特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
連載
» 2018年12月25日 11時30分 公開

いまさら聞けない第4次産業革命(28):見えてきたスマート工場化の正解例、少しだけ(そもそも編) (1/3)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。

[三島一孝,MONOist]

 製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、2018年も最後となることですし、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。

本連載の趣旨

 本連載は、「いまさら聞けない第4次産業革命」とし、第4次産業革命で製造業が受ける影響や、捉える方向性などについて、分かりやすくご紹介したいと考えています。ただ、単純に解説するだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介します。

※)本連載では「第4次産業革命」と「インダストリー4.0」を、意味として使い分けて表記するつもりです。ドイツ連邦政府が進めるインダストリー4.0はもともと第4次産業革命という意味があります。ただ、本稿では「第4次産業革命」は一般用語として「IoT(モノのインターネット)による製造業の革新」を意味する言葉として使います。一方で「インダストリー4.0」はドイツでの取り組みを指すものとします。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、話が始まる。多少優柔不断。印出研究所に入り浸っている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。第4次産業革命についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

第25回:「スマート工場の“障壁”破る切り札か、異種通信を通す『TSN』の価値

あらすじ背景

 従業員200人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「新聞で読んだけど、君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われます。しかし、「第4次産業革命」といわれても「それが何なのか」や「どう自分たちの業務に関係するのか」がさっぱり分かりません。そこで、矢面氏は第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺うことにしました。


 さて前回のおさらいです。前回は製造現場のデータ収集や情報活用で注目を集めている通信規格「TSN」が製造現場にもたらす意味について説明しました。

 TSNは「Time Sensitive Networking」を指し、イーサネットをベースにしながら時間の同期性を保証し、リアルタイム性を確保できるようにしたネットワーク規格でしたね。

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TSNのポイントは名前の通り時間を厳密に規定できるイーサネットの拡張規格であるということね。既存のイーサネット配線などはそのままにリアルタイム性を確保した通信が行えるの。


 最初はクラウドなども含むITシステム側から現場のFAシステム側まで一貫してつなげることができる点でこの「リアルタイム性」が注目されていましたが、現在高く評価されているのが「時分割」という機能です。

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TSNにより時間によって通す通信プロトコルを変更する時分割が可能になるの。それによって異なる通信プロコトルの通信を配線などを何も変えずに通すことができるようになるわ。


 従来の産業用ネットワークは配線や機器などがそれぞれ必要で、同一ネットワーク上でそれぞれを混在させることはできませんでした。そのため、複数ネットワークを同期させるなど、一元管理する必要があるときなどには大きな負担となっていました。しかし、TSN対応とすることで、同一ネットワーク環境内で、それぞれのネットワークプロトコルの情報が通る時間を規定できるようになります。複数の産業用ネットワークや、監視カメラなどでも使われるTCP/IPなどのITネットワークの情報を、同一配線で通すことができるようになり、その点が製造現場でも大きな利点として注目されているということでした。

 ただ、注意する点として国際標準化の動きがまだ固まり切っていない状況であるということでしたね。個々の通信推進団体や企業などが優先度などを決められる幅があります。TSNを採用することを考えた場合は、規格の動向には注意しておく必要があるということでした。


 さて、今回はスマート工場化の取り組みの中で、見えてきた「ここは必要ですね」というようなポイントについて紹介します。スマート工場化への取り組みはさまざまなところで進んでおり、その動きは多様なものがあります。しかし、成功している動きの中では、まだまだ少ないものの「成功のポイント」というものがなんとなく見えてきました。そこを少しだけまとめたいと思います。

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