特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

“ラインイベントゼロ”実現へ、オムロンが機械制御向けAIベンチャーと提携スマートファクトリー(1/2 ページ)

オムロンは2018年11月29日、製造ラインで発生する不具合などをゼロにする“ラインイベントゼロ”を目指し、AIベンチャーのエイシングと提携し、制御機器向けAIエンジンを共同開発することを発表した。

» 2018年11月30日 12時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 オムロンは2018年11月29日、製造ラインで発生する不具合などをゼロにする“ラインイベントゼロ”を目指し、AIベンチャーのエイシングと提携し、制御機器向けAIエンジンを共同開発することを発表した。

photo 提携を発表したオムロン 執行役員 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 技術開発本部長の福井信二氏(左)とエイシング 代表取締役CEOの出澤純一氏(右)(クリックで拡大)

“ラインイベントゼロ”実現へ

 オムロンは、製造現場の革新に向けてモノづくり革新コンセプト「i-Automation」を推進。「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の協調)」の3つの方向性での革新を訴えてきた。これらを実現する技術的な要素として、IoT、AI、ロボティクスを挙げ、それぞれで強化を進めてきている※)

※)関連記事:「生産革新のノウハウ」を販売へ、オムロンが2020年度に500億円目指す

photo 「i-Automation」を実現する技術アーキテクチャ(クリックで拡大)出典:オムロン

 これらの進化により実現したい価値としてオムロンでは“ラインイベントゼロ”を掲げる。「ここで指すイベントとは、異常停止や歩留まり低下などを指す。各種機器だけでなく製造ライン全体を通して、異常を未然に防止し、止まらないラインを実現したい」とオムロン 執行役員 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 技術開発本部長の福井信二氏は語る。

 これを実現するのに欠かせないのが、エッジ領域でのAI活用である。福井氏はラインイベントゼロに対し「製造ラインの変動要素は4M(人、機械、材料、加工方法)であるが、製造ラインが自らこの4M変動を学習し続け、自律的に制御するという仕組みが必要となる。これには現場側で学習し続け、自律的に判断し、高速応答性を持って制御をフィードバックするAI技術が必要だ」と語る。

photo オムロンが目指すラインイベントゼロ(クリックで拡大)出典:オムロン

 そして、この現場での自律的なリアルタイム制御を実現するAI関連技術として白羽の矢を立てたのがエイシングが保有するAIアルゴリズム「ディープバイナリーツリー(DBT)」である。

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