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» 2018年12月05日 06時00分 公開

製造マネジメントニュース:三菱電機子会社、不適切検査を発表――該当製品は253種783万個にも

三菱電機と同社子会社のトーカン(千葉県松戸市)は2018年12月4日、トーカンが製造したゴム製品の一部において、顧客仕様を満足しない、または検査未実施で出荷を行っていたことを発表した。

[松本貴志,MONOist]

 三菱電機と同社子会社のトーカン(千葉県松戸市)は2018年12月4日、トーカンが製造したゴム製品の一部において、顧客仕様を満足しない、または検査未実施で出荷を行っていたことを発表した。

 不適合製品は253種783万個にもおよび、不適切行為が行われていた時期は「少なくとも2008年から」(トーカン)。不適合製品を直接納入された顧客数は重複を除き25社で、既に対象顧客には報告を始めたとしている。

左からトーカン 常務取締役 品質保証部長の井上健二氏、同社社長の松岡達雄氏、トーカンを総括する三菱電機 ビルシステム事業本部ビルシステム業務部長の織田巌氏

 トーカンは、エスカレーター用手すりやローラー、電子機器用放熱絶縁ゴムなど、顧客仕様に基づく特注仕様のゴム製品を製造販売する三菱電機の完全子会社。同日に開催した会見では、冒頭にトーカン社長の松岡達雄氏が同事案を引き起こしたことを陳謝した後に、同事案における不適切行為の概要や発覚経緯などの説明を行った。

ゴム製品の製造工程(クリックで拡大)

 同事案の不適切行為は、金型で製品成型する前のゴム素材からサンプルを取得し、硬度や引裂強度、熱老化特性などの諸物性を検査する「物性検査」で行われた。一部製品の物性検査において、顧客指定値よりも緩和した社内基準値で検査を合格とする、または顧客指定の物性検査を省略して出荷した。

 製品製造工程には、他にゴムの粘度などを測定する練りゴム検査や、製品の寸法や外観を確認する完成検査があるが、これら検査には不適切行為はなかったとする。

 不適切行為の対象製品はエスカレーター用手すりや電子機器用放熱絶縁ゴム、産業機器用ゴム製品など253種、約783万個と、多品種かつ多数の製品に広がる。その内、親会社である三菱電機の製品に組み込まれた製品数は「15種、約93万個」(三菱電機広報)となる。なお、三菱電機は不適合品が組み込まれた同社製品について、「全ての製品で性能上の問題はないと判断している」と発表している。

不適切行為の対象製品(クリックで拡大) 出典:トーカン
トーカンがこれまでに出荷した製品総数と不適合品の総数(クリックで拡大) 出典:三菱電機

 トーカンでは検査データが保存されている2008年以降の製品を確認したところ、不適切行為は2008年から行われていたことを確認した。また、2008年以前についても材料配合や製造工程の変更がないため、「同様の仕様不適合があったと判断している」(トーカン)。出荷記録が2000年以降しか存在しないため、仕様不適合製品の出荷開始時期は特定できなかった。

不適切行為が判明したのは2018年1月、判明後も一部で不適切品を出荷する

 同事案の不適切行為が判明する契機となったのは2018年1月。産業機器用ゴム製品に使用する配合材料を変更するにあたって同月25日に開催したトーカンの社内会議で、「材料を変更した場合に顧客仕様を満足しない可能性がある」と同社技術者が報告したことによる。そこで現行材料の顧客仕様適合有無を確認したところ、同月30日に現行品でも顧客仕様と異なる製品の出荷をしていることが判明した。トーカン社長の松岡氏は「前任社長とともにこの時点で問題を把握した」としている。

 その後、同年2月6日に不適合品が複数種におよぶことを確認し、親会社である三菱電機への初回報告は同月16日となった。

 同年3〜6月にかけて仕様と検査結果を突き合わせる調査を続行し、新たな不適合品や物性検査を行わずに出荷した製品があることも判明した。また、10月になって産業機器用ゴム製品以外の製品を確認したところ、エスカレーター用手すりや電子機器用放熱絶縁ゴムなどでも不適合品があることが分かった。

不適合品の判明時期と説明開始時期(クリックで拡大) 出典:トーカン

 しかし、記者からの「不適切行為を認識した以降に不適合品の出荷は行っていないか」という質問に対して、松岡氏は2018年3月に一部の産業機器用ゴム製品で不適切品の出荷を行っていたことを新たに明らかにした。不適合品を出荷した理由については「良品が取れない状況となり納期も迫っていた」とし、「記録を取って後ほど対応をする予定だった」と釈明した。

 不適切行為は先任の品質保証課長が主導していたとし、その他にも品質保証部、製造部、技術部の数人が関与していたとする。また、過去に同社で勤務していた元社員の関与も多く、その中には部長レベルも含まれていた。松岡氏は「組織レベルで不適切行為をやっていたと言える」との認識を示した。

 不適切行為を行った理由については、現在も調査中としつつも「今考えられることは、ゴムの特性を顧客規定値内に入れることが難しく、納期との兼ね合いで顧客仕様を満たすゴムがなかなか取れない状況でやってしまったのではないか」(松岡氏)と見方を話す。また、親会社と発注者側でもあった三菱電機でビルシステム事業本部ビルシステム業務部長を務める織田巌氏は「仕様が厳しいときは一緒に仕様の見直しをやるべきだったと反省している」と語った。

 トーカンでは今後、外部専門家を含めた調査委員会を設立し調査報告書をまとめる。三菱電機も同社と同社子会社を含めた品質保証体制の再検査を実施するとし、現地調査や担当者ヒアリングなどの1次検査を2019年1月までに終える方針だ。

 トーカンでは、再発防止策として、コンプライアンスや品質意識の醸成など品質教育の徹底、検査基準と要求仕様の整合を確実に確認する仕組みの導入、QC工程図の全面見直しを含めた品質管理体制の再構築を行うとしている。

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