Visual Studio 2005によるOSイメージ構築Windows CE 6の全貌(2)(1/3 ページ)

Windows CEを実機に組み込むには、OSイメージを構築する必要がある。開発環境の整備からOSイメージ構築までの手順を紹介する

» 2006年09月05日 00時00分 公開
[松井 俊訓/杉本 拓也 富士通ソフトウェアテクノロジーズ,@IT MONOist]

 前回は、Windows CE 6の強化点を現バージョンのWindows CE 5.0と比較しつつ解説しました。今回はWindows CE 6ベータ版を利用して、OSイメージの構築方法を解説します。

Windows CE開発環境の構築

 前回の最後に説明したとおり、Windows CE 6のベータ版はVisual Studio 2005とPlatform Builderプラグインの2枚組DVDで構成されています。Windows CE 6のOSイメージを構築するには、まず開発環境を整備する必要があります。

Visual Studio 2005のインストール

 最初に、Windows CE 6のベータ版DVDに収録されているVisual Studio 2005をインストールします。ちなみに、ベータ版に含まれているのはProfessional Editionです。Visual Studio 2005のインストールウィザードで表示される「Options Page」では、利用する言語の「Smart Device Programmability」を選択します。Windows CEのアプリケーション作成では必須のオプションとなります。

Visual Studio 2005インストーラの「Options Page」 画面1 Visual Studio 2005インストーラの「Options Page」。「Smart Device Programmability」はデフォルトでオンになっている

Platform Builderプラグインのインストール

 Visual Studio 2005のインストールが終わったら、「Windows CE 6 Beta」と記載されたDVDをドライブに挿入し、Platform Builderプラグインをインストールします。Platform Builderプラグインのインストールウィザードで表示される「Setup Type」ページでは、通常「Custom(Tools and OS)」を選択します。また「Custom Setup」ページではビルド対象のプラットフォームの選択や共通コード、ツールのインストールを選択します。

 このページの「Shared Source for Windows CE6 Bata」ツリーを展開すると、Windows CEがサポートしているプラットフォーム(Emulator、x86、ARM、MIPS、SH4、XSCALE)が展開されます。ここで、OSイメージを起動させるプラットフォームを選択します。「Emulator」を選択すると、Windows XPで起動可能なWindows CEエミュレータを構築できます。なお、Windows CE 6での強化点として、ARMベースのエミュレータ構築が可能になりました。

Windows CE 6のサポートプラットフォーム 画面2 Windows CE 6のサポートプラットフォーム

 選択したプラットフォームに対応したライブラリや実行モジュールがインストールされますが、そのほかにサンプルのBSP(Board Support Package)がインストールされます。BSPはプラットフォームやWindows CEをサポートする評価ボードごとに用意されており、ターゲットデバイスに対応するためのドライバやOALコード(ハードウェア依存部を吸収する部分)、ブートローダを含んでいます。Platform Builderプラグインに標準添付されるBSP以外にも、Windows CEをサポートしている評価ボードに対応したBSPがサードパーティから提供される場合があります。

 「Custom Setup」ページで「Shared Source for Windows CE 6 Beta」(画面3赤枠部分)を選択すると、Windows CEのカーネルのソースコードがインストールされます。Windows CEは、マイクロソフトのOSの中で唯一カーネル部分のソースコードが公開されており、このソースコードを利用してカーネルのデバッグが可能です。また、マイクロソフトと契約を結べば、カスタマイズしたカーネルを製品に組み込むこともできます。

Shared Source for Windows CE 6 Betaでソースコードのインストールが可能 画面3 Shared Source for Windows CE 6 Betaでソースコードのインストールが可能

 次にインストール先を指定します。プラグインツールのデフォルトのインストール先は、X:\Program Files\Windows CE Platform Builderになります。Windows CEのOSイメージを構築するのに必要なファイルは、X:\WINCE600がデフォルトのインストール先となります(注)。

※注:「X」はドライブレター。


 インストールが完了すると、指定したWINCE600フォルダに以下のフォルダが作成されます。

Public OSイメージ構築で利用される共通ソースコード、ライブラリを格納
Platform フォルダごとにBSPを格納
Private 共通コードをインストールした場合、このフォルダ配下にカーネルのソースコードを格納
SDK 各種ツール類を格納
Others 各種ライブラリ、サンプルコードを格納

 これらのフォルダに格納されているソースコードやライブラリを利用して、Visual Studio上でWindows CEのOSイメージを構築します。

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