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組み込みエンジニアが手掛ける「安全」なドローン(1/4 ページ)

ドローンの産業向け展開が始まっている。しかし、「産業用」としての利活用を進める上での技術要件はまだ確立されていない。その中で“安全を担保する”ドローンの開発を進めるのが、ドローンワークスの今村博宣氏氏だ。

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 2015年12月にドローンの飛行ルールが明示された改正航空法が施行され、災害対応、物流、農業、建築分野など、産業用としての本格活用向けた期待が高まっている。手続き的な部分が整備され、運用がされ始めたという段階だ。

 しかし、産業用ドローンの技術的な要件については議論がまだ始まっていない。そんな中、“安全を担保する”ドローンの開発を進めているのがドローンワークス・今村博宣氏だ。

いまあるドローンがそのまま「産業用」として使えるのか

 今村博宣氏がドローンワークスを設立したのは2015年9月。組み込み開発に長く携わってきたからこそ、いまのドローン開発には「何か違う」と違和感があったという。


ドローンワークスの開発する産業用ドローン。現在開発中のフライトコントローラーはLinuxベースだが、別途アプリケーションPC(OSにはWindows 10 IoT Enterprise)を搭載し、ドローン用のアプリケーション開発を容易にする

 ひとくちにドローンといっても、サイズも性能もさまざまだ。手のひらに載る超小型のものから、何十kgもの荷物を積載できる大型のドローンまで登場している。

一方、そんな機械が「空を飛ぶ」ことを想像して欲しいと今村氏は言う。ドローンの性能を考えたとき、例えば15kgのドローンがホバリングするためには48V/50Aほどの電流が流れる。25kgのドローン(日本、米国で規制されている一般的なドローンの最大重量)であれば48V/100Aもの電流が常時流れている。

今村氏 約50Vで100Aというと、とてつもないパワーです。5KWですから電子レンジ数台分くらい。にもかかわらず、ドローンに使われているケーブルは細く、コネクターも貧弱という状態です。50A、100Aを流すとなれば、もっと太いケーブルでなければいけないし、それ専用のコネクターも必要になってくるのですが、そうではない。それが、まず、おかしいよねということです。

 なぜそういう状況なのかというと、それは、現在の産業用ドローンが模型飛行機の域を出ていないからではないか、という。長く組み込み機器の開発に携わってきた今村氏にとって、大電流が流れる機器、しかもそれが上空を飛ぶというのに、機体を構成する部品レベルからの機械的な安全な要件が議論されないというのは、「とてもありえない状況」なのだ。

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組み込み開発に長年携わり次に何をやろうか考えたとき、「自分が開発に興味を持ったのは、プロペラが付いているロボットだった」という

 電流を流すケーブルやコネクターは分かりやすい例だが、バッテリーやモーターなどクリティカルなパーツはもちろん、産業用にドローンを使用するというなら、「部品レベルから産業用といわれるものを使わないといけない」と主張する。

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