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電気自動車にSiCパワー半導体を採用するなら、電池容量は60kWhが目安車載半導体(1/2 ページ)

インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、2016年内に買収を完了する予定のWolfspeedと創出していくシナジーについて説明した。同社は、発電や電気自動車のインバータに向けたSiCパワー半導体や、5G通信の普及をにらんだGaN-on-SiCウエハーのRFパワー半導体を強みとする。

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 インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは2016年7月21日、東京都内で会見を開き、2016年内に買収を完了する予定のWolfspeed(ウルフスピード)と創出していくシナジーについてドイツ本社の役員らが説明した。ウルフスピードは、発電や電気自動車のインバータに向けたSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体や、5G通信の普及をにらんだGaN-on-SiC(SiCウエハー上にGaNを形成した)ウエハーを用いたRFパワー半導体を強みとする。買収によってインフィニオンはポートフォリオを補完し、SiCやGaNを用いる次世代パワー半導体市場でのシェア拡大に結び付けようとしている。

ウルフスピードとは?

インフィニオン テクノロジーズのKlaus Walther氏
インフィニオン テクノロジーズのKlaus Walther氏

 インフィニオン テクノロジーズのドイツ本社は2016年7月14日、米国のCree(クリー)の子会社であるウルフスピードを買収すると発表した。買収の対象には、ウルフスピードのSiCウエハーの製造事業部門も含まれている。2016年末までに手続きを完了する見通しで、買収額は8億5000万米ドル(約901億円)。

 ウルフスピードは、SiCパワー半導体に関して「ウエハーの製造から手掛けるトップ企業」(インフィニオン テクノロジーズ Corporate Vice PresidentのKlaus Walther氏)。Si(シリコン)パワー半導体では世界トップ、SiCパワー半導体でも世界2位のインフィニオンは既にインターナショナル・レクティファイアーを買収してパワー半導体のポートフォリオを充実させているが、ウルフスピードの技術を加えることでさらに競争力を高める。

インフィニオンの製品にウルフスピードが加わると……
インフィニオンの製品にウルフスピードが加わると…… (クリックして拡大) 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン

 RFパワー半導体に関しては、インフィニオンは世界3位、ウルフスピードはGaN-on-SiCで世界2位につけている。インフィニオンはSiのRFパワー半導体を手掛けるだけでなく、GaN-on-Si(Siウエハー上にGaNを形成する)技術も開発中で、ウルフスピードの買収によって「最も包括的なポートフォリオがそろう」(Walther氏)としている。

 ウルフスピードがウエハーの製造も行う強みを生かして基板からコンポーネント、システムにわたって最適化を図る。また、2025年までに2015年比で3割近く市場拡大が見込まれるGaNのRFパワー半導体において高いコスト競争力を発揮することを目指す。2020年にRFパワー半導体市場で世界トップとなることが目標だ。

市場拡大が見込まれるGaNのRFパワー半導体において高いコスト競争力を発揮していく
市場拡大が見込まれるGaNのRFパワー半導体において高いコスト競争力を発揮していく (クリックして拡大) 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン

電気自動車と5Gで事業拡大

 今回のウルフスピード買収によって、電気自動車と5G、2つの市場で成長を加速させる。電気自動車のさらなる普及拡大には「SiCパワー半導体によるインバータの小型化/高効率化が不可欠」(同氏)だという。また、GaN-on-SiCのRFパワー半導体は、従来よりも高い周波数体の効率化に貢献するため、次世代の通信技術に欠かせないとしている。

 SiCパワー半導体は、1992年からインフィニオンが開発を始めた注力分野だ。2001年には世界で初めてSiCパワー半導体を製品化し、2006年にはパワーモジュールとして産業用モーター向けに発表した。

インフィニオンのSiCパワー半導体開発の歴史
インフィニオンのSiCパワー半導体開発の歴史 (クリックして拡大) 出典:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン

 そして、2016年はSiC-MOSFET「CoolSiC」のサンプル出荷を産業用途向けに開始し、2017年半ばから量産をスタートする。従来のSiパワー半導体と比較して、スイッチング損失やシステム全体のロスが少ないのが強みとなる。機器の小型化にも貢献する。

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