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カーエアコンの冷房はなぜ冷えるのか(後編)いまさら聞けない 電装部品入門(19)(1/4 ページ)

夏場のドライブで大活躍するカーエアコンの冷房機能は、一体どういう仕組みで冷やすことができるのか。後編では、カーエアコンの冷房機能に必要な構成部品と、それらの役割について解説する。

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前編のおさらい

 前編では、カーエアコンの冷房機能に必要不可欠な冷媒と、冷媒を使って冷やすための冷凍サイクルの全体像について紹介しました。今回の後編では、この冷凍サイクルの全体像を頭に入れた上で、冷凍サイクルの主要構成部品について解説します。

冷凍サイクルの構成図
冷凍サイクルの構成図(クリックで拡大)

 あらためて申し上げますが、冷凍サイクルの目的は、液状冷媒を繰り返し気化させることにあります。

 逆にいえば、気化した冷媒を繰り返し液化させる必要があるわけです。限られた条件下でそれを実現するための構成部品がコンプレッサー(圧縮機)になります。

コンプレッサー
コンプレッサー
圧力と温度によって冷媒が液体になるか気体になるかが変わる
圧力と温度によって冷媒が液体になるか気体になるかが変わる。その境界線が沸点だ(クリックで拡大)

 物質は沸点を境にして気体と液体に変化します。水が100℃になれば沸騰することを例にして、理科の授業で習ったことがありますよね。冷凍サイクルでは、冷媒の温度だけでなく意図的に圧力も変えることで、冷媒を気体から液体、液体から気体に変化させます。

 冷媒は、温度が高ければ気体になりやすく、低ければ液体になりやすい性質を持ちます。また、圧力が高ければ液体になりやすく、低ければ気体になりやすい性質も併せ持っています。

 エバポレーター(蒸発器)で気化し低温低圧のガスになった冷媒を再び液化させるために理想的な状態というのは低温高圧ですね。

 冷凍サイクル内で低温高圧の状態を作り出すために、コンプレッサーではまず高温高圧の状態を作り出す役割を担っています。一度に低温高圧状態にできればよいのですが、残念ながらその手法は現時点でありません。圧縮することで高温になってしまった冷媒は、後の工程で低温状態にします。

 冷媒を圧縮するには、ガソリンエンジンの気筒内における燃料ガスの圧縮と同様に動力源が必要となります。

 自動車用コンプレッサーの動力源はもちろんエンジンの動力です。ベルトを介してエンジンのクランクシャフトプーリーによってコンプレッサーは駆動されます。ただし、コンプレッサーを常時駆動すると、エンジンに相当な負荷が掛かります。ですので、圧縮が必要な時だけコンプレッサーを駆動するための装置として、マグネットクラッチ(電磁式動力断続装置)が備わっています。

マグネットクラッチ
マグネットクラッチ

 構造はとてもシンプルです。まず、マグネットクラッチの周囲にあるプーリーはベルトによって常時駆動されています。電気信号によって通電することでマグネットクラッチがオンになり、プーリーとコンプレッサー内部にあるクランクシャフトが連結されて駆動が始まります。

 夏場や冬場に燃費が悪くなる大きな要因の1つが、このコンプレッサーの駆動に伴う動力損失です。軽自動車程度のエンジン出力だと、コンプレッサーの駆動負荷による影響が走行性能にまで大きく影響します。

 そこで最近ではベルト駆動ではなく、燃費向上に大きく貢献する電動コンプレッサーの普及が始まっています。

 電気自動車のようにエンジンの動力に頼れない場合には、選択の余地もなく電動コンプレッサーが必要です。しかし、電気エネルギーの利用率が高いハイブリッド車への搭載を皮切りに、ガソリンエンジン車にもどんどん普及していくと思われます。

 コンプレッサーは機械ですので、エンジン同様に潤滑が必要になります。しかし、コンプレッサー内部だけに潤滑剤を定着させることはできません。そこで冷凍サイクル全体を循環してもコンプレッサーの機械的摺動部を保護し、なおかつ本来の目的である冷媒の気化・液化へ悪影響を及ぼさない特殊なオイルが冷媒に混合されています。

 本来、冷媒に臭いはありませんが、このオイルの特徴的な臭いとにじみによって冷媒漏れを特定できる場合があります。

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