ガラスが舞い踊りIoT化する、AGCがオープンイノベーションを強化イノベーションのレシピ(2/2 ページ)

» 2018年12月13日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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「ANIMATED」と「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」

 SILICAはSession of Innovative Laboratory Ideas and Collaborative Actsの略で、ガラス原料であるSiO2(シリカ)に掛けている。現在の取り組みとしては、素材・技術の新しい「魅せ方」を提案する「ANIMATED」と、ガラスの新しい「使い方」を提案する「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」の2つがある。いずれも「未来のパートナーとつながるための種まき」という位置付けだ。

会見の登壇者 会見の登壇者。後方左から、AGCの續木南氏、平井良典氏、Aの山田歩氏。前方に並ぶのはANIMATEDに協力したデザイナー3氏で、左から、建築家の古市淑乃氏、同じく建築家の大野友資氏、プロダクトデザイナーの秋山慶太氏

 ANIMATEDでは、化学強化、コーティング、挟込み成形という3つの硝子技術を題材に、ロフトワークが選定した3人のクリエイターとともに、新たな可能性を探り、それを体現するプロダクトを製作した。

 例えば、化学強化であれば、厚さ0.1mmで曲げても割れない「舞うガラス」や、揺れるガラスのバネ「踊るガラス」などである。「B2Bで関わることのできなかった、デザイナーや一般ユーザーなどとの協創を通じて、より幅広い顧客に価値を提供していく」(AGC 商品開発研究所の續木南氏)という。

舞うガラス踊るガラス 「ANIMATED」の「舞うガラス」(左)。厚さ0.1mmの細長いガラスが中央から吊り下げられている。「踊るガラス」はガラスがバネ状になっていてふわふわと揺れる(右)(クリックで拡大)
光を食べるガラス発光するガラス色をのむガラス 「ANIMATED」では、蓄光材料を挟込み成形した「光を食べるガラス」(左)や、光の特性を制御するコーティング技術を応用した「発光するガラス」(中央)、挟込み成形した金属網が毛細管現象によって着色される「色をのむガラス」(右)などがある(クリックで拡大)

 一方、GLASS INNNOVATION CHALLENGEは、A(エイス)が提供するオープンイノベーションプラットフォーム「Wemake」により実施したものだ。A 代表取締役の山田歩氏は「さまざまなオープンイノベーションがある中で、Wemakeの特徴は、具体的な事業計画やモックアップレベルまで仕上げたアイデアが得られること、そして何より異業種、異分野の発想からニーズを発見し、生活者、使い勝手視点のソリューションを開発できるところにある」と説明する。

「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」のプロジェクトテーマ「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」の公募に当たっての工夫 「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」のプロジェクトテーマ(左)と公募に当たっての工夫(右)(クリックで拡大)

 ガラス素材を使う必然性が中核となったGLASS INNNOVATION CHALLENGEでは、約200件の提案があり、そこから7件を採択した。公募から採択までの期間は約4カ月となる。

 最優秀賞となったのが「IoTガラスブロック」だ。ガラスに好みの機能を持たせ、その機能を自由に組み替えたいというアイデアから生まれたもので、調光と面発光の機能を持つガラスにより、オフィスや商業スペースで空間の用途に合わせて透明度や照明を調整できるインタラクティブなブロック型のガラスウォールになる。

「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」で最優秀賞となった「IoTガラスブロック」 「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」で最優秀賞となった「IoTガラスブロック」。タブレット端末でガラスブロックそれぞれの色などを制御できる(クリックで拡大)
ガラストップ風呂壁風を通すガラス 「GLASS INNNOVATION CHALLENGE」で採択された「ガラストップ風呂壁」(左)ガラスの中に鏡が埋め込まれているので、風呂掃除が容易になる。「風を通すガラス」はコンクリート製の壁や金属製の柵に替わるもので、高層階のベランダなどが光と風を感じられるようになる(右)(クリックで拡大)

 なお、これらのANIMATEDとGLASS INNNOVATION CHALLENGEの開発成果は、2019年3月1日まで「AGC Collaboration Exhibition 2018」として東京・京橋の「AGC Studio」で公開している(入場無料)。

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