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そろそろオープンIPについて語ろうかzenmono通信(1/2 ページ)

モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、zenmonoのトークイベントの内容をお伝えする。テーマは「企業知財のオープンソース化」。ゲストにはシティライツ法律事務所の弁護士 水野祐氏、エムテドのデザイナー 田子學氏、ニットー 代表取締役の藤沢秀行氏を迎えた。

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本記事はモノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から転載しています。


 2013年8月11日、mass×mass関内フューチャーセンターで『禅会vol.1「そろそろオープンIPについて語ろうか』が開催された。「禅会」は、禅問答にインスピレーションを受けた対談の場で、クラウドファンディングサイト「zenmono」のリアルな会合だ。「オープン」「シェア」「共感」「幸せ」をキーワードに、モノづくりの未来について語り合いたいと考えた。結論を出したりはせず、対話をしながら、参加した人の中に、何か答えが生まれるであろうことを期待している。今回のテーマは「企業知財のオープンソース化」。ゲストにはシティライツ法律事務所の弁護士 水野祐氏、エムテドのデザイナー 田子學氏、ニットー 代表取締役の藤沢秀行氏を迎えた。モデレータはenmonoの宇都宮茂。


(左から)enmono宇都宮茂、シティライツ法律事務所の弁護士 水野祐氏、エムテドのデザイナー 田子學氏、ニットー 代表取締役の藤沢秀行氏

 水野さんはシティライツ法律事務所の代表として、主にクリエイティブ、IT、建築不動産分野の法務に関するアドバイス、コンサルティングをされている。また、いくつかのNPO団体でも、法律に関係した活動を行っている。水野さんがかかわった「初音ミク」のプロジェクトなどを例に、従来の独占的な知財の運用からオープンな知財運用の時代になっていることや、その可能性についてお話しいただいた。

 開催のきっかけは、水野さんに出ていただいた第58回MMS(enmonoによるWebキャスト番組)の、オフレコトークだった。クラウドファンディンクサイトで、まだ商品化されていないモノを公開すると、知財が守られなかったり、その後生じる価値を失うこともある(関連記事:所有権や著作権にしがみつく時代ではなくなる?)。今の時代において、知財をどう守り、どう攻めたらよいのか。そのような話をしていた時に、「他の方も興味を持たれるのでは?」となったのだ。企画を進めることになり、田子氏と我々(enmono)の共通の知人よりデザイナーの田子氏を紹介していただいた。

 田子氏は、東芝デザインセンターで多くの家電、情報機器デザイン開発に携わったご経験があり、現在はMTDOの代表取締役、アートディレクターである。幅広い産業分野で、コンセプトメイキングからプロダクトアウトまでをトータルでディレクションされている。田子氏が手掛けられた食器やランドリー商材は、大手企業が持つ技術を生かしつつ、今のライフスタイルにマッチしている。「グッドデザイン賞」の審査委員(2010年〜)でもあり、こぼれ話もあった(関連記事:デザインマネジメントから日本のモノづくりを語る――MTDO・田子學氏)。

 製造業代表としてお話を伺った藤澤さんは、ニットーの代表取締役である。ニットーは設計から量産まで、自社で一貫生産している。藤澤さんは顧客と製品開発をしていくなかで、自社商品も開発してみたいという気持ちが芽生え、iPhoneケース「iPhone Trick Cover」を開発された。クラウドファンディングサイトを利用して、開発と資金集め、販路の構築ができたとのことだ。インターネット公開前、弁理士さんに相談しながら、実用新案や意匠権を取得されたそうだ(関連記事:定時後のロッキー、iPhoneを振り回す

編集部注:以降では、イベントで語られた話の一部を紹介しています。


enmono宇都宮 モノづくりをする時、知財についても考えなければなりません。小さな企業を支援する立場から、中小企業の知財戦略についてお聞きしたいのですが。

水野氏 大企業も中小企業も、知財運用に差異があるとは、あまり考えていません。大切なのはモノの本質を見極め、特性にそって、オープンがいいのか、クローズドがいいのか考えることです。オープンにする場合は、どこまでオープンにするのか。

田子氏 どういうビジネスにしたいのか、それが見えているかどうかは重要です。

enmono宇都宮 事業計画のようなものですか? 何のために特許を取るのかということですね。

田子氏 そうです。ビジョンが描けないまま、たくさんある候補からどれをチョイスしようかと悩むのが、よくあるパターンです。

藤澤氏 一人で最後までビジョンを描ける人はまれで、浮かんだアイデアが何かに使えそうだと、取りあえず特許を取るというのはありがちです。でも、そのアイデアが種になって、別のアイデアに発展していくこともあります。アイデアを誰もが利用できるようにオープンした場合、どのように利益を得て、事業として成り立たせることができるのでしょうか?

水野氏 世の中は、そういうことが起こり得る流れになっています。初音ミクは、イラストとVOCALOIDというソフトウェアの混合物です。ソフトウェアは権利を守り、販売もしていて、イラストの方はオープンになっています。全てをオープンにする必要はなく、場合によっては一部をオープンにした方が面白くなる、というものが増えてきているのではないかと思います。iPhone Trick Coverのように、フィードバックを得て良いものにするために、製作過程だけオープンにするのがふさわしいという場合もあるでしょう。Arduinoのように、設計情報からオープンにするのがふさわしい場合もあるかも知れません。

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