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2017 TRON Symposium:

「IoT-Engine」は回り始めたのか、鍵を握る実証実験の場「INIAD」 (1/2)

TRONプロジェクトが提唱する「アグリゲートコンピューティング」実現のための標準プラットフォーム環境である「IoT-Engine」。「2017 TRON Symposium」の展示会場では、前回に引き続き「IoT-Engineパビリオン」が設けられた。実動作するIoT-Engineのデモンストレーションが目玉だった前回と比べて、今回はどのような展示が行われたのだろうか。

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 TRONプロジェクトが提唱する「アグリゲートコンピューティング」の実現のために策定された、IoT(モノのインターネット)のためのオープンな標準プラットフォーム環境である「IoT-Engine」。2015年12月の「2015 TRON Symposium」で構想が発表され、翌年の2016年12月の「2016 TRON Symposium」では、東芝マイクロエレクトロニクス、ルネサス エレクトロニクス、Cypress Semiconductor、Imagination Technologies、Nuvoton Technology、NXP Semiconductors、STMicroelectronicsの7社がIoT-Engineの製品化を表明した。

IoTエッジノードのための“ラズパイ”「RF IoT-Engine」
IoTエッジノードのための“ラズパイ”「RF IoT-Engine」。1000円台で2018年2月発売の予定(クリックで拡大) 出典:ユーシーテクノロジー

 2017年12月の「2017 TRON Symposium」における、IoT-Engineの最大のトピックは、TRONプロジェクトリーダーで東洋大学情報連携学部(INIAD)の学部長を務める坂村健氏が「IoTエッジノードのための“ラズパイ”」と呼ぶ「RF IoT-Engine」の発売決定だろう。6LoWPANの無線モジュールとIoT-Engineのマイコン基板、チップアンテナより高感度な板状逆F型アンテナを1個のモジュールに集積するとともに1000円台の低価格を実現したという。2018年2月に、ユーシーテクノロジーが発売する予定だ。

 2017 TRON Symposiumの展示会場では、前回に引き続き「IoT-Engineパビリオン」が設けられた(関連記事:動き始めた「IoT-Engine」、「Smart Analog」との連携も)。実動作するIoT-Engineのデモンストレーションが前回の目玉だったが、1年たった今回はどのような展示が行われたのだろうか。

2台の扇風機モーターと1台の洗濯機モーターを「IoT-Engine」で制御

 大きめの展示ブースでデモンストレーションを披露していたのが、東芝マイクロエレクトロニクスと明光電子の2社だ。

 東芝マイクロエレクトロニクスは、前回のIoT-Engineパビリオンで提唱した「BMS(Bridge Motor Solution)」のコンセプトをより具体的な形にしたデモンストレーションを披露した。

東芝マイクロエレクトロニクスの「IoT-Engine」のデモ
東芝マイクロエレクトロニクスの「IoT-Engine」のデモ。手前にある2台の扇風機のモーターと、右奥にある1台の洗濯機用モーターをIoT-Engineで制御している(クリックで拡大)

 BMSでは、クラウドを使ってモーターを操作し、駆動データを管理/活用することをコンセプトとしている。IoT-Engineによって個々のモーターの特性データ(電流値など)で取得することにより、AI(人工知能)などによる分析を経てそれぞれのモーターに最適な動かし方をしようというものだ。「振動や騒音からモーターの故障を予測しようという取り組みがあるが、それらはあくまでメカニカルな現象の結果にすぎない。電流値などの特性を見た方がより高い精度での予測が可能になるはずだ」(同社の説明員)という。

 展示では、2台の扇風機のモーターと1台の洗濯機用モーターについてIoT-Engineを介して制御するデモンストレーションを披露した。前回も3個のモーターをIoT-Engineで制御するデモだったが「今回は、洗濯機用モーターのような大きめのモーターも制御できることを示したかった」(同説明員)。

 デモに使用した扇風機は、坂村氏が学部長を務めるINIADの構内に組み込まれている人感センサーや温度センサー、湿度センサーなどと連動した動作をはじめとする空調関連の実証試験に用いられる予定もあるとしている。

スマートファクトリーや民生、ヘルスケア向けなどの多様なデモシステム

 明光電子は、IoT-Engineと、アナログ回路をプログラマブルに設定できる「Smart Analog」の組み合わせをさまざまな産業に適用するためのソリューション事例を披露した。

 スマートファクトリー向けでは、32個の温度センサーの情報を1kmのPLC(電力線通信)ケーブルを介して取得する通信モジュール、水温センサー、油温センサー、廃棄物センサーからの情報をタブレット端末で確認できるデモシステムを披露した。

スマートファクトリー向けデモシステムスマートファクトリー向けデモシステムスマートファクトリー向けデモシステム スマートファクトリー向けデモシステム。32個の温度センサーの情報を1kmのPLC(電力線通信)ケーブルを介して取得する通信モジュール(左)と、水温センサー、油温センサー、廃棄物センサー(中央)の情報をタブレット端末で確認できる(クリックで拡大)

 民生向けでは、日本電熱の生豆から焙煎してコーヒーを作れるコーヒーメーカー「CAFEROID」をIoT端末とし、クラウド連携により新たなサービスを可能にするデモシステムを見せた。タブレット端末から選んだレシピによって好みのコーヒーを作ったり、各ユーザーの好みのレシピをクラウドで共有したりできるという。

 ヘルスケア向けでは、コスモリサーチが開発した心拍/呼吸センシングシステムを用いたスマートチェアを披露した。IoT-Engineを組み込んだ独自設計のボードと椅子に貼り付けた電極によって、バッテリー動作だけで心拍と呼吸を測定できる。

「CAFEROID」をIoT端末としたデモシステムヘルスケア向けのデモシステム 「CAFEROID」をIoT端末としたデモシステム(左)とヘルスケア向けのデモシステム(右)。コスモリサーチが開発した心拍/呼吸センシングシステムを用いたスマートチェアだ(クリックで拡大)
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