて、機械学習を利用し工作機械の温度変化による精度の悪化を補正する「AI熱変位補正」や、サーボモーターに対し機械学習により自動で最適化し、機械振動を回避する「AIサーボチューニング」などを紹介していた。

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