JIMTOF2022 特集

フィン造形やギア加工が1台で! ハイブリッド複合加工機の魅力JIMTOF2018

ヤマザキマザックは、「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)において、青色レーザーを用いた金属積層造形、摩擦撹拌(かくはん)接合、ギア加工・計測機能を備えた“ハイブリッド”複合加工機をそれぞれ展示し、同社が持つ工程集約技術を訴求した。

» 2018年11月09日 12時00分 公開
[松本貴志MONOist]

 ヤマザキマザックは、「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)において、青色レーザーを用いた金属積層造形(AM:Additive Manufacturing)、摩擦撹拌(かくはん)接合(FSW:Friction Stir Welding)、ギア加工・計測機能を備えた“ハイブリッド”複合加工機をそれぞれ展示し、これら工作機械を活用した工程集約のメリットをアピールした。

純銅の3次元積層造形を可能にした世界初のAM複合加工機

 「VARIAXIS j-600/5X AM(BLUE LASER)」は、AMに世界初(同社調べ)となる青色半導体レーザー発振器を利用した同時5軸複合加工機だ。青色レーザーをAMの熱源に用いたことにより、これまで困難だった純銅の3次元積層が可能となった。

ブースで展示されたVARIAXIS j-600/5X AM(BLUE LASER)(クリックで拡大)

 レーザー式AMでこれまで熱源に用いられてきた近赤外線レーザーは、銅や金などの高反射率材料を十分に融解できず母材金属との結合が不完全となるため、AMを行うことが困難だった。同製品では島津製作所が2018年1月に製品化した波長450nm、出力100Wのレーザー発振器を3台搭載し、発振器から照射されるレーザービームをマルチビーム加工ヘッドで集光することで純銅粉末の溶融に十分なパワー密度を確保した。

 ヤマザキマザックでは同製品でAMと切削加工を段取りなしで完結できることを打ち出しており、ヒートシンクのフィンやギア表面の銅コーティング、エンジンのバルブシートなどの生産で工程集約が可能になるとする。また、ワークの必要部分のみに高機能材料を積層することで、焼き入れなど特殊処理を行った部品と同様の機械特性を持ちつつも、小ロット対応や加工リードタイムの大幅な削減が可能なこともメリットとしている。

一部分のみ高機能材料を積層造形したワーク (クリックで拡大)

 同社ブースでは、同製品を活用してモーターのステータースリーブに銅のピンフィンを造形するデモを実施。AMと切削加工を組み合わせた加工品も数多く展示していた。

ギア加工機能も1台で完結するINTEGREX AGシリーズ

 また、ヤマザキマザックブースでひときわ存在感を放っていた工作機械が、「INTEGREX e-1250V/8S AG」だ。同製品は最大で直径1450×1600mmのワークに対応する大型複合加工機に、歯車加工専用機の機能を集約したことが最大の特徴となる。

INTEGREX e-1250V/8S AG (クリックで拡大)

 歯車加工では複数の機械加工が必要なため、従来の工作機械では多くの段取り替えが発生していた。同製品では、同時5軸複合加工に加えてスカイビング、ギアリミング、ホブ、バリ取りといった加工機能と、位相検出および歯面計測といった検査機能を1台に集約。歯車生産のリードタイムを削減するとともに、「歯車精度でISO 7級に対応する加工精度も持つ」(同社担当者)という。

 また、同社製CNC装置に搭載された対話式プログラミング機能を活用することで、歯車加工に必要な専門知識やCAD、CAMを不要としつつ短時間かつ容易に加工プログラムを作成できる。同社担当者は「今まで精度の問題で歯車の内製を諦めていた会社でも、内製化を実現する複合加工機となっている」と話している。

 INTEGREX e-1250V/8S AGの販売価格は1億6250万円からと設定されている。中小型品の生産に向く歯車加工ハイブリッド複合加工機「INTEGREX i-200ST AG」は、7600万円(いずれも税別)からとしている。

歯車加工の様子(クリックで拡大)

 その他、門形マシニングセンタにFSW機能を搭載したハイブリッド複合加工機「FJV-60/80 FSW」も展示され、半導体製造装置用のバッキングプレートを生産するデモを行っていた。

左:デモ動作する「FJV-60/80 FSW」の加工室内 右:FSWで製造されたバッキングプレート(クリックで拡大)

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