団塊世代のナレッジもCADデータに反映! 新XXenトヨタケーラム新製品発表

» 2008年04月09日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 トヨタケーラムは、2008年4月8日、自動車業界向けCADの「Caelum XXen Ver. 4.0(ケーラムゼン)」と「Caelum III Ver. 4.0(ケーラムスリー)」、CAMの「Caelum KKen Ver. 4.0(ケーラムケン)」、以上3製品を発表した。4月中旬より、順次出荷を開始する。

 CADの2製品、Caelum XXen Ver. 4.0およびCaelum III Ver. 4.0の改善ポイントの1つは、2次元と3次元のレイアウト環境を一体とし、データリンクが可能となったことだ。例えば金型や治具設計では、2次元CADで構想を行い、3次元CADでモデリングするという手順が一般的だが、この作業には手間が掛かる。そこでこの環境を利用することにより作業の効率が図れると同社はアピールする。

2D構想レイアウトの画面キャプチャ

 もう1つは、「指南車(しなんしゃ)」というナビゲート機能だ。データサーバに蓄積した熟練技術者による技術データをフローチャート化し、CADとの連動も可能にする。設計者たちのスキルを平準化し品質の向上に寄与できるとしている。例えば、指南車のデータをCAD上の寸法値に反映し、XXenが最適形状にするという作業が可能だ。いま次々と引退しつつある団塊世代技術者のナレッジも有効利用できるだろう。

指南車の実行例:変数の変更 → モデルの寸法値取得、XXenが最適形状を判定

 さらに、従来では他社CADでシェル化したモデルをインポートした場合、「ファンクショナルモデリング」機能を使用していると、ユーザーによる修正を行う必要があった。本バージョンからは、「フェイスからシェル空間を作成」という機能ができ、自動で修正を行うことが可能となった。

 ほかには、プレス型の余肉面を作成するための「ラフオフセット」機能、面の連続性をコントロールしながら曲面を変形する「スペースデフォーミング」機能などの追加や、ユーザー定義ライブラリの標準化などデータ管理機能の強化を行った。

 CAMのCaelum KKen Ver. 4.0の改善点としては、「FFエンジン」という曲面加工用のエンジン(開発元 牧野フライス製作所)を搭載したことで、大物の切削が有利になったことを挙げた。先交換式工具への対応、オフセット加工機能、ホルダー干渉チェック強化機能なども備えた。

 それから「2番逃がし突き加工機能」を追加し、プロファイル形状沿いの切削が一般的だった2番逃がし(プレス型のトリム部逃がし)部位を突き加工で切削可能にした。また2番逃がしでも複数の工具が設定ができる。ほかには、根元切削時に形状底面で干渉がある場合、根元側面を回避させることが可能で、工具の干渉により加工対象物に傷がつくのを抑えられるとしている。

2番逃がしの突き加工機能の例

 上記の3製品に関して、現在64bit版を開発中で、2008年6月にリリース予定だ。64bit版では従来の32bit版では難しかった大規模アセンブリデータも操作可能となるという。

製品価格一覧:製品と価格(税抜き)

  • Caelum XXen Ver4.0:(買取) 100万円から
  • Caelum XXen Ver4.0:(年間レンタル) 30万円から
  • Caelum III  Ver4.0:(買取) 210万円から
  • Caelum III  Ver4.0:(年間レンタル) 84万円から
  • Caelum KKen Ver4.0:(買取) 198万円から
  • Caelum KKen Ver4.0:(年間レンタル) 65万円から

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