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» 2008年05月13日 00時00分 公開

組み込み企業最前線 − アイエニウェア・ソリューションズ −:Answers Anywhereで車載向け音声ポータルを狙う! (2/2)

[石田 己津人,@IT MONOist]
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極小フットプリントで稼働の組み込み版

 このような特長を持つAnswers Anywhereだが、これまで本格的な採用としては、海外で企業アプリケーションと連携したモバイルアプリケーション、国内でBI(Business Intelligence)アプリケーションのUIに採用されたぐらいだったが、組み込み向け版「Answers Anywhere Embedded」のビジネスが国内で盛り上がってきた。その理由は、車載用途のニーズが出てきたからだという。

 Java SE/EEに対応した標準版Answers Anywhereのサブセットとして提供されているAnswers Anywhere EmbeddedはC++のAPIにより、組み込みアプリケーションに自然言語・対話型のUIを統合できる。標準でARM系プロセッサ上で動作するWindows CE/Windows Mobileに対応し、50kbytesのROM、100kbytesのRAM上という小さなフットプリントで稼働する(フットプリントは、22個のエージェントを使った検索アプリケーションでの測定値)。

 早川氏は「組み込み分野では、車載、ホームサーバ、携帯電話という3つのターゲットがあるが、自動車業界からの引き合いが強い」と話す。車載といっても範囲は広いが、インフォテイメント、テレマティクスと呼ばれる分野がメインである。実際、米iAnywhereとトヨタIT開発センター(トヨタ自動車、デンソー、KDDIなどが共同設立した自動車向けITのR&D会社)は2007年11月、テレマティクス分野においてAnswers Anywhereを利用した音声認識・自然言語UIに関する特許を米国で取得している。


クルマの音声ポータルとして注目される

 周知のとおり、CD/DVD、携帯プレーヤのデータ、カーナビの地図情報だけでなく、トヨタ「G-BOOK」や日産「カーウイングス」のようなテレマティクスサービスでネットワーク越しに取得した交通情報、ニュース、メールなどクルマが持つコンテンツは増加の一途をたどっている。

 しかし、“運転中の操作”を前提にしなければならないなど、自動車特有の制約条件は変わらない。膨大なコンテンツを要領よく引き出すには、手を使うメニュー操作ではなく、自然な話し言葉で操作できるUI、いうなれば“音声ポータル”が求められるのは当然だろう。こうしたニーズに応える手段として、Answers Anywhereが有力視されているという。

クルマに搭載される“音声ポータル”のイメージ 図2 クルマに搭載される“音声ポータル”のイメージ。インフォテイメント機器、テレマティクス機器が管理するさまざまなコンテンツを自然な話し言葉で一元的に引き出せる

 「Answers Anywhereがなくても音声ポータルは実現できるが、車種ごとに違う機器構成、サービスに合わせて作り込まなければならず、膨大な開発要員が必要になる。そこで、Answers Anywhereのようなミドルウェアが有効になる。Answers Anywhereなら車種ごとのエージェントのネットワーク構成、エージェント個々のルール、情報を変えるだけでよく、再利用性が高い。つまり、音声ポータルの“開発環境”となる」(早川氏)。

 Answers Anywhereでは、エージェントネットワークを開発・テストするためにGUIベースの統合開発環境「Agent Network Development Environment(以下、ANDE)」が標準提供されているが、アイエニウェアでは、ANDEのカスタマイズ、対応プラットフォーム拡張、ドライバ開発などにより、自動車メーカーを支援していく構えだ。早川氏は「組み込み分野の需要は、日本が圧倒的に先行しているため、グローバルでもわれわれが主導的な立場にある。実際、ソースコードも国内に置いている」と打ち明ける。

 自動車メーカーがAnswers Anywhereを正式採用するとなれば、搭載車の登場を待たずして、アイエニウェアの技術支援ビジネスは拡大するだろう。また、実際に自動車に搭載された暁には、自然言語・対話型UIの実現手段としての実効性の高さにお墨付きが与えられ、情報家電や携帯電話への波及も見込めるだろう。そうなれば、アイエニウェアががぜん、組み込み分野で頭角を現しそうだ。

 ちなみに、2008年5月14日から16日まで開催される「第11回 組込みシステム開発技術展(ESEC2008)」でAnswers Anywhereのデモが行われるという。自然言語・対話型UIとは何たるかを実際に見られる・触れられるよい機会になるのではないだろうか。


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