自動車の内装デザイナーが3Dプリンタで1kgの価値を創造、JAID「1kg展」開幕車両デザイン(1/2 ページ)

国内自動車メーカーのインテリアデザイナーやCMF(色、素材、加工)デザイナーが参画するJAID(ジャイド)が、2019年1月12〜25日の2週間、東京都内で3Dプリント作品の展示会「1kg展」を開催中だ。

» 2019年01月16日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 国内自動車メーカーのインテリアデザイナーやCMF(色、素材、加工)デザイナーが参画するJAID(Japan Automotive Interior Designers、ジャイド)が、2019年1月12〜25日の2週間、東京都内で3Dプリント作品の展示会「1kg展」を開催中だ。

 丸の内の第1会場「GOOD DESIGN Marunouchi」で作品を展示している他、1月13日から展示を行っている第2会場の「DiGITAL ARTISANS GYM」(池尻大橋)では、各作品のスケッチや使用した3Dプリンタ、製作過程の失敗作など、クリエーションのプロセスの関わる展示も行っている。入場料は無料だ。

「1kg展」の作品の1つ「1kg支えるくん」 「1kg展」の作品の1つ「1kg支えるくん」。3Dプリンタで出力した「1kg」の文字(重さも約1kg)をJAIDメンバーのミニチュアが支えている(クリックで拡大)

自動車の内装デザイナーは、どんな1kgの価値を創造できるか?

 JAIDは2015年にある雑誌で行われた、国内自動車メーカーのインテリアデザイナー、CMFデザイナーの対談企画を基にして発足した団体だ。国内の自動車メーカーに所属するデザイナーが、企業の枠を超えて日本から新たな「自動車の内装」を生み出すべく活動を広げてきた。活動の成果となる作品を公開して展示するのは、今回の1kg展が初となる。1kg展の参加メーカーは、ダイハツ工業、本田技術研究所、三菱自動車、日産自動車、SUBARU、スズキ、トヨタ自動車の7社。

 開催に先駆けて行われた内覧会には、1kg展に作品を出品するデザイナーに加え、3Dプリントや3Dデータの作成などに協力した企業や関係者などが参加した。内覧会の冒頭であいさつしたトヨタ自動車 Toyota Compact Car Company デザイン部 第1デザイン室 室長の中嶋孝之氏は「重量が大きな意味を持つ自動車の開発に関わるデザイナーとして『1kg』という重さからどのような価値を生み出せるか。そんなテーマのもと、3Dプリント技術を活用した作品を通して、自動車の内装デザインやCMFデザインの魅力を伝えたい」と語る。

「1kg展」内覧会の様子 「1kg展」内覧会の様子。中央で手を挙げているのがトヨタ自動車の中嶋孝之氏

 1kg展のテーマは「どんな1kgの価値を創造できるか?」だが、作品や使用した材料の重さが1kgとは限らない、より自由なコンセプトを持つ作品も展示されている。幾つか気になった展示を紹介しよう。

トランスフォームステアリング

トランスフォームステアリングトランスフォームステアリング 自動運転時代を見据えた変形するステアリング「トランスフォームステアリング」。自動運転状態では折りたたまれた状態だが(左)、手動運転に移行する際には広げて操縦デバイスとして使えるようになる(右)。中央の変形機構は、粉体印刷で一括出力している(クリックで拡大)

CMFバーガー

CMFバーガーCMFバーガーCMFバーガー 自動車のCMFを1kgのハンバーガーに見立てた「CMFバーガー」(左、中央)。ハンバーガーの構成要素であるバンズ、トマト、チーズ、パティ、レタスを内装素材に見立てて(右)、その組み合わせで自分好みの自動車のCMFの組み合わせを作り出すことも可能(クリックで拡大)

みんな1kg

みんな1kg 「もしも生き物の重さが全て1kgになったら」という世界を表現した作品「みんな1kg」。作者の全身スキャンデータをもとにした原寸大サイズの人体模型は、約1kgにするためポリゴンメッシュベースのフレームからくみ上げた。うさぎ(3Dデータでよく使われるスタンフォードうさぎ)は、1kgでも一般的なうさぎとあまり変わらないサイズ。タブレット端末には、通常では3gのある昆虫が1kgになったときの3Dデータが表示されている。なお、今回の展示では唯一、自動車メーカー間を横断して企画された作品であり、ある意味でJAIDのコンセプトを体現しているともいえる(クリックで拡大)
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