連載
» 2007年11月08日 00時00分 公開

完全マスター! 電子回路ドリル(20):【問題18】 トランジスタ増幅回路(2)

今回は、トランジスタの増幅作用により「音声信号を増幅する回路」の電圧増幅率を求める方法について解説します

[横田一弘 埼玉県立新座総合技術高等学校 教諭,@IT MONOist]

【問題17】の解答

 【問題17】のような増幅回路において、入力信号は何倍に増幅されるか? 電圧増幅率AVを求めなさい、という問題でした 。

 皆さん解けましたか?

 解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。

 それでは、解答を発表します!


【問題17】の解説

 【問題17】はトランジスタの増幅作用により、「音声信号を増幅する回路」の電圧増幅率を求める問題です

 【問題17】のトランジスタ増幅回路は“エミッタ共通回路”です。エミッタ共通回路では、信号入力にベース、信号出力にコレクタを使います。しかし、直接ベースに音声信号を入力することはできません。なぜなら、ベース−エミッタ間電圧VBEが0.6から0.7Vを超えないとベース電流IBが流れないからです。


 そこで、【問題17】のトランジスタ増幅回路では「入力信号(交流)に直流電流・電圧を加えたものをベースに入力し信号を増幅させる」いわゆる“バイアス方式”により信号を増幅しています。

 それでは、図1をご覧ください。

固定バイアス回路の各部の波形 図1 固定バイアス回路の各部の波形

 【問題17】のトランジスタ増幅回路では、抵抗RBを通じ電源VCCからベース電流IBを供給してトランジスタをバイアスしています。このようなトランジスタ増幅回路を“固定バイアス回路”と呼びます。

 図1において、コンデンサCIとCOを“結合コンデンサ”と呼びます。コンデンサは交流電流のみを流す作用があるため、CIによりバイアス電流IBは入力端子に流れ出ません。またCOで直流分がカットされるので、出力端子には交流分の電流だけが表れます。

 このように、トランジスタ増幅回路の各部の電流・電圧には直流分と交流分があるため、その表記に工夫が必要です。

 ここで直流分と交流分を区別するために、

  • IB、VCEのように、英大文字の表記は直流分
  • vi、ibのように、英小文字の表記は交流分
  • hFEは直流電流増幅率、hfeは交流電流増幅率

と表すことにしましょう。

 この表記に従い、固定バイアス回路の各部の電流・電圧を以下に示します(図2)。

固定バイアス回路の動作 図2 固定バイアス回路の動作

 図2において、固定バイアス回路の動作は次の3つの式で理解できます。

(1)入力電流について、ベースに流れる電流ib+IB

(2)電流増幅について、コレクタに流れる電流ic+IC

(3)出力電圧について、コレクタ−エミッタ間電圧vo+VCE

バイアスの計算

 バイアスは回路の直流分を意味します

 固定バイアス回路では、「出力の振幅を最大にするために、VCEをVCC/2にする」ようにトランジスタをバイアスします。ここで、【問題17】のバイアス抵抗RBを調べてみましょう。

 コレクタ電流ICは、

となります。

 そして、ベース電流IBは、

となり、バイアスとしてベース電流を30μAとしたとき、最大振幅が得られることが分かります。

 そのための抵抗RBは、

となり、【問題17】ではRBを360kΩに設定しています。

電圧増幅率の計算

 それでは【問題17】を解いてみましょう。ここでは回路の交流分を考えます。

 まず、ベース電流ibは、

となります。

 次に、コレクタ電流icは、

となります。

 そして、voは、

となります。

 では、電圧増幅率AVはというと、

となり、エネルギーとしては「66倍」、そして負の数値であることから波形が反転(プラスとマイナスが逆転)することが分かります。

次回までの宿題 ― 【問題18】

次回までの宿題【問題18】

関連キーワード

回路 | ハードウェア | マイコン | 設計


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.