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» 2018年11月29日 09時00分 公開

IoTのイノベーションは問題解決から(5):深掘りによるIoT実現の種さがし

いよいよ今回からはIoT導入の種となる“問題そのもの”を特定するための具体的なテクニックについてお話していきます。

[馬場秀樹(株式会社VSN),MONOist]

>>前回:IoTの基となる「問題解決」とは

 いよいよ今回からはIoT導入の種となる“問題そのもの”を特定するための具体的なテクニックについてお話していきます。

 以前お伝えした自動運転は「交通事故を防ぐ」ことが重要なテーマの1つですが、自動運転は交通事故自体を防ぐことを目的とした技術ではありません。……何やら禅問答のようで分かりにくいので、例を交えて解説していきますね。

 例えば、道路に巨大な落とし穴があったとします。その穴が表面上、分からなかった場合は自動運転で落下を回避することはできないでしょう。私の知っている限り、自動運転は落とし穴には対応できていません。あくまでこれは極端な例ですが、交通事故の原因の1つとなり得る落とし穴は、自動運転でも安全に走ることはできない。つまり、自動運転とは複数ある交通事故の原因のうち、いくつかの原因を回避することを目的として設計されているのです。

 では、交通事故を回避する方法として自動運転が選択されるまで、どのようなプロセスをたどってきたのでしょうか。事故の原因を挙げようとすると、整備不良・自分の運転ミス・相手の運転ミス・天災・第三者の悪意などが思い浮かびますが、単純に思い付いた原因を挙げていても事故回避のソリューションとして自動運転を開発するには至りません。

 最適なソリューションを選択するためには、「起こり得る全ての原因」を出し、「問題の深掘り」をすることによって、問題の本質を見つけることがとても重要になってきます。自動運転の場合には、以下のように原因の深掘りをしていくことができます。

 こうして深掘りをするとさまざまな原因があることが分かりますね。そのなかでも「自分や相手の運転ミス」のソリューションが自動運転だったわけであり、この場合の問題をさらに深堀ってたどり着く本質は「人は身体的な状態や、感情、集中力などが運転に影響するため、人が運転している限り運転ミスを排除できない」となります。従来利用されている「自分や相手の運転ミス」に対応可能な解決方法には、運転代行やタクシーなどがあるかと思いますが、ほとんどのソリューションが結局、“人”に依存していたり、高い人件費がかかったりと課題がありました。しかし、自動運転が可能な技術の開発と低コスト化が実現できているから自動運転が“魔法のつえ”として世の中に出てきたのでしょう。

 正しい深掘りのやり方が分からない人も多いと思いますが、簡単です。「なぜ」で質問する形式を取ってみましょう。例えば、「なぜ、自動車の整備不良は起こるのか?」「なぜ、自分の運転ミスは発生するのか?」といった具合です。これによって答えを出しやすくなるだけでなく、いろいろな人に質問して幅広い原因を見つけ出すこともできます。メーカー系企業で使われる「問題のなぜなぜ分析」と同じですね。この問いを多くの人に行うことはもちろん、過去の事例から拾い上げたり、当事者に聞いたりすることで、より深掘りの内容が充実していくことでしょう。


 今回は自動運転を想定して自動車事故の原因を深掘りしてみましたが、次回は別の事例を用いて、より本格的に深掘りを行ってみたいと思います。

筆者プロフィール

株式会社VSN 馬場 秀樹

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2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。

現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。

株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/


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