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進化したジェネレーティブデザイン「形状合成」の無償利用が可能にAutodesk University Las Vegas 2017

オートデスクは、3D CADツール「Fusion 360 Ultimate」向けに、新機能「Autodesk Generative Design(AGD)」のテックプレビューの無償提供を始める。AGDは、その名の通り「ジェネレーティブデザイン」の機能だが、採用が広がっているトポロジー最適化や格子構造生成とは異なる「形状合成(Form Synthesis)」を利用できることが特徴だ。

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Autodesk Generative Designのテックプレビューを無償提供

 オートデスク(Autodesk)は2017年11月15日(現地時間)、同社ユーザーイベント「Autodesk University Las Vegas 2017」(同年11月14〜16日、米国ネバダ州ラスベガス)の開催に併せて、3D CADツール「Fusion 360」の高機能版「Fusion 360 Ultimate」向けに、新機能「Autodesk Generative Design(以下、AGD)」のテックプレビューの無償提供(英語版)を始めると発表した。

オートデスクのグレッグ・ファロン氏
オートデスクのグレッグ・ファロン氏

 AGDはその名の通り、コンピュータが自己生成的にデザインを生み出す技術「ジェネレーティブデザイン」の機能を持つ。ただし、従来のジェネレーティブデザインというと、トポロジー最適化や格子構造生成のように、剛性を確保しながらより軽量な形状を導き出す機能が一般的だ。オートデスクでも「Inventor」やFusion 360にはトポロジー最適化や格子構造生成の機能が既に組み込まれている。

 AGDで提供される機能は、トポロジー最適化や格子構造生成とは異なる「形状合成(Form Synthesis)」だ。オートデスクでデジタル製造とシミュレーション担当バイスプレジデントを務めるグレッグ・ファロン(Greg Fallon)氏は「トポロジー最適化や格子構造生成が条件に従って1つの目標に向かっていくとすれば、形状合成は条件を満たす形状の候補を多数挙げることで、より良い形状を探索できるようにするためのものだ」と説明する。

「AGD」で利用できる「形状合成」のイメージ
「AGD」で利用できる「形状合成」のイメージ(クリックで拡大) 出典:オートデスク

 オートデスクは2016年11月開催の「Autodesk University 2016」において、製造業向けの形状合成の機能を実用化する方針を発表(関連記事:ジェネレーティブデザインは進化する、オートデスクが「Dreamcatcher」を発表)。2017年6月には、3Dプリントソフトウェア「Netfabb Ultimate」にテックプレビューとしての提供を始めていた(関連記事:トポロジー最適化だけじゃない、将来はIoTでコンピュータが自発的にデザイン)。

 Netfabb Ultimateのユーザー向けに提供されたAGDのテックプレビューでは、2カ月間で2180個の形状案が世界中で採用され、それらに対して合成された形状は2万7886個に上る。有償のNetfabb Ultimateとは異なり、個人ユーザーや学生、売上高の小さいスタートアップなどが無償で利用できるFusion 360 UltimateでAGDのテックプレビューを利用できるということは、はるかに多くのユーザーに利用されることになる可能性が高い。「機械学習の技術がベースになっているAGDは、より多くの人に利用してもらうことで機能を高められる。ぜひ多くの人に使ってほしい」(ファロン氏)という。

「3Dプリント以外の製造方法にも対応を進める」

 AGDのテックプレビューでは、製造方法としては3Dプリントのみを選べる。3Dプリントに用いる材料は金属から樹脂まで幅広く選択可能だ。制約条件となる3D CADデータ、材料、3Dプリント時の積層厚さ、合成する形状の数などを設定すれば、後はクラウド上で自動的に形状合成を実施してくれる。

制約条件となる3D CADデータを入力クラウド上で自動的に形状合成が実施される 「AGD」のテックプレビューの画面。制約条件となる3D CADデータを入力し(左)、材料、3Dプリント時の積層厚さ、合成する形状の数などを設定する。その後はクラウド上で自動的に形状合成が実施される(右)(クリックで拡大) 出典:オートデスク
重量と安全率のグラフにマッピング形状の詳細も確認できる 合成した形状を重量と安全率のグラフにマッピングすることもできる(左)。形状の詳細も確認できる(右)(クリックで拡大) 出典:オートデスク

 合成された形状は三角メッシュデータなので、STL形式で保存すれば3Dプリンタでそのまま出力できる。選択した形状を基に、形状合成をさら実施することで異なる形状の候補を導き出すことも可能だ。

 ただし現時点では、Fusion 360が三角メッシュデータを読み込んでソリッドモデルとして扱う機能は備えていない。このため、Fusion 360上で合成した形状に変更を加えることはできない。

 ファロン氏は「今後は、鋳造や射出成形といった3Dプリント以外の製造方法を選択できるようにするとともに、合成した形状をFusion 360などの3D CADツールで扱えるようにしていく」と述べている。

(取材協力:オートデスク)

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