検索
特集

中国製造2025が目指すものSCF2017(2/2 ページ)

「SCF2017/計測展2017 TOKYO」では、テーマセッションに広東省自動化学会理事長の劉奕華氏が登壇。「中国製造2025の最新事情、広東省の製造業とスマート製造」をテーマに、広東省の製造業の現状および中国製造2025の活用、戦略などを紹介した。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

「中国製造2025」は何を目指すのか

 「中国製造2025」については、「中国の生産、機械装置を生産していく上でのガイドラインとなる。現在、5つのプログラムと10の重点分野を定めている。メインは情報化と工業化の高いレベルでの融合であり、スマート製造が軸となる。さらにスマート化への行動転換ではデジタル技術、自動化技術などが含まれている」(劉氏)という。

 重点分野はいずれも設備製造を中心としている。具体的には、次世代の情報技術、ハイエンドのNC工作機、航空宇宙技術、先進的な交通インフラ技術、省エネ・エコカー、電力出力設備と技術、新素材、農業関連の機械設備が含まれる。これらは設備・装置産業と大きな関連がある。この他、国が指定した知能製造、ハイエンドイノベーション型製造業など、5つの重点プロジェクトを推進している。

 さらに、ブランド化を進め、品質を上げていくことや、省エネ性を高めて、先進的なマネジメント進めていくことを目標としている。品質管理の力やR&Dも重要としており、スマート製造や最先端技術への投入を増やす方針だ。そのためにはネットワーク技術や、インフラに関わる設備産業の高度化も進める方針だ。

 これらの旗印の下で「2025年には中国製造業の全体的な水準を製造強国といえるレベルに引き上げなくてはいけない。現在はまだ、日本とは開きがある。強い製造業の国となるべき努力をして、2045年には世界でも最高クラスの技術を持ち、世界をリードできるような製造強国へと成長するという目標がある」と劉氏は力強く語った。具体的には通信設備、電力設備、交通インフラ設備、航空宇宙関連設備の先進化などを挙げる。ファーウェイなどは既に世界の最先端を歩んでおり、良い事例となっているという。

 続いて船舶技術、ロボット、自動車などでも技術力を世界レベルまで引き上げる方針だ。この他、ブレークスルーが期待される技術として「インターネットプラス」「産業スマートクラウド」「高性能の金属素子」「積層製造技術」を挙げる。「これらの技術は近い将来、大きなブレークスルーが生まれると見ている。特に通信技術は中国では世界に先駆けた技術開発なども行っている」(劉氏)としている。

 一部の重点分野においてピンポイントに難関技術の突破を図るという目標もある。この分野は大きな進展を図ることが可能で、例えばスマートセンサー、メーターパネルがある。「とりわけスマートメータ―、センサーは中国には技術の蓄積があり、日本と提携できると考えている」(劉氏)と期待する。

中国製造2025の9つの行動プラン

 中国製造2025を進めていく上で、9つの行動プランも定めている。その1つは製造業イノベーションセンターを建設するプロジェクトだ。その中には基礎研究となるものがあり、例えば新たなエコシステムを作り、それにより産業のコアとなる競争力を引き上げることを目指している。また、鉱工業の基礎を強化するプロジェクトにおいて、その基礎となる重点的な基礎材料の難題の解決、コアコンポーネントの技術の解決、先進的な生産工程のイノベーションを図ること、そして、技術の基礎の強化などに取り組む。

 ハイエンド設備においても「ハイエンドの設備技術を手に入れることで、主導権を握ることを目指す。コアとなる技術や部品は、今は輸入に依存しているが、2025年にはハイエンド設備事業も国産化がかなりの度合いで進むことを予想している。航空宇宙産業などは重要な技術であり、部品は国内で開発、製造できるようにしていく」(劉氏)。スマート製造業の技術向上に向けては、製造業の構造転換を図ることに取り組み、自動化の水準を高めていく方針だ。

 省エネや環境に配慮したグリーン製造にも取り組んでいく。デザインから、製品、応用までライフサイクルの中で「グリーン」という概念を植え付ける。加えてサービス型製造に関するアクションプラン作成も進める。生産型から生産・サービス型へと転換を図り、サービスによる付加価値を創出する。品質・ブランドの向上に関わるアクションプランを作りも推進し、品質の向上、ブランド力強化に取り組み「品種を増やし、品質を高め、ブランドを構築する戦略」(劉氏)を取る。

 製造業に関する人材育成のプランも立てている。「デザイナーだけでなく、現場で最新の技術、装備を使える人間を育成する必要があり、現在最も重要な課題であり、日本と協力していきたい」と劉氏は述べている。

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る