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実世界のデータを生かした製品設計が可能になる次期「Creo」PTC LiveWorx Japan 2015(1/3 ページ)

PTCジャパンは、ユーザーイベント「PTC LiveWorx Japan 2015」を開催。同イベントの分科会の中で「Creo」の最新情報と今後のロードマップについて発表した。

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 PTCジャパンは2015年10月27日、年次ユーザーイベント「PTC LiveWorx Japan 2015」を開催。同イベントの分科会講演の中で「PTC Creo」(以下、Creo)の最新情報と今後のロードマップについて発表した。

 「PTC Creo 最新情報とロードマップ」と題し、講演を行ったのは、同社 CAD事業部 テクニカルディレクタの芸林盾氏。「Creo 3.0」の振り返りと2014年12月に行われた「PTC Live Tech Forum 2014 東京」以降の新規情報、そして「Creo 4.0」以降で追加される予定の新機能について紹介した。

Creo 3.0の振り返り

 まず、Creo 3.0の振り返りとして芸林氏が真っ先に挙げたのが、複数CADを用いたコラボレーションとシステム統合の最適化を支援する「Unite Technology」だ。

PTCジャパン CAD事業部 テクニカルディレクタの芸林盾氏
PTCジャパン CAD事業部 テクニカルディレクタの芸林盾氏

 Unite Technologyにより、異なるCADで作られたデータをそのままCreoの設計環境に取り込む(「インポート」する)ことができ、ダイレクトモデリング機能で、ジオメトリを変更したり、フィーチャ化したりすることが可能となった。「Unite Technologyは、非常に好評な機能の1つ。この機能のおかげでCreo 3.0の導入を決定したユーザーも多くいる」と芸林氏。「SOLIDWORKS」「CATIA」「NX」「Autodesk Inventor」「Solid Edge」といった一般的な3次元CADのデータをインポートできる。

 また、SOLIDWORKS、CATIA、NXといった他社CADのデータを「オープン」する機能も備える。前述のインポートとは異なり、データ変換することなく、そのまま他社CADのデータをCreo上で開く(オープンする)ことができる。ファイル変換や修正といった手間/コストが軽減されるため、複数CADを活用している設計現場に有効な機能の1つだという。「Unite Technologyは、Creo 3.0の標準パッケージに含まれているもの。従来パッケージを利用しているユーザーであれば、Creo 3.0にするだけでマルチCAD環境に対応した最新の設計環境を利用できる」(芸林氏)。

「Unite Technology」
「Unite Technology」について ※画像クリックで拡大表示

 Unite Technologyでさらに見逃せないのが「自動更新」だという。オープン機能でCreo 3.0に取り込んだ他社CADデータのオリジナル側に変更があった場合、その更新内容が自動的にCreo 3.0側にも反映されるのだ。「例えば、SOLIDWORKSの元データに変更があった場合、そのデータに組み付いていたCATIAのデータも自動的に更新される。SOLIDWORKS、CATIA、NXといった他社CADのデータであっても、Creo 3.0の中に入ってしまえば同時並行で作業を進めることができる。それも、Creoのデータを扱っているかのように同じ操作感で行える。こうしたコラボレーションを可能にした点がUnite Technologyの大きなメリットだ」と芸林氏は説明する(関連記事:「PTC Creo 3.0」、マルチCAD環境の完全提供へ)。

「Unite Technology」の自動更新
「Unite Technology」の自動更新について ※画像クリックで拡大表示

「構想設計」にも注力

 もう1つ、Creo 3.0の振り返りとして芸林氏が詳しく紹介していたのが「構想設計」機能だ。Creo 3.0では、パラメトリック形状とフリースタイルによる自由曲面形状を連携させる機能が強化されている。「あるエッジに対して吸着できるようになったので、寸法を保持したまま、引っ張ったり伸ばしたりしてデザインが行える」(芸林氏)。

「構想設計」
「構想設計」に関する強化ポイント ※画像クリックで拡大表示

 また、構想設計における2次元と3次元の融合をもたらすツールとして「Creo Layout」を紹介。「2次元で構想設計を行いたいのであれば、Creo Layoutを用いることで、後から3次元情報と連携させることが可能」(芸林氏)という。

 もちろん、3次元で構想設計できるのがベターである。しかし、パラメトリックだと寸法が必要になってくるので、数値の決まっていないものを作るのが苦手だ。こうした課題に対し、同社は「Creo Direct」を提案する。「もともと『CoCreate』は構想設計の部分が非常に得意だった。この強みを受け継いだのがCreo Directだ」(芸林氏)。

 そして、Creo 3.0から追加された新しいモジュールが、「Creo Design Exploration Extension(DEX)」だ。設計者が、元の設計データに変更を加えることなく、安全に設計アイデアの検討・評価が行えるというもの。「従来、元データを複製して、設計アイデアの検討・評価を行ってきた。検討の結果、良いアイデアが生まれても、それをもう一度元データ(原本)に反映しなくてはならないし、そのアイデアに至るまでの経緯などが全て残らない。Creoの中で設計者の思考の部分をしっかりと残し、いつでも見直すことができる。それがDEXだ」(芸林氏)。

 その他、Creo 3.0の強化ポイントとして、ヘルプやチュートリアルの充実、「Mathcad」の機能強化、射出成型解析などについても振り返った。

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