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ARは市場のゲームチェンジャー、日本市場は成長性に懸念VRニュース(1/2 ページ)

AR/VR市場全体としては現在はVR機器がけん引。AR機器の市場規模としては数百万台が見込まれ、今後の5年間で急速な拡大が期待できる分野でもあるという。日本におけるAR/VR市場の成長率は世界と比べると見劣りする。日本ではAR/VRの市場を大きく広げるにあたり、教育分野をどう伸ばしていくかも重要な課題。

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 IDC Japanは2017年10月に「AR/VRヘッドセットの世界/国内出荷台数予測」を発表した。同社によるワールドワイドの調査では、2021年にはAR/VR(※1)のヘッドセット出荷台数が8000万台を超え、2017年〜2021年の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は56.1%の成長率となる見込みだ。日本国内では2021年予測合計出荷台数は104.2万台、年間平均成長率は30.6%で、「世界と比べて見劣りする」と同社はいう。

※1:用語の定義
・VR:Virtual Realityの略、「事実上の、実質的な現実感」の意。仮想空間に没入する。現実世界の中に仮想データ(デジタルデータ)を表示・表現する場合は、ARもしくはMRになる。
・AR:Augmented Realityの略、「拡張現実感」の意。現実空間の視界に、文字や画像などの「現実空間を説明、補助する情報」を付加する。
・MR:Mixed Realityで「複合現実感」の略。現実空間に本来そこにはない仮想の3D情報を登場させ、なおかつ現実空間の3D形状情報をデプスセンサーやカメラの動きから取得して仮想の3D情報と相互作用させるもの。


米IDC ワールドワイド モバイル デバイス トラッカー プログラム バイスプレジデント ライアン・リース氏

 「VRコンテンツの盛り上がりはコンピューティング市場に強い影響を及ぼすと見ている。ARは引き続き盛り上がってくるだろう」と米IDC ワールドワイド モバイル デバイス トラッカー プログラム バイスプレジデント ライアン・リース氏は説明する。

 2017年内にIDCが実施した米国における調査では、「VRについて聞いたことがありますか? またその内容をどのくらい知っていますか?」という問いに対し、78%が「聞いたこともあるし、意味も知っている」と回答したという。また回答者の半数以上が半年以内のVR機器購入を予定していた。


米国におけるVR機器の認知調査(出典:IDC Japan)

 IDCでは、以下の3キーワードがVR市場を成長させるドライバとして強く立ち上がっていくと見ているという。

  • ハードウェアの出荷
  • プラットフォームの拡大
  • コンテンツ市場の勃興

 ハードウェアについて主要なものは2016年中に出荷している。2017年中にはより多くの機種が登場予定となっている。プラットフォームの話題としては、まずWindowsやAndroid、PS4などでVR対応している。さらにSteam、Windows StoreでもVR機器やコンテンツを扱っており、Google DaydreamといったVRプラットフォームも登場している。アグリゲーター(取り扱い事業者)も数多く登場し、広告市場展開も始まっている。

 2017年第2四半期における調査では、スマートフォンをHMDにはめ込むタイプのスクリーンレス型の市場が全体の54%を握っているものの、前四半期の63%から9%マイナスという結果となった。ヘッドセットはサムスン電子(サムスン)が50%を占める。2位にTCLのアルカテル、3位にGoogleと続く。スクリーンレス型のHMDの平均価格は77ドルであるのに対し、サムスン製HMDは100ドル超えとやや高価格だ。同社によれば、スクリーンレス型はロボティクス分野での利用が増加しているという。

 PCとHMDをケーブルでつなぐタイプのケーブル型の市場においては、全体の42%を占める。ダントツ1位は全体の58%であるソニーのPS VR。続くOculus Riftは全体の28%を占め、513ドルと平均価格を下げたことが功を奏して、平均価格が903ドルであるHTC Viveのシェアを抜いた。3位のHTC Viveは全体の11%を占める。ケーブル型HMDについては、価格の平均が487ドルで、全四半期の567ドルから80ドルほど下落した。ケーブル型のビジネス用途は全体の13%だった。

 2017年第2四半期中にはHMD新ブランドが16種登場し、前年同期の9種からの増加となった。なお、現在も増加中である。2位のPS VRは2017年10月に値下げしており、「1位のサムスンにさらに肉薄するだろう」(リース氏)と同社では見ている。一方、サムスンは2016年8月発売の「Galaxy Note 7」で発火事故が相次いだことで、出荷台数によろめきが見られているという。アルカテルについてはVR対象機種をさらに拡大する予定だ。Google Daydreamにおいては、対応ハードウェアの本格展開が始まっているものの、GoogleのHMDの市場的成功にはあまり寄与していないとのことだ。VR機器市場全体としては、以降も大きく変っていく可能性があるという。

 冒頭にあるように、2021年までにはVR機器市場が急成長するとIDCでは予測する。特に、スタンドアロン型(単独で機能する型)機器の急成長が期待できるという。


2016〜2012年のVR機器の市場成長予測(出典:IDC Japan)

 現状のVRが抱える課題としては、IDCは以下を挙げている。

  • インタラクションが原始的であること
  • PCリソースへの要求が高く、データも多く必要である
  • マーケティングと消費者の教育が必要である
  • 社会的な影響力を評価する必要がある

 また、セキュリティや心理面への影響の評価も必要であるとしている。

 今後、VRは大きなビジネス機会をもたらす。しかし、コンテンツ製作にはハードウェアとソフトウェア両面から投資する必要がある。消費者側のデータ品質への要求も非常に強いため、インフラへの投資もするべきだ。よって、VR向けのハードウェアやソフトウェアの双方の普及が課題となる。

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