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HDMI 1.4の新機能計測面から見るHDMI(2)(1/2 ページ)

2009年6月にスペックが公開されたHDMI 1.4。HDMIイーサネットや3D映像対応など、新たに追加された機能について紹介する

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計測面から見るHDMI
アジレント・テクノロジー
高速なデジタル信号伝送は、製品の安定動作や異なるメーカー間での相互接続性確保のために、物理レイヤの検証が非常に重要となる。本連載では、デジタル家電/AV機器用のデジタル・インターフェイスとして登場したHDMIについて、測定という観点から、その概要と評価方法を紹介する。(編集部)

 2009年6月にHDMI 1.4スペックが公開されました。HDMI 1.4では、従来のHDMIに加えてHDMIイーサネットや3D映像対応など、新たな機能が追加されています。今回は、HDMI 1.4で追加された新機能についてご紹介します。また、HDMIのロゴガイドラインも改定されていますので、こちらについても簡単にご紹介します。

HDMIイーサネットチャネル

 昨今のTVやBlu-ray Discレコーダなどの家電機器は、インターネットに接続する機能を持っており、アクトビラやDLNAといったネットワーク接続を利用することができます。しかし、従来は個々の機器をそれぞれネットワークに接続する必要があり、機器の設定の複雑さや接続のケーブルの取り回しなどの課題がありました。

 HDMIイーサネットチャネル(HDMI Ethernet Channel: HEC)は、HDMIケーブルを用いてイーサネットの信号を通そうというもので、HDMIケーブルを接続することによりイーサネットにも同時に接続されるという利便性を持つものです。これにより、HDMIで接続された機器群のうち、1つの機器をインターネットに接続しておけば、ほかの機器もネットワークに簡単に接続することが可能となります。

 また、HECを機器間の情報転送にも利用することができます。例えばハードディスクへの録画機能の付いたTVで、録画した番組をBlu-ray DiscやDVDにコピーするような用途にもHECの利用が期待されています。

 HECは、HDMIケーブルの中のUtilityとHPDという2つのラインを用いて伝送されます(図1)。Utilityは、従来Reservedということで使用されていなかったラインです。HEC信号は、通常の100Mイーサネット(100BASE-TX)相当の信号で、Utility/HPDの1ペアラインを利用した、差動双方向の全二重通信となります。双方向信号を分離するのは、1000BASE-Tでも用いられているエコーキャンセラ回路を用いて行います。

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図1 UtilityとHPDラインを利用したHEAC伝送

オーディオリターンチャネル

 これまでのHDMI信号は、映像と音声の信号がソース機器からシンク機器への一方向の伝送でした。そのため、DVD/Blu-ray Discプレーヤー、AVアンプ、TVと接続している構成では、DVD/Blu-ray Discプレーヤーの音声はHDMIを介してAVアンプのスピーカーから聞くことはできましたが、TVのチューナーで受信した放送番組の音声はHDMI経由ではAVアンプを鳴らすことができず、別のデジタルオーディオケーブルで接続する必要がありました。

 オーディオリターンチャネル(Audio Return Channel: ARC)を使えば、HDMIケーブルの中を、シンクからソース側へオーディオ信号を通すことが可能になり、別ケーブルで接続する必要がなくなります(図2)。

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図2 オーディオリターンチャネル

 ARCは、SPDIF相当のデジタルオーディオ信号を電気レベルなどのインターフェイス仕様のみを変更して伝送するものです。ARCには、コモンモード、シングルモードの2つのモードが規定されています。シングルモードは、Utilityライン1本を用いてARC信号を伝送するもので、HEC信号を同時に伝送しない場合に使用されます。コモンモードは、HEC信号を同時に使用する場合には必須なモードで、UtilityとHPDラインを用いてコモンモード(同相モード)で信号を伝送します。HECとARCが同じラインを伝送されることになりますが、HECは差動信号、ARCはコモンモード信号ですので簡単に分離することが可能です。

 HECとARCを併せて、HEAC(HDMI Ethernet and Audio return Channel)と呼び、UtilityとHPDラインをHEACラインと呼びます。HEACについては、HDMI 1.4スペックドキュメントのSupplement 2で規定されています。

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