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演算量を90%減、エッジで画像生成・認識できるAIを三菱電機が開発人工知能ニュース(1/2 ページ)

三菱電機は2019年1月31日、従来手法から演算量とメモリ量を約10分の1に抑えた画像生成用ディープニューラルネットワーク構築技術を開発したと発表した。画像生成や画像内の物体認識を組み込みデバイスやエッジ上で動作させることを狙う技術となる。

» 2019年02月01日 08時00分 公開
[松本貴志MONOist]

 三菱電機は2019年1月31日、従来手法から演算量とメモリ量を約10分の1に抑えた画像生成用ディープニューラルネットワーク構築技術を開発したと発表した。同技術はGAN(Generative Adversarial Networks:敵対的生成ネットワーク)をベースにしたもの。画像生成や画像内の物体認識を組み込みデバイスやエッジ上で動作させることを狙う技術となる。

 GANはモントリオール大学に当時所属していたイアン・グッドフェロー氏が2014年に提案したニューラルネットワークを用いるアルゴリズム。画像生成や超解像、音声処理、言語処理といった領域での活用が期待されている。GANでは生成ネットワーク(Generator)と識別ネットワーク(Discriminator)の2つのニューラルネットワークが用いられる。画像生成を例に挙げると、生成ネットワークは識別ネットワークをだますほど精巧な画像を生成する役割、識別ネットワークは実画像と生成ネットワークで生成された画像を見分ける役割を持つ。

 このように、生成ネットワークと識別ネットワークは互いに相反する価値(目的関数)を持ち、それぞれのネットワークを交互に敵対的学習をさせる。最終的には生成ネットワークが学習データと区別できないようなデータを出力するようになる。

GANの概要(クリックで拡大) 出典:三菱電機

 画像生成は、自動運転など他のニューラルネットワークに用いる学習用データの準備に有用な機能だ。三菱電機 情報技術総合研究所 知能情報処理技術部 映像分析技術グループ グループマネージャーの杉本和夫氏は、GANのメリットについて「画像生成は他のアルゴリズムでも出来るがどうしてもボケたような画像が生成されていた。GANによる生成画像は実写画像に近く、ニューラルネットワークの学習データセット準備にかかる人員と時間コストを大幅に削減する可能性がある」と説明する。

 また、GANを拡張したアルゴリズム(DCGAN、AnoGANなど)が盛んに研究されており、生成ネットワークによって物体認識やセグメンテーション、異常検知を行う事例もある。

GANの応用例(クリックで拡大)
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