ET & IoT Technology 2018 特集
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» 2018年12月05日 10時00分 公開

ET2018獣道レポート:ET展で組み込みAIはなぜ盛り上がらないのか (1/3)

2016年、2017年に引き続き、エレクトロニクス/組み込み分野に詳しい大原雄介氏による「ET2018/IoT Technology 2018」の“獣道”レポートをお送りする。中国発の注目のArmチップや新たなLPWA規格などの展示があったものの、組み込みAI関連の展示は盛り上がらなかったようで……。

[大原雄介,MONOist]

 毎度おなじみ(?)、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」(2018年11月14〜16日、パシフィコ横浜)の獣道レポートを今回もお届けしたいと思う。ちなみにまっとうなレポートはこちらあるいはこちらにまとまっているので、まずはお読みいただければ、と思う。

RockChipがやってきた

 「COMPUTEX TAIPEI 2018」のレポート記事でも紹介したが、組み込み向けのArmの市場に、NXP Semiconductorの次なる勢力の候補として存在感を示しつつあるのが中国のRockChip。そのRockChipだが、ET2018の会場でもブースを構えて製品アピールを行っていた(Photo01〜07)。

Photo01Photo02 (左、Photo01)RK3288搭載SOMとマザーボード。SOMはQseven準拠の模様。(右、Photo02)同じくQseven準拠ながら、PX3-SE(Quad Core Cortex-A7+Mali-400MP2内蔵SoC)を搭載するSOMとマザーボード。右に搭載されるのは、MeiG Smart SLM730(LTE M2Mモジュール)。ただし、これって技適を通ってるんだろうか?(クリックで拡大)
Photo03Photo04 (左、Photo03)搭載されるのはPX3-SEながら、SOMではなくマザーボードじか付けになっているSBC。画像出力が見当たらないあたりは、ヘッドレスシステム(映像出力が不要な機器)向けに思える。(右、Photo04)同じくRK3288搭載のSBC(クリックで拡大)
Photo05Photo06Photo07 (左、Photo05)車載向けデータターミナル。こちらは中国Waysionの製品。(中央、Photo06)同じくWaysionのSBC。右はPhoto01と同じだが、型番などがWaysionの製品とは違う気がする。(右、Photo07)こちらはWaysionの防水タブレット端末。Waysion自身が「Snapdragon」とか「i.MX」、さらにはRockchipのSoFIA(IntelがライセンスしているAtomベース)なども扱っていることもあり、ラインアップは豊富(クリックで拡大)

 こちらを展示していたのは「株式会社連基(旧称:レックスシステム)」で、同社がRockchip製品の日本国内での販売及びサポートを行うとか。ちなみにこれは国内初のお目見えではなく、実は2018年7月に行われた「ET2018 West」に出展したのが最初だったそうだが、何しろ開催された7月5〜6日は台風7号及び梅雨前線の南下に伴う記録的豪雨(平成30年7月豪雨)が西日本を襲っていた真っ最中だけに、参加者も4600人余り(前年は6400人余り)と活気がある状況ではなかった。そんなわけで今回が事実上の国内初お披露目ということになるとか。ちなみに今は価格とか性能の前に、どれだけの供給保証があるのか、というのが顧客の一番の関心事だそうで、これに今後どう対応してゆくかがRockchipと連基のポイントとなってゆきそうだ。

まだまだこれからのZETAアライアンス

 連載「IoT観測所」では取り上げなかったLPWA(低消費電力広域)ネットワーク規格の1つに、英国のZiFiSenseが提唱するZETAがある。2018年4月に開催された「第1回 次世代モバイル通信展」でテクサーが展示を行ったが、今回のET2018ではZETAアライアンスのプロモータ企業を中心に合計9社がまとめてブースを構えて展示を行った(Photo08〜18)。

Photo08 (Photo08)会場中央のIoT無線技術ゾーンにまとめて出展され、それなりに存在感はあった。ただそれぞれのブースはそう広くないこともあり、簡単なデモ程度にとどまったのは致し方ないか(クリックで拡大)
Photo09Photo10Photo11 (左、Photo09)マクセルはZETA対応の電源システムの展示。(中央、Photo10)凸版印刷はZETA対応の通信モジュールと、これを利用したカメラソリューションを展示。(右、Photo11)ティーアンドエスはZETAを利用した環境改善ソリューションを提案(クリックで拡大)
Photo12Photo13Photo14 (左、Photo12)NECネッツエスアイはZETAを利用したソリューションの例としてスマートライティングを提示。ただこれは一例で、ZETAでさまざまなソリューションが提供できます、という紹介。(中央、Photo13)QTnetはZETAベースの養殖実証実験の話を示しながら、基本はお試しキットのご紹介。(右、Photo14)本家ZiFiSenseは「ZeTag」を展示(クリックで拡大)
Photo15Photo16 (左、Photo15)ZiFiSenseではなくテクサーが、なぜかZETAそのものの紹介をしている。展示物は次世代モバイル展と同じくZETA評価キットなど。(右、Photo16)そのテクサーと提携する中国のNB-Innovationsのブース。NB-Innovationsは農業・水産業向けのセンサー類を提供する会社であるが、現状はまだZETAに未対応。ただテクサーは同社と日本における3年間の独占販売権を得ると共に、ZETAへの対応を進めるとしている(クリックで拡大)
Photo17Photo18 (左、Photo17)Silicon TechnologyもやはりZETA評価キットを展示。(右、Photo18)アイティアクセスはZETAを利用したM2H(Machine to Human)ソリューションの提案。まだ具体的にZETAを利用したソリューションが完成している、というわけではないらしい(クリックで拡大)

 ただそもそもZETAアライアンスそのものの設立が2018年8月31日と、いわばできたばかりの団体であり、まだ広範に認知されているとは言い難い部分もある。さらに言えばZETAそのものがまだプロプライエタリな規格であり、今のところシリコンはZiFiSenseから供給されるものだけの模様である。

 その意味では、以前説明したIP500とか、ソニーの「ELTRES」とかとあまり立ち位置が変わらない気がする。まずはこのあたりをどう差別化してゆけるのか、を考える必要がありそうだ。

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