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» 2007年12月27日 00時00分 公開

エレメカ協調セキララ事情(2):複雑化した設計をこなすには従来のCADでは限界!? (1/2)

複雑化したエレメカ協調設計に対応するには第3世代モデリング手法が有利。とはいっても、長年慣れ親しんだツールには思い入れもあるものだ。今回はCADLAB編

[小林由美,@IT MONOist]

 エレメカ協調セキララ事情(1)では、横河電機 竹原 徹氏にご登場いただき、設計現場におけるエレメカ協調事情についてお話ししていただきました。基板設計データを3次元化してメカCADへ取り込めるようになり、機械設計側の工数や心理的な負担はかなり減ってきたとのことでしたが、システムやツール面での課題やリクエストがまだあるようでしたね。

 今回は、エレメカ協調設計において重要な役割を果たすツール・3次元CADの運用コンサルタント側の意見のご紹介です。CADLAB 取締役 栗崎 彰氏にお話をお伺いしました。

設計が複雑化してきて、協調設計も悩ましく

――機械設計CADと基板設計CADと設計思想の違いについて

 機械設計も電子設計も「要求→機能→実装」という手順で進むわけですが、電子設計ではこれが「論理→回路→基板」という形で踏襲されています。ところが機械設計では、3次元CADを使い出した途端、いきなり形状を作る場合が多いように思います。それでも何とか3次元CADが使えているのは新製品の基となる既存の製品の図面があるからだと思います。図面を3次元CADでソリッド・モデルに起こすからです。ところがまったくの新製品の場合は前例がないわけですよね。

 機構部品と電子部品とが比較的明確に分かれていた時代ならそれでも特に問題はなかったんです。しかしながら、いまの設計事情はそんな単純ではなくなってきています。

CADLAB 取締役 栗崎 彰 氏:過去には、日本Linux協会の理事も勤めた

――設計事情が複雑化してきている?

 最近の自動車開発では電装部品がどんどん発達してきて、従来の機構部品がどんどん電装部品へ置き換わり、家電(コンスーマ機器)の設計でも市場から小型化を強く要求される事情により省エネ対策やノイズ対策が重要となってきています。どちらにせよ、電子設計と機械設計の絡み付きが複雑になってきているという現状は共通しています。

 上記のような状況なので、エレメカ両者の協調設計の現場がますます混乱しやすくなっているのではないでしょうか。両者がスムーズにコミュニケーションを取れるような工夫を凝らしたり、複雑になってきた協調設計をなるべくシンプルにできるよう工夫したりなどが、より強く要求されてきていると思います。それを実現するため、最適なITのシステム、ツールの検討をすることも課題の1つではないでしょうか。

――機械設計CADと基板設計CADとの間のデータ交換でよく使われるIDFファイルは、化けてしまったり、読み込みが正常にできなかったりというケースを聞くことがありますが……(前回インタビューも参照)。

 IDFファイルは、中間ファイルです。同じ中間ファイルの仲間であるIGESも結構不安定ですから、それは仕方ないのかもしれません。それは、みんなが無料で自由に使える「公衆の場所」と同じ概念だと思うからです。

 公共の場所というのは、すべての人に満足してもらえるよう、いちいち高価な花を飾ったり、きれいな布で飾ったりといったような整備って完ぺきにはできないものです。そういう事情と同様に、どのCADでも完全に化けない中間ファイルの開発、あるいはCADの改善というのには無理があるのではないでしょうか。

――中間ファイルが当てにならないものだとすると?

 中間ファイルによるデータ交換だとトラブルをなくすのには限界があるので、ネイティブなデータを使うことがベストだと思います。

 しかし機械設計CADと基板設計CADは、設計思想やアーキテクチャが異なるため、現状普及している3次元CADのネイティブなデータを扱おうとすると、ソフトウェア的にクリアするべき問題があります。基板設計CADでは2次元が基本であり、立体の概念がもともとないものです。一方機械設計CADでは(2次元CADであっても)3次元の形状を考慮しながら形状設計をします。また両者間は、検討するプロパティも違いますから。

――上記が考慮されたCADなら、機械設計から電子設計へ3次元の設計情報を自動フィードバックすることも可能ですね。

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