特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

WRS2018ものづくり部門レポート〜絶食のドラえもんを救うチームは現れたのか?World Robot Summit徹底解剖(4)(5/5 ページ)

» 2018年11月12日 10時00分 公開
[大塚実MONOist]
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レベル4のチェーンを選んだのは……

 サプライズパーツへの対応がユニークだったのはSDU Roboticsチーム。このチームのハンドは指先が交換可能になっており、それが3Dプリンタで作られている。会場には3Dプリンタを持ち込んでおり、サプライズパーツのデータが来てすぐ、対応する指先を3セット出力したそうだ。

ロボットハンドはカナダ製 ロボットハンドはカナダ製。2本の指が付いており、指先パーツを交換可能(クリックで拡大)
同チームの作業エリアには、本国から持ち込んだ3Dプリンタが 同チームの作業エリアには、本国から持ち込んだ3Dプリンタが(クリックで拡大)
サプライズパーツ用に用意した3セット サプライズパーツ用に用意した3セット。標準品用に6セットが別にある(クリックで拡大)

 見ていて面白かったのは、イギリスの「Cambridge Robotics」チームだ。最も難しいレベル4のサプライズを選択したのは、唯一このチームのみ。「逆転を狙って選んだ」とのことで、チェーンの取り付けができるのか注目されたが、残念ながら途中で終了。ただ、一部のサプライズパーツの取り付けには成功し、加点を得て44点で2位となった。

Cambridge Roboticsのチャレンジ(クリックで再生)

 外から見ていると、何だか強引なやり方のようでいて、それでもなぜかうまくいくのが不思議だったのだが、このチームは組立タスクでカメラの画像は使わず、位置制御と力覚制御のみで行っていたとのこと。物体の認識無しでここまでやれるというのは、ちょっと驚きである。

1個目の標準品 1個目の標準品。ドライバーの先端が刺さったままだが……(クリックで拡大)
どう見ても穴位置がズレているが、ここからなぜか入ってしまう どう見ても穴位置がズレているが、ここからなぜか入ってしまう(クリックで拡大)
2個目はここまで完成 2個目はここまで完成。サプライズパーツのギアが付いている(クリックで拡大)

 このチームは、グリスの粘着力でボルトをピックアップするというやり方がユニーク。3本指のハンドは、リングの位置を上下に動かすことで、大きいものも小さいものも中心で持てるようになっていたのが特徴的だった。

同チームのハンド 同チームのハンド。先端のリングで3本指を開閉する(クリックで拡大)

優勝はデンマーク、日本も善戦

 以上の結果、WRS2018ものづくり部門で1位となったのはSDU Roboticsチーム。同チームは初日のタスクボードタスクで圧倒的なスコアを出しており、結果的には、それを最後まで守り切った形だ。2位は全タスクで3〜4位と安定していた「JAKS」チーム、3位は組立タスク1位のFA.COM Roboticsチームと、日本の2チームが入った。

優勝したSDU Roboticsチーム 優勝したSDU Roboticsチーム(南デンマーク大学)(クリックで拡大)
WRS2018のものづくり部門の結果 WRS2018のものづくり部門の結果(クリックで拡大)

 SDU Roboticsは、メンバー11人が来日。ロボットを1セット競技会に持ち込んだほか、もう1セットは本国に残してきたそうで、そうした万全の開発体制を敷いていたことも勝因の1つではないだろうか。チーム代表のChristian Schlette氏は、「難しかったがエキサイティングなタスクだった。2年後の本大会にも挑戦したい」とコメントした。

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