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「モノづくりで命を救う」――新たな市場を開拓した京都の試作メーカーの哲学「心臓シミュレーター」の開発秘話も(1/2 ページ)

Vero Softwareジャパングループは東京都内で「Veroグループフォーラムジャパン2014」を開催。その基調講演で、京都に本拠を置く試作メーカーであるクロスエフェクト社長の竹田正俊氏が登壇した。クロスエフェクトは、同社が開発した「心臓シミュレーター」が「第5回 ものづくり日本大賞」において内閣総理大臣賞を受賞するなど、近年注目を集めている。

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 CAD/CAMソリューションを提供するVero Softwareジャパングループは2014年7月18日、東京都内で「Veroグループフォーラムジャパン2014」を開催した。その基調講演で、京都に本拠を置く試作メーカーであるクロスエフェクト社長の竹田正俊氏が登壇した。クロスエフェクトは、同社が開発した「心臓シミュレーター」が「第5回 ものづくり日本大賞」において内閣総理大臣賞を受賞するなど、近年注目を集めている2001年創業の試作メーカーだ。竹田氏は自社の理念や取り組みについて語った。

モノづくりだけでなく「デザイン」まで

 クロスエフェクトは、プロダクトデザインやモデリングサービス、光造形による開発試作モデルの製作など、3次元設計技術を用いたさまざまなサービスを提供している。最近では、心臓のCTスキャンデータを基に、内部構造までを精密に再現する心臓モデル「心臓シミュレーター」やNTT西日本の動画配信サービス機器「光BOX+」のリモコン、国際宇宙ステーションに滞在するロボット「KIROBO」と「MIRATA」のデザインなどを手掛けている。


クロスエフェクトが開発した「心臓シミュレーター」(クリックで拡大)
クロスエフェクトが手掛けたNTT西日本の動画配信サービス機器「光BOX+」のリモコン(左)と、国際宇宙ステーションに滞在するロボット「KIROBO」と「MIRATA」(右)(クリックで拡大)

クロスエフェクト 代表取締役社長の竹田正俊氏

 竹田氏の父親は京都で三洋電機の下請け工場を経営していた。しかし、その跡を継ぐことは選ばず、こうした3次元設計を手掛ける企業を創設する道を選んだという。その理由として竹田氏は「京都でモノづくりを行いたいという気持ちがあった。しかし、大企業のような大量生産のビジネスを選ぶことは難しく、人件費の問題もある。そこで『つくる』だけでなく、デザインや設計といったモノづくりの上流工程も自ら行うことが重要だと考えた」と話す。

顧客に提供するのは「モノ」ではなく「時間」


クロスエフェクトの「使命」(クリックで拡大)

 クロスエフェクトは、同社が「Rapid Designサービス」と呼ぶ、プロセスの「見える化」の徹底による顧客への迅速なサービス提供を特徴としている。竹田氏は、「クロスエフェクトの使命は開発者を徹底的にサポートし、期待を越える試作品をどこよりも速く提供すること」と語る。そこにあるのは、顧客に対して質の高いモノを提供するだけでなく、納期を短縮することで顧客に「時間」も提供するという同氏の哲学だ。

 この使命は、竹田氏がクロスエフェクトを創業しようと考えていた時、ある経営者の先輩から「お前の立ち上げる企業の使命は何だ?」と聞かれたことをきっかけに生まれている。最初はその質問に対し「起業は金もうけのため」と考えていた竹田氏だったが、経営学者ピーター・ドラッカーの著書を読み、クロスエフェクトの使命について考えるようになったという。「使命を明確にすることで、会社の経営が大きく変わった」と話す同氏が、その経営者の先輩と出会うきっかけとなったのが、現在竹田氏が代表理事を務める「京都試作ネット」の存在だった。

「脱下請け」を目指す「京都試作ネットワーク」


「京都試作ネットワーク」の概要(クリックで拡大)

 京都試作ネットとは、2001年7月に京都府南部の機械金属関連の中小企業10社が共同で立ち上げた組織だ。「試作に特化したソリューション提供サービス」を行っており、部品の試作加工からシステムや装置の開発まで、中小企業が単独では受注することが難しい案件を、100社以上の企業が協力して引き受けている。また、全国のどの場所からの問い合わせにも対応し、その全てに2時間以内にレスポンスするというスピーディーな運営を行っており、これまでの試作加工の相談実績は4000件を突破したという。


「京都試作ネットワーク」のビジョンとイノベーション(クリックで拡大)

 中小企業同士が連携することで「大企業の下請け」という存在を脱し、新た試みを行うこの京都試作ネットは、2012年から「加工中心のモノづくりから開発中心へ」をテーマに、京都を世界の試作の集積地にすることを目指しているという。竹田氏は「京都からSHISAKU(試作)という言葉を海外へも広めていきたい」と語った。

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