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CAEの専門家ではなくても使いやすい溶接シミュなどを本格展開CAEニュース

MSCは独Simufact社を買収した。Simufact社とMSCの日本法人が、今回の買収の意図や、Simufact社の溶接シミュレーション、成形シミュレーションについて語った。

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 エムエスシーソフトウェア(以下MSC)は2015年2月17日、独Simufact Engineering(以下Simufact社)を買収したと発表した。Simufact社は金属加工や接合に関するシミュレーションソフトウェアを開発する企業。MSCの提供する汎用非線形構造解析ソルバ「Marc」を採用した溶接シミュレーションソフトウェア「Simufact.welding」や、成形シミュレーションの「Simufact.forming」を提供する。同社の売り上げはドイツが50%となっており、今回の買収により技術面で連携してツールを強化するとともに、さらなる海外展開を進めていくという。

 一方MSCとしては、設計と生産現場で分かれていたCAEのプロセスチェーンに、生産現場で利用されるツールを加えることによって、より高精度な最終製品の解析を可能にしたいとしている。

溶接シミュレーションは独自動車業界のニーズから誕生

 Simufact.weldingはドイツの自動車関連研究会「溶接シミュレーション研究グループ」の要請により、現場の溶接技術者が使うツールとして開発されたものだ。2010年にOEMメーカー向けとしてリリースされ、2013年の終わりに一般向けとして発売された。弾塑性材料の挙動のモデル化を考慮した、溶接プロセス専用の有限要素法解析ソフトウェアである。

 溶接技術者のための現場向けのソリューションとして開発されたため、高度な自動化がされており、CAEの専門家でなくても使用できるという。部材内の温度分布や溶接冶具などへの熱伝導や、溶接による変形および残留応力などを、溶接冶具の拘束力の影響を考慮しながら解析できる。溶接パスの設定では複数の溶接ロボットに対応できるなどの特長がある。

 Simufact.weldingで一番ユーザーから評価されている点は、「溶接に関する全ての現象をカバーしているところ。Marcソルバをベースにすることで、さまざまな現象、構造物、接続方法、溶接タイプに対応する唯一のソフトウェアとなっている」(MSC Software Company, simufact engineering gmbh, Managing Director, CEO, Michael Wohlmuth氏)。ドイツのコンソーシアムとの関係から材料のデータベースも豊富で、JIS規格の材料データも活用できるという。

 同ソフトは自動車や航空業界、およびそのサプライヤや材料メーカーを対象としている。ドイツではアウディやフォルクスワーゲン、ダイムラーをはじめとする大手自動車メーカーを中心に使われているとのことだ。

 Simufact.formingは鍛造やロール成形などの成形をシミュレーションするツール。Simufact.weldingと連携でき、他に溶接と成形を連携できるツールはないという。

両社の方針が一致

 Simufact社は1995年にスタートした企業である。現在ドイツで売り上げの半分を占めておりドイツでは認知度が高いが、それを世界へ広げていきたいという。Simufact.weldingとSimufact.formingの両ツールでマーケットシェアを獲得していくために、ファイナンシャル面でも技術面でも強力なパートナーを探していたということだ。Simufact社にはMarcやMSCの衝撃・流体構造連成解析ソルバ「Dytran」の専門家がおり、技術面でMSCと協力することで大きなシナジー効果が期待できるとしている。経営は独立しており、協力はしつつもSimufactは独自方針で製品開発を進めていくという。「当面はSimufact.formingとSimufact.weldingの機能を向上させるとともに、ダイレクトインタフェースを強化してチェーンを完成させていく」(MSC Software Company, simufact engineering gmbh, Managing Director, CTO, Hendrik Schafstall氏)。

生産現場と設計をつなげたい

 MSCソフトウェア 代表取締役社長の加藤毅彦氏によると、MSCの戦略は、生産プロセスの全てをカバーしていくことだとしている(図1)。


図1 MSCの戦略。製品設計プロセスの完全なシミュレーションを目指すという。 出典:MSC

 図1のように、まず材料を選定し、加工成形を経て部品を作り、それを組み立てることで製品が完成する。「だが従来の設計では、ファブリケーションとアセンブリの部分は生産技術だということで扱わなかった。そして理想的な材料が、理想的に成形加工されたものとしてシミュレーションしていた。だが実際は材料をどのように成形加工するかによって、部品の特性は大きく変わってしまう。良い材料を使っても成形加工の方法が適切でなければ望み通りの製品はできない。そういう試行錯誤こそシミュレーションで可能なはずなのに、できていなかった」(加藤氏)。

 それは組み立ての工程でも同様だ。部品の接続方法は、溶接やリベット、接着剤、器具を使うなど、さまざまなパターンがある(図2)。


図2 自動車の例。溶接やリベットなど接続の影響が最終製品の解析結果に影響するはずだが、なかなかそこまで行われてこなかった。 出典:MSC

 「それも生産技術が決めることとして横に置いておいた。だから設計段階では理想的な製品ができても、実際に作ると想定した性能を示さないということがよくあった。今まではSimufact社が扱うような生産段階のシミュレーションツールで解決してきたが、それを設計段階でやればさらに効率が上がる」(加藤氏)といい、今回の買収もその一環だとしている。

 MSCとしては「Design as Manufacturing(製造工程を考慮した製品設計)」を目指す中で、生産現場寄りをカバーするSimufact社と設計寄りをカバーするMSCが相補的な関係を築くことができるとしている。


(左から)simufact engineering gmbh, Managing Director, CEOのMichael Wohlmuth氏、同社Managing Director, CTOのHendrik Schafstall氏、MSCソフトウェア 代表取締役社長の加藤毅彦氏

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