自由なカタチを自動で作ってみたいよね、あと不良品も分析したいよね、そだねーメカ設計 年間ランキング2018(2/3 ページ)

» 2018年12月25日 13時00分 公開
[小林由美MONOist]

第10位から発表です!

 ダッソー・システムズ・ソリッドワークス(Dassault Systemes SOLIDWORKS:以下、ソリッドワークス)が、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催した年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2018」(会期:米国時間2018年2月4日〜2月7日)より。「SOLIDWORKS 2019」に関する発表の件が、よく読まれました。同社は、年次イベントで次期バージョンの機能を「スニークプレビュー」として発表するのを恒例としています。

 またスニークプレビューは、(社内でも賛否両論だという)同社マーケティング部の皆さんによる謎の劇が繰り広げられます。今回、このイベントに訪れた朴記者も、記事末で「アメリカンジョークって難しいなぁ……」と言っているわけですが、私自身も過去の取材で、会場が笑いに包まれる中、どうしてそんなにおかしいのか全然分からなくて、取り残された感が半端なかったです。ああいう場では、翻訳だけではなくて、副音声の解説も必要なのかもしれません(要らない)。

 タイトルの通りの内容の記事。富士経済が金属加工機械の市場動向に関する調査「メタルプロセッシング・インダストリー関連市場の全貌 2018」で、金属3Dプリンタの市場動向の概要について発表した件です。

 金属3Dプリンタは、グローバルでは盛り上がりを見せつつも、日本での伸びがイマイチだったといった内容の調査結果だったわけですが、富士経済は、「今後は企業内の研究開発用途にとどまらず、アカデミック利用や防衛関連など、産学官連携による幅広い分野間での研究開発を促すことが日本市場拡大には必要」と提言しています。

 2018年6月発売のキングジムの新製品『デジタルメモ「ポメラ」DM30』の量産試作品(ほぼ製品版と同等)を分解して分析した記事です。執筆者は、元ソニーで長年機械設計者を務めた小田淳氏。この手の分解記事は電子部品を分解してレビューすることが多いのですが、この記事はあえてメカの機構だけに絞って解説をお願いしました(だってメカ設計フォーラムだから)。ちなみに分解したポメラはきれいに復元してもらい、ちゃんと元気に機能しています。まさに「プロの手仕事」を見た職人芸的記事だったと思います。

 2018年11月に開催した「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」でDMG森精機が参考出展した工作機械が話題になりました。DMG森精機は自社でも積層造形機技術の開発に取り組んでいます。同社は切削加工と積層造形を組み合わせた複合機として展開しています。

 トポロジー最適化で導いた形状を積層造形で作って、実際にどんな形になったかどうかは、記事の写真をご覧いただきたいのですが……、工作機械とは思えない形をしています。強度を保ちながら重量は半分くらいになり、動作スピードも高められたということですが、製作期間がものすごくかかったようです。

 2018年6月に開催された「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」より、金属3Dプリンタに関する出展をまとめた記事です。装置としては大型化や自動化など量産に対応できるようなさまざまな技術への取り組みが見られ、ソフトウェア面では現場で使える造形シミュレーションやサポート作成の自動化など、より容易に3Dプリンタを使いこなすための機能が登場しています。樹脂と比較して金属の積層造形は難易度がぐっと高まります。造形時の熱で変形して造形されてしまうからです。3D金属積層の準備や造形の手間を少しでも減らそうと、各社でそれぞれの取り組みが見られています。

 「SOLIDWORKS World 2018」からもう1つランクインしました。SOLIDWORKSのサブスクリプションサービスユーザーへの特典として、3Dプリント、ジェネレーティブデザイン、IoTシステムの設計プラットフォームをSOLIDWORKSと連携するアドイン/プラグインとして無償で利用可能にすることを発表しています。

 第4、5位は、今回も同じ筆者さんの記事が続いたので、まとめて紹介しますね。

 水野操さんの久々の連載から2本ランクインしました。3Dデータの専門家として水野さんも、このところのCAD/CAEベンダーからのトポロジー最適化関連機能の発表に注目していたとのことで始まったのがこの連載でした。CAEの世界では以前から存在した技術ではありましたが、3D CADを使うメカ設計実務で使おうという動きが見られているのはここ最近です。そういう意味ではまだ知見も事例も少ない分野です。水野さん自身も調べたり勉強したりしながら紹介するよ、ということで解説してくださいました。2019年もジェネレーティブデザインの動きとも合わせて、引き続き注目していきたいですね。

 この連載は第5回でいったん終了となりますが、2019年から水野さんによる新しい解説の連載が始まる予定ですので、ご期待ください。

 さて第2位は、あの人による記事です。

 飯沼ゲージ製作所の3D設計推進者、土橋美博さんが公差設計と関連したところとして、標準偏差について解説しています。その下知識として正規分布についても説明してくれています。正規分布といえば、ぱっと思い浮かぶのはつりがね状のグラフです。メカ設計の世界にいれば、誰でもなんとなくその概念は理解していると思います。ただ、統計学は突き詰めていくと難しいものですね。この記事では、メカ設計者にもかかわりがある生産バラツキに関することを例にしながら説明しています。

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