モデル駆動型開発にSysML対応ツール登場!組み込みイベントレポート(2/2 ページ)

» 2007年05月25日 00時00分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]
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何でもあるあるESEC

 ガイオ・テクノロジーは、ソフト技術者向け仮想搬送路シミュレータ「G-VPM」を出展した。同製品は、複合機、プリンタなどの紙搬送路制御ソフト検証用シミュレータで、Microsoft Visio(以下、Visio)で簡単にシミュレーションモデルを開発できるという。また、Visioで定義された2Dイメージの位置情報から3Dのシミュレーションモデルを自動生成することが可能だ。さらに、マイコンシミュレータ(ISS)「System-G」と連携させることでシステムシミュレーションが可能となるという。


ISSに接続せずにスタンドアロンでアニメーション動作させることも可能 ISSに接続せずにスタンドアロンでアニメーション動作させることも可能

 東芝ソリューションは、「可視光通信ソリューション」の展示デモを行った。送信機のLEDで音声データを送信し、受信側で受け取った音声データを再生するというもの。

音声データをやりとりする送受信機 音声データをやりとりする送受信機

 可視光通信とは、その言葉どおり目に見える光でデータ通信を行うことである。LEDなどの可視光素子の点滅を利用して通信を行う。既存の照明などに変調装置を追加するだけで利用できるため、信号機のLEDに渋滞情報や位置情報などのデータを含ませ、その情報を自動車に送信するといったことも可能になるという。同社は、可視光通信コンソーシアムに参加し、標準化活動を行っている。

関連リンク:
東芝ソリューション

 イーソルは、POSIX仕様準拠のリアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」を出展。同製品は、pthread、シグナル、プロセス間通信(IPC)などをサポートしたPOSIX仕様準拠のリアルタイムOSだ。同製品を使用することで、LinuxやUNIX系OSの資産を再利用することができるという。

 説明員は「POSIXアプリケーションとT-Kernelアプリケーションの共存が可能となり、POSIXユーザーとT-Kernelユーザーのどちらにもメリットがある」と話す。同製品のベースは、eT-Kernel/Extendedで、POSIXの機能自体はサブシステムとライブラリとして実装されている。

関連リンク:
イーソル
eT-Kernel/POSIX

LSI・オブ・ザ・イヤー結果レポート

 イベント初日に「第14回 LSI・オブ・ザ・イヤー」の受賞式が行われた(「デバイス部門」「設計環境・開発ツール部門」の2部門で構成)。ここでは、数あるLSI製品・技術、LSIの設計環境・ツールの中から栄誉を勝ち取った受賞製品について紹介する。

西岡 寛氏 シャープ 電子デバイス開発本部長 西岡 寛氏

 デバイス部門でグランプリに輝いたのは、シャープのワンセグ用マルチメディアLSI「LR38888」だ。

 同製品は、携帯電話やポータブルテレビなどのバッテリー駆動機器向けに開発された低消費電力(150mW)のワンセグ受信用動画(H.264)/音声(MPEG-2 ACC)デコードLSI(画像・音声出力インターフェイスも内蔵)で、視聴用のファームウェアにより既存システムへの導入も短期間で行えるという。同社は「本製品は、アドオン形式なので新規にワンセグ機能を開発するよりも1、2カ月程度の短縮が可能になる」と説明した。すでに複数の国内携帯電話、ポータブルテレビに採用されているという。今後の開発について同社は「高画質化とコストダウン追求する」と話す。

 以下、デバイス部門の受賞製品。


西 龍己氏 NECシステムテクノロジー 取締役執行役員常務 西 龍己氏

 設計環境・開発ツール部門でグランプリ受賞したのは、NECシステムテクノロジーの「CyberWorkBench」だ。

 同製品のコンセプトは「ALL-in-C」。すべての回路をC言語で設計(All Modules in C)、合成も検証もCソース(All processes in C)で行うという統合環境だ。これまで、動作合成はデータ処理系に適用して、制御回路はRTLで設計していたが、同製品ではシステムLSIのすべてのデジタル回路設計をC言語で行うことができるという。また、プロパティ検証、アサーション検証などもC言語で行えるとのこと。2006年の発表以来、NECグループ以外の企業でも採用されている。

 以下、設計環境・開発ツール部門の受賞製品。

関連リンク:
LSI・オブ・ザ・イヤー



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 昨年に引き続き、初日から非常に多くの来場者で会場内はあふれかえっていた。主催者(リード エグジビジョン ジャパン)は、同時開催展を含め参加企業1381社、来場者11万626名(前回:9万538名)と発表。とても1日では回り切れない。人もごった返し、非常に疲れる……。しかし、あらゆる新製品、技術などを見て、触れることのできる良い機会であり、組み込み業界のトレンドをウオッチするには格好の場であった。

 規模も拡大し、ますます盛り上がりを見せるESEC。来年はどのような新技術、新製品に出会うことができるのであろうか。


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