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トランジスタの役割を知る電子工作“超”入門(6)(1/2 ページ)

簡単なポータブルアンプの製作を目標として、電子回路に親しんでもらうこの連載。今回はポタアンのキモ、トランジスタの役割について学びます。はんだ付けまであと少しですよ!

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 簡単なポータブルアンプの製作を通じて、抵抗やコンデンサの読み方といった、初歩的な電子回路についての知識を学び、電子回路に親しんでもらう連載「電子工作“超”入門」の第6回をお届けしたいと思います。

 さて、今回はいよいよ心臓部に入ります。使われているトランジスタの解説です。まずは連載第1回で示した、今回作成するポータブルアンプの回路図を確認しましょう。

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今回作成するポータブルアンプ。トランジスタを2つ利用します
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作成するポータブルアンプの回路図

■使用する部品

回路図での部品番号 仕様(名称) 備考 価格(1個あたり)
R1、R4 150Ω 1/4Wカーボン抵抗 5円
R2、R5 3.9Ω 1/4Wカーボン抵抗 5円
R3、R6 51Ω 1/4Wカーボン抵抗 5円
C1、C4 47μF 16V耐圧電解コンデンサ 10円
C2、C5 0.01μF 積層セラミックコンデンサ 10円
C3、C6、C7 470μF 16V耐圧電解コンデンサ 10円
TR1、TR2 2SD1590 ダーリントントランジスタ 50円
JK1、JK2 3.5mm小型ステレオミニジャック 基板取付用 50円
―― 電池ボックス(単三形×2本) 端子ピンタイプ 50円
―― ユニバーサル基板(72x47mm) 片面ガラス 60円
※今回のポータブルアンプで使用した部品は上表の通りです。抵抗およびコンデンサは千石電商で、トランジスタなどその他の部品は秋月電子通商で購入しました。このほか、結線のための「耐熱電子ワイヤー」(いわゆるリード線。高くて300円くらい)が必要。いずれもインターネット通販で購入可能です

 ここではNPN型のトランジスタ「2SD1590」を2個使っているので「2石のポータブルアンプ」ということになります。トランジスタの接続方法にはNPN型とPNP型の2種類あることも第1回で紹介しました。そこではまた、自由電子が電荷を運ぶN型半導体と、電子が不足している「正孔」を持つP型半導体をつなぎ合わせていることも紹介しましたね。電子はN型からP型に流れますので、電流はP型からN型に流れることになります。回路図の表記ではベースからエミッタ側に矢印が引かれているものがNPN型、反対にエミッタからベース側に矢印が引かれているものがPNP型です。

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,NPN型(写真=左)とPNP型(写真=右)

トランジスタは電流を制御する

 さて、ここからが今日の本題です。この回路ではトランジスタが重要な役割をしていると先ほど述べましたが、それはどういう意味なのでしょうか。

 トランジスタが果たす役割はずばり、電流の制御です。今回使用する2SD1590のようなNPN型トランジスタの場合、ベース(B)→エミッタ間(E)に流す電流Ibeを変化させると、コレクタ(C)→エミッタ(E)間の電流Iceも変化するのです。

 よく「トランジスタの役割は増幅」と言われますが、勝手に電流量が大きくなっていくというよりは、CとEの間に流れる電流Iceの管に、BとEの間の電流Ibeが蛇口の栓となって電流Iceの大きさを変えているとイメージすると分かりやすいかもしれません。

 ちなみにEに流れる電流をIe、Bに流れる電流をIb、Cに流れる電流をIcとするとき、Ic/Ieで表される値を電流伝送率といい、αで値を示します。αは1より小さい値ですが、IcとIeはほぼ等しいので0.9以上の値となります。Ic/Ibは直流電流増幅率で、こちらはβで表しますが、hfeと表示される場合もありますので覚えておきましょう。

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