パナソニックが描く100年の先にある未来
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» 2018年11月29日 11時00分 公開

メイドインジャパンの現場力(21):市場減少の中で勝ち残る“モノづくり”、パナソニック群馬工場の取り組み (1/2)

新設住宅数着工戸数の減少が進む中で、住宅関連設備の国内市場は今後減少していくことが予想されている。厳しい環境下にありながら、数量もシェアも拡大することを目指しているのがパナソニックである。なぜそうした取り組みが実現可能なのだろうか。モノづくり面から群馬工場での取り組みを追う。

[三島一孝,MONOist]

 人口減少時代に入り、国内ではさまざまな領域で市場減少が進んでいる。その中でも厳しさが加速度的に高まると見られているのが、住宅関連設備である。市場減少時代を迎え苦境に立つ中で、パナソニックでは新素材の展開により、逆境を踏み越えて、シェアと数量ともに成長を目指すという。なぜこうしたことが可能なのだろうか。本稿では、パナソニック エコソリューションズ内装建材 群馬工場での取材を通じて、モノづくり面での取り組みを紹介する。

photo パナソニック エコソリューションズ内装建材 群馬工場の外観(クリックで拡大)

建材や住宅設備は市場縮小時代に

 パナソニックの中で建具や床材などの事業を扱うのが、パナソニック エコソリューションズ社のハウジングシステム事業部の建築システムビジネスユニット(BU)である。同ビジネスユニットでは、住宅用の内装ドアやクローゼット扉、収納開き扉、床材、床暖房、インテリアカウンター、階段といった建具や床材など、主に木工製品の設計から製造、販売までを担っている。

 建具や床材は主に、新設住宅の着工戸数および新設住宅着工床面積との相関性がある市場である。これらの製品は住宅の新設時に最も売れるものだからだ。しかし、新設住宅着工数は2006年頃から減少傾向が続いている。さらに人口減少時代に入り、今後も増加傾向になることは望めない状況である。

 市場は縮小する一方でさらに競合関係は変わらない。「家作りにおける工夫を提案し、独自性を打ち出し、差別化を進めていくことが何よりも重要になっている」とパナソニック エコソリューションズ社 ハウジングシステム事業部 建築システムBU BU長の倉本知典氏は述べる。

photo 新設住宅着工戸数および着工床面積の推移(クリックで拡大)出典:パナソニック

 こうした数量ベースでの停滞傾向の一方で、インテリアにおけるエンドユーザーのニーズを見てみると「自分好みにしたい」という多様化が進んでいる状況である。パナソニックではこのような傾向に合わせて、商品戦略面では製品体系の再整理を行うとともに、技術的なブレークスルーを生かして差別化を進めていく方針を示す。一方でこれらの多様化と効率化の両面が求められる中で、生産体制については「止めない工場の実現」に取り組んでいる。

木質エイジング技術により実現

 商品戦略面でカギを握るのが、ナチュラルウッドよりも木目など木の風合いを美しく表現することができる「Meister's Wood(マイスターズウッド)」シリーズである。同シリーズは、特殊な水熱処理により木目を際立たせ、照りを引き出す「木質エイジング技術」により実現する。従来は着色などで強調する処理を行ってきたが、同技術を使えば塗料などを使用することなしに、木の風合いや高級感を作り出すことができるという。「色を付けるのではなく木そのものの発色を際立たせる技術だ」(倉本氏)としている。

photo 木質エイジング技術の概要(クリックで拡大)出典:パナソニック

 パナソニックではこの木質エイジング技術を核とし、床材だけではなく建具などにも同技術を使用した木材による製品を提供し、差別化を実現していく方針を示している。合わせて、キズがつきにくくしたり、アレル物質の影響を抑制したりする機能などを加えたコーティング技術などにも積極的に取り組み、技術力を生かした差別化を強化していく方針である。

photo マイスターズウッドを使用したイスの試作品。木目などが際立ち高級感を演出できる(クリックで拡大)出典:パナソニック

 これらの技術力を生かした製品戦略の一方で、モノづくり面ではより一層の効率化や柔軟性が求められるようになってきている。

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