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» 2006年01月24日 00時00分 公開

ソフト開発を重視しない業界体質に変革を組み込み開発者の本音トーク(前編)(1/3 ページ)

座談会形式で組み込み開発者のホンネを大公開する。前編では、ソフトウェア開発の重要性を理解しない上層部がヤリ玉に挙がった

[宮崎 裕明 横河ディジタルコンピュータ,@IT MONOist]

―― 組み込みソフトウェア開発の改善活動にかかわってこられた方々をお招きし、座談会を開くことにしました。本日は3名の現役組み込みソフトウェア技術者にお集まりいただいています。まず、簡単にプロフィールをどうぞ。

A氏 私は入社11年。入社以来、半導体関連装置の主に画像処理にかかわるソフトウェアの開発を担当してきました。5年ぐらい前から、装置自体のプラットフォームを変えるといったことが始まり、その辺からソフトのボリュームが格段に増えてきました。何かしないといけないとは感じていても、何をすればいいのか分からないという状態が続き、1年ほど前、ソフトウェア開発の改善にどういう方法があるのかをリサーチするよう命ぜられました。その後、カンファレンスやセミナーに参加したりして、ソフトウェア開発を何とかできないか調べています。調べると同時に、それらの情報を開発部門全体に広めるのも私の役割です。

B氏 私は入社12年目です。入社後5〜6年は、客先に常駐していましたが、社に戻ってからは、主に携帯電話のソフトウェア開発を担当しました。メーカーからの受託で、特にハードに近い部分のソフトを担当し、いままでのノウハウや経験をベースに品質向上の取り組みをしてきました。現在は、携帯電話やデジタル家電のソフト部隊の取りまとめ的な役割です。私はハードの回路設計をしていたわけではなく、あくまでもソフト部隊です。ソフトは、ハードのできる範囲でしか動かない。しかしハードの仕様はなかなか決まらず、コロコロ変わる。それをどうやったら期日に納められるかと、ハードの人たちを巻き込みながら、改善してきました。そもそも、ハードの選定が決まっていないことが多いですし、開発途中でパーツが変更になることもある。その移行も含めて検討していかなければなりません。

C氏 私は、入社15年。測定器のソフトウェア開発をやってきました。私自身もエンジニアですが、メンバーのマネジメントをする立場でもあります。製品の性格上、とにかく品質は絶対。お客さまが開発している製品の進化に追従しなければならず、仕様変更は頻繁。短納期に悩まされてきました。

座談会参加者 座談会参加者。今回は参加者に本音を語ってもらうため、各人の氏名や所属、取引先などは伏せ、覆面形式とした。(編集部)

厳しい状況は10年前から変わっていない?

―― 最近、組み込みソフトウェア開発は、旧来のやり方では難しくなったといわれています。皆さんの入社当時、現在と比較してソフトウェア開発は楽だったのでしょうか。

B氏 例えば、電子手帳やワープロなどでは、いまほどではないにしても、ソフトとして作る量としては多かったですね。分野にもよるかもしれませんが、コードの量はいまより少なめでも、品質も含めて厳しい状況は以前からあったと思います。

C氏 最近の携帯電話ほどではないかもしれませんが、ソフトウェア開発が厳しい状況はあったと思います。例えば自動車の周辺部分、エアバックや最近ならカーナビなどは、携帯電話に近い状況があったのではないでしょうか。短納期、品質重視、忙しさという点では、携帯電話に始まったことではないと思います。

A氏 私のところでは、いまの方がコード量や納期の面では厳しいかな。入社したころは、画像処理だけが専用の1つのコンピュータで動いていましたが、UIと統合されて動くようになってから、ソフトのボリュームが明らかに増えました。構成が変わったことや、範囲の広がりによる大変さというのはあります。仕事のやり方という点では、私の部分はいまでも職人的ですよ。ソフト部隊のうち、例えば画像処理部分を実際に組んだことのある開発者はほんの一握り。全部を知っている人はいないと思いますね。立場が上の人なら広く浅く知っていますが、深く知っている人は逆に専門的になってしまう。また、ソフト部隊といっても、機種ごとに分かれていて、横のつながりは薄いという現実もありますね。

A氏 A氏。半導体関連装置の画像処理ソフトウェア開発を担当する。ソフトウェア開発のプロセス改善に取り組み、社内意識の改革に奮闘中

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