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» 2007年09月20日 00時00分 公開

成型部品設計のツボ(1):肉厚と抜き勾配を押さえるべし! (1/3)

成型部品設計と3次元モデリングのツボをピンポイントで押さえるべし! 射出成型・金型設計のプロフェッショナルが解説する。

[佐藤 正/ウィッツェル,MONOist]

3つの製造工程と部品設計

 機構部品の設計は、後工程の部品製造工程から大きく影響を受けます。従って、後工程の検討抜きに設計は完了しません。

 まったく新しい製品開発においては、「機能設計」のフェーズを完了した後に、後工程の部品製造の検討を加えた「生産設計」のフェーズに移行する場合があります。しかし、多くの製品設計においては、部品の製造方法を検討しながら、設計を同時並行的に進めていきます。従って、部品の製造方法の知識を持つことが機構部品を設計する重要な要素になっています。

 機構部品の製造工程は、大きく分けて、「プレス」・「切削」・「成形」の3種類があります。

プレス部品

 プレス部品の代表的な加工法は、金属プレスです。金属プレスでは、金属板を用いて切断、曲げ、絞りなどの金型を用いた加工で形状を仕上げます。主に、自動車部品(ボディ、ガソリンタンクなど)、家電部品(テレビ・ラジオなど)、スチール風呂おけ、スチール机などが金属プレスで生産されています。

  設計とモデリングの主な留意点は以下になります。

  • 金属の板を加工するので、部品の板厚は一定でなければいけません
  • 1枚の板を加工しますので、折り紙のように、1枚の板に展開可能な形状でなければいけません(多くのCADには「板金モジュール」が用意されているので、展開した形状を簡単に検証できます)

切削加工部品

 切削加工とは、材料の不要部分を工具(バイト・カッター)で除去して形状を作る方法で、金属加工では最も一般的な方法です。また、ワークや刃物が通過できることが条件ですが、比較的自由度の高い形状が作成可能です。

 切削加工は使用する機械の名称で区別されることが多く、旋盤(せんばん)加工・ボール盤加工・中ぐり加工・フライス加工・平削り加工・スロッター加工があります。中でも代表的な加工法は、「旋盤加工」と「フライス加工」です。

 旋盤加工では、工作物(ワーク)を回転させ、その回転しているワークにバイト(刃物)を当て、バイトに送り運動(直線運動)をさせることにより形状を作ります。フライス加工では、エンドミル(刃物)を回転させ、ワークも直線運動させて、平面の削り出し、穴開け、溝の加工などを行います。  

成形部品(金属・プラスチック)

 金属部品における代表的な成形法は、ダイカスト(Die Casting)です。ダイカストでは、溶融させたアルミニウム合金や亜鉛合金、マグネシウム合金などを高い圧力で金型に流し込んで形状を作ります。主に自動車のエンジン周辺部品、精密機器部品などに使われています。

 プラスチック部品における代表的な成形法は、射出成形(injection molding)です。射出成形では、溶融樹脂(プラスチックの原料を加熱し、液体状になったもの)を高い圧力で金型に流し込んで形状を作ります。日常目にするプラスチック製品の90%が射出成形によるもので、家電部品(テレビ、OA機器)、自動車部品、雑貨などが生産されています。

 双方とも、溶融させた原材料を金型に注入して形状を作成することから、部品設計のポイントも似ています。

 「成型部品設計のツボ」では、射出成形や金型技術の技術解説を行いながら、プラスチック成形部品の設計の留意点、およびモデリングのツボを紹介していきます。

射出成形の仕組みを理解する

 まず成形部品の設計に当たって必要な成形・金型技術を解説します。

射出成形のプロセス

 射出成形は以下のプロセスで行われます。

1.型締め工程(図1、2):金型を成形機に取り付け、金型を閉じて成形を開始します

図1 型締め工程(金型取り付け)
図2 型締め工程(成形開始)

2.射出・充填(じゅうてん)工程:溶融樹脂を高い圧力でキャビティ側から金型内に注入し金型の隅々まで充填させます(図3)

3.冷却・固化工程:充填された溶融材料を冷却し(金型の水管に冷却水を通して冷却)固化させます(図3)

図3 射出・充填/冷却・固化工程

4.型開き・成形部品の取り出し工程(図4、5):金型を開き、金型から成形部品をエジェクターピンで突き出した後、成形部品を取り出します。以上で成形の1サイクルが終了します。

図4 型開き
図5 成形部品の取り出し
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