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» 2006年02月10日 00時00分 公開

開発者は自ら“改善”に向けて立ち上がろう組み込み開発者の本音トーク(後編)(2/3 ページ)

[宮崎 裕明 横河ディジタルコンピュータ,@IT MONOist]

厳しい現実、だけどソフト屋にできることはあるはずだ

B氏 やっぱり、血を流さないと無理なのではないでしょうか(笑)。私が開発プロセスの改善に取り組んだ当初は、ソフト部隊は品質管理ツールの基準値よりはるかに悪いので、1日置きぐらいにけちょんけちょんにいわれましたよ(笑)。進ちょく会議も憂うつだったし。でもその中で、自分たちにもできることを見つけて、積み重ねていくしかなかったですね。やっていることは変わらないけれど、同じこと繰り返していれば能力は付くし、無駄なことを自然と省けるようになったり、要領が分かってきたりする。


 例えば、まずドキュメントや議事録をきちんと付けるとか。こういうことは積もるとつらいし、ソフト屋さんはその辺を後回しにする習性がありますからね(笑)。見積もりだって、ちょっと余裕を見ていても割り込みがたくさん入ってくる。割り込みを計算に入れることができて、スケジュールに余裕を持てれば違ってくる。おっくうでも、小さなことでも、とにかくできることをやるのが重要でしょう。蓄積されてくると必ず役に立ちます。

―― そうすると、ボトムアップ的に改善する方がうまくいくのでしょうか。トップダウンというやり方もあると思いますが。

B氏 上を説得するのは難しいので、やっぱり下からがいいのではないかな。自分たちがやっていることをいい方向に持っていこうという取り組みですから。上から来るときはお金の話ばかりだったり、無茶なことをやれっていわれることも多々あります。具体的な施策がないまま、概念だけが降りてくることも多いし。下から始める改善の方が成果につながると思います。

C氏 継続性がありますよね。自分たちが納得していることなので。上から来ると押し付けられたという感じになってしまうし。ISOとかで、結構痛い経験していたりするんじゃないですか。

A氏 押し付けられたように感じると、拒絶反応になってしまう。実際にやる人たちがある程度納得してやっているというのは、推進エンジンとしては大きなエンジンだと思います。

C氏 上の人たちは夢を見ているようなところがありますね。いまの現場は彼らが現場にいたときとは違いますから。

―― 現場にいる人たちが、工数や人数の見積もりを上の人たちに説明して、納得してもらって、市民権を取り戻すような活動が必要なんでしょうか?

C氏 全社的に認められるかどうかは別としても、そもそも自分たちがつらいので、現場では何かやってみているんですよ。小さなことかもしれないけれど、日々どこかを改善している。ただ、それを手順化できるかというとしにくいし、そういう意味では、改善そのものも職人芸になっているのかもしれません。でも効果はある改善だと思いますね。

―― その辺りをアピールしていかないと、だんだん苦しくなってくる?

C氏 そうですね、プロセス改善の成功事例を見ていくと、現場のリーダーが改善しようと立ち上がっているケースが多い。最初は小さなグループでも、独自の施策で成功を収めて、それが広がっている。トップダウンだとやらされ感が強くて、真の改善にはならず、成功につながりにくいのではないでしょうか。よほどカリスマ性のあるトップでないと。一方で、エンジニアは自分の仕事に関しては、すごく効率を求めますから、それをオープンにしてルール化できるなら、成功するかもしれません。

―― やり方にうまいお手本などがあればいいのですが、「リーダー頑張って」だと、人の力量に影響するということでしょうか?

C氏 現実、そういう部分もあるんじゃないかな。

B氏 中間にいるリーダー、主任クラスを見ていると、下から来るアラートを上に上げている場合はうまくいくように思います。せっかく良いことをやっていても、上から見ると何をやっているのか分からないという傾向もあるし。中間にいる人たちが、下をちゃんと見ていて、かつ上にも見せているというのがいいのではないでしょうか。

―― その辺が現場だけで完結してしまうと、広がっていかない?

C氏 うまくいった例があったとしても、それはソフトの成功であって、プロジェクトの成功とイコールではなかったりするんですよ。ソフトはうまくいっても、プロジェクト全体は意外と遅れていたりする。その辺も、表に出にくい原因になるんじゃないでしょうか。

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