中小製造業の労働生産性向上の現在地、多能工化や設備投資は何をもたらしたか2018年版中小企業白書を読み解く(3)(3/6 ページ)

» 2018年11月30日 11時00分 公開
[長島清香MONOist]

設備投資による労働生産性の向上

 労働人材不足に対する施策として挙げられた「設備投資による省力化」について、中小企業白書2018では、中小企業の設備投資の状況や設備投資による労働生産性の向上について、各種統計調査や「人手不足対応に向けた生産性向上の取り組みに関する調査」を用いて分析している。

中小製造業における設備投資額は増加傾向

 まず初めに中小企業の設備投資額の推移を確認すると、リーマンショック後の2009年に大きく落ち込んだ後、しばらく伸び悩んでいたが、2013年に入ると緩やかに伸びはじめていることが分かる(図9)。

photo 図9:企業規模別設備投資の推移(クリックで拡大)出典:中小企業白書2018

 これら中小企業の設備投資額を業種別に確認してみると、製造業においてやや一服感が見られるものの、総じて見れば製造業、非製造業とも緩やかな増加傾向にある(図10)。しかしながら、いずれの業種もリーマンショック前の水準には達していない。

photo 図10:中小企業の業種別設備投資額の推移(クリックで拡大)出典:中小企業白書2018

 設備投資の実施率については、2010年以降、製造業、非製造業ともに緩やかな増加傾向にあり、直近ではリーマンショック前の水準を上回るなど中小企業の設備投資に広がりが出てきていることが分かる(図11)。

photo 図11:業種別中小企業の設備投資実施比率(クリックで拡大)出典:中小企業白書2018

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