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HDMIの概要とその評価法計測面から見るHDMI(1)(1/2 ページ)

デジタル家電/AV機器用のデジタル・インターフェイスとして登場したHDMIについて、計測面からその概要と評価法を紹介する

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計測面から見るHDMI
アジレント・テクノロジー
高速なデジタル信号伝送は、製品の安定動作や異なるメーカー間での相互接続性確保のために、物理レイヤの検証が非常に重要となる。本連載では、デジタル家電/AV機器用のデジタル・インターフェイスとして登場したHDMIについて、測定という観点から、その概要と評価方法を紹介する。(編集部)

 デジタル家電やAV機器で広く普及しているHDMI(High Definition Multimedia Interface)ですが、映像信号の高精細化に伴い、その伝送レートは2Gbpsを超えるものが実用化されています。このような高速なデジタル信号を伝送する際には、シグナルインテグリティに起因する伝送エラーを引き起こす場合があり、製品の安定動作および異なるメーカー間における相互接続性の確保のために、物理レイヤでの検証が非常に重要となります。本連載では、HDMIについて測定という観点から、その概要と評価方法を紹介します。

HDMIとは

 HDMIは、デジタル家電AV機器向けに開発されたデジタル・インターフェイスです。PCディスプレイ向けの 映像デジタル・インターフェイス「DVI」の技術をベースに、映像だけではなく、音声・制御信号を、取り回しが容易な小型のコネクタを備える1本のケーブルで、完全なデジタル方式の伝送を実現します。

 HDMIを使用することで、従来のAV機器では、映像/音声/制御信号が別々の配線であったものが、1本のケーブルで簡単に接続できます。また、リモート制御用の信号線を備えているため、複数の機器を集中制御できるなどのメリットがあります(図1)。さらにHDMIでは、コンテンツ保護の必要な映像、音声のコピー防止のために、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)が採用されています。

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図1 HDMIでシンプルになるAV機器の接続

 HDMIは、2002年12月に7社のHDMIファウンダ(日立、パナソニック、フィリップス、シリコンイメージ、ソニー、トムソン、東芝)によって最初のスペックがリリースされました。その後、いくつかの機能追加、改定が行われ、現在は、2009年6月に公開されたHDMI ver. 1.4が最新のスペックとなっています。

 HDMIを搭載した製品を開発販売するメーカーは、HDMI Adopterである必要があります。現在、800社以上がAdopterとして参加しています。そのほかHDMIについての詳細は、HDMI LLCのWebサイト(http://www.hdmi.org/)を参照ください。

 当初、TVやDVDプレーヤのような家電機器を対象に開発されたHDMIですが、現在ではPCやゲーム機、ビデオカメラ、デジカメなどへの搭載も進んでいます。さらにHDMI 1.4でスペックされた新たなコネクタにより、携帯電話や車載用機器への搭載を見込んでおり、さらなる市場の広がりが期待されています。

HDMIの信号構造

 HDMIでは、DVDプレーヤやBDレコーダのような信号の送信側をソース機器、TVやプロジェクタのような信号の受信側をシンク機器と呼びます。ソース機器、シンク機器間のHDMIの信号構造は図2のようになっています。このうち、映像、音声、および制御情報が送信されるメインリンクがTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)チャネルです。TMDSは、1本のクロック信号と3本でデータチャネルから構成されます。

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図2 HDMIの信号構造

 DDC(Display Data Channel)は、シンク機器の情報(EDID)をソース機器に伝達する信号です。CEC(Consumer Electronics Control)は、機器間の制御に用いる信号で、各社それぞれに○○リンクとして紹介されているのは、このCECを利用したものです。これにより、例えばTVから、TVに接続されたBDレコーダやAVアンプなどを制御したりすることが可能になります。

 さらに、HDMI 1.4ではHDMIイーサネットやオーディオリターンチャネルの新機能が追加され、従来使用されていなかったライン(Utility)と従来HPD(Hot Plug Detect)として使用されていたラインが、新たにHEAC(HDMI Ethernet and Audio return Channel)として定義されました。CECとHEACはオプションということで、実装の有無はメーカーに任されています。

 TMDSチャネルをもう少し詳しく見てみます。TMDSは、基本的にドライバ側がオープン・ドレインの電流源で、レシーバ側は差動レシーバとなり、差動の+側と−側がそれぞれ50Ω3.3V にプルアップ終端された不平衡対称差動伝送路を形成しています。TMDSのアーキテクチャを図3に示します。

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図3 TMDSのアーキテクチャ

 TMDSのクロック信号は、deep colorではない通常の24bitカラー信号において、映像のピクセルクロック周波数で伝送されます。TMDSのデータ信号の3チャネルは、それぞれ、クロック信号の10倍のデータレートで伝送されます。HDTVの1080i/720pでは、データ信号のデータレートは742.5Mbpsであり、1080pでは1.485Gbpsとなります。

 HDMI 1.3から、色の解像度を向上させたdeep colorもスペックされました。通常の24bitカラー(RGBの場合、各色8bit解像度)に加え、30bit、36bitそして48bit deep colorが定義され、クロックおよびデータの信号レートは、24bitカラーのそれぞれ1.25倍、1.5倍、2倍になります。現在、多くの家電機器で実用化されている36bit deep colorの場合、1080pフォーマットでは、データ信号のデータレートは2.2275Gbpsとなります。

 HDMI 1.4で3D videoおよび4k2k videoも新たに定義されました。ただし、現在のHDMI 1.4でのデータ信号の最大レートは、3.4Gbpsとなっています。

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