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» 2007年11月15日 00時00分 公開

第5回 全日本 学生フォーミュラ大会 レポート(2):目指せ総合優勝! UTFFの4日間 (1/3)

東京大学のフォーミュラチームのリーダー自らが、大会出場の体験記をつづった。ものづくりの成果から起こる感動。

[秋元健太郎/東京大学工学部 産業機械工学科 設計工学研究室,MONOist]

「学生フォーミュラ」とは?

 1981年、製造業の衰退に危機感を覚えたアメリカで、大学生への実践的な教育の1つの形として「Formula SAE」(アメリカ自動車技術会 主催)が開催されました。レギュレーションに従い、学生自らの手でレーシングカーの企画、設計、製作を行い、競うというこの大会は、現在約140校が参加するまでになっています。

 日本でも、レギュレーションなどをFormula SAEに準拠する形で2003年から「全日本 学生フォーミュラ大会」が開催され、今年で5年目を迎えました。日本大会の参加校は、1回大会では17校でしたが、このたびの5回大会では62校まで増加しました。「学生フォーミュラ」は大学の工学部を中心に、北海道から九州まで、日本全国へ広がりつつあります。

第5回大会の集合写真(提供:自動車技術会) *画像をクリックすると拡大します

 それぞれの大学チームは「アマチュア週末レーサーに販売すること」を仮定して車両を製作します。従って、加速性能、ブレーキ性能、操作性能、耐久性能が優れているだけでなく、美しさ、快適さ、低コスト、メンテナンス性を高めることも要求されます。

 また、1日当たり4台の生産計画を基に、その車両の実質コストは2万5000USドル(*300万円前後)以下としています。さらに、車両製作に当たっての車体フレームとエンジンに関する制約を必要最小限にすることにより、独創性や構想力が発揮できるようになっています。

マシンに関するレギュレーション

 安全にかかわる部分以外は最小限の制約にとどめられています。

  • タイヤがカウルで覆われてなく、コクピットがオープンなフォーミュラスタイルの車両であること
  • 4サイクルピストンエンジンで排気量610cc以下。オリジナル設計の過給機の装着は可。リストリクター(吸気制限装置)の最大直径は20mm
  • ホイールベース1525mm以上。トレッドは、フロントまたはリアの大きい方に対して75%以上、ホイールは8インチ以上
  • 横転・正面衝突・側面衝突時にドライバーを保護するために、メインフープ、フロントフープ、フロントバルクヘッドおよびこれらのブレースやサポート、側面衝突保護構造体などについて構造・材料などの詳細を規定

競技種目

静的審査

  • コスト審査:製造コスト、その見積、製造工程を評価
  • デザイン審査:工夫された設計を評価
  • プレゼンテーション審査:マシンの商品性についてのプレゼンテーションを評価

動的審査

  • アクセラレーション:75m直線発進加速のタイム
  • スキッドパッド:左右それぞれの定常円旋回のタイム
  • オートクロス:直線、コーナー、スラロームからなる約900mのコースの1周タイム
  • エンデュランス:22kmの耐久走行のタイム
  • 燃費:エンデュランスでの燃料消費

私たちが「東京大学フォーミュラファクトリー(UTFF)」です!

 東京大学フォーミュラファクトリー(UTFF)は、2002年6月に工学系研究科産業機械工学専攻の草加浩平教授(当時は助教授)の呼び掛けで発足しました。全日本学生フォーミュラ学生大会(FJSAE)、そしてFormula SAE(米)で優勝することを目標に活動しています。

フレーム溶接の様子

 現在、約40名のメンバーが活動しております。メンバーは工学部機械系3学科、教養学部1、2年生のメンバーが大半ですが、他学部や文系のメンバーもおり、各自の得意分野、興味のある分野に合わせて活動しております。主な活動場所は本郷工学部8号館地下2階、「メカノデザイン工房」で、学生自身が旋盤・フライス盤・NCなどを用いた機械加工や溶接を行っています。

 文系メンバーは、UTFFの活動とはまた別に、NPOである「自動車技術を学ぶ会」で、講演会の主催を行ったり、工場見学の開催などの活動を行ったりもしています。

 UTFFではこれまで6台のマシンを製作してきました。そのすべてに「SUZUKI SKYWAVE650用エンジン」を搭載し、チームで自作した基板によって自由に制御可能な電子制御CVTにより、2ペダルATレーシングカーを実現しています。このエンジンを搭載するため、ドライバーの横にエンジンを置く「サイドエンジンレイアウト」を採用しています。元々スクーター用である細長いエンジンをドライバーの後に配置すると、ホイールベースが長くなってしまい、道幅の狭いフォーミュラのコースでの走行で不利になってしまうのです。

 また、昨年度から搭載しているターボチャージャ(過吸圧1.0kg/cm2、最大トルク9.0kgm、馬力82PS)の開発をさらに進めるとともに、直結デフの採用など新技術を取り入れ、軽量化にも取り組みました。

UTFF08:コンセプト「Easy Drive〜楽に・速く走れるフォーミュラカー」
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