“空飛ぶブタ”を地上に引きずり降ろして勝利宣言ジレンマ解消! TOC思考プロセスの基本を学ぶ(6)(2/3 ページ)

» 2008年08月25日 00時00分 公開

中間目的ツリーの作成

 さあ、では本題に戻ってわれわれの問題解決を進めていきましょう。現在の状況は図2のようなものだと考えてください。皆さんは未来ツリーで描いた望ましい未来を実現したいと思っています。また、解決策を実現したときに起こるかもしれない副作用については、未来ツリーの中で十分な対策を行ったはずです。

 しかしこれまでのステップでは現実は何も変わっていないのです。解決策を実現しないと明日は変わらないのですから、皆さんは何とか解決策を実現するところまでたどり着かなければなりません。しかし、目下の状況はたくさんの障害が行く手を阻んでいます。解決策を実現するには、これらの障害を克服しなければならないのです。

図2 現在の状況(行く手を阻む障害) 図2 現在の状況(行く手を阻む障害)

 中間目的ツリーは目的(解決策)までの道のりを、必要条件ロジックでつなぎ、解決策を実現する中間目的を設定するツールです(図3)。

図3 中間目的ツリー 図3 中間目的ツリー

 作成は目標(解決策)の達成を阻む「障害」を挙げ、「障害」を乗り越えた状態を定義します。障害を乗り越えた状態が中間目的(IO:Intermediate Objective)となります(図4)。「中間目的1」と「中間目的2」を結ぶ矢印は、「中間目的2」の存在以前に「中間目的1」が成し遂げられている必要があるという必要条件の関係を示します。

図4 障害と中間目的の設定 図4 障害と中間目的の設定

中間目的ツリーの作成手順

 中間目的ツリーを作成する手順は以下の4つです。

  • 目標(解決策)を設定する
  • 目標を達成するために克服しなければならない障害を挙げる
  • 中間目的を見つける
  • すべての中間目的を時間順に並べる

 それぞれの手順について、詳しく説明していきましょう。

1.目的(解決策)を設定する

 未来ツリーの中の解決策(インジェクション)が目的となります。複数の解決策がある場合は、どの解決策を先に達成すべきかを時間や人などの制限を考慮して、達成順序を時間軸上に配置します。

2.目的を達成するために克服しなければならない障害を挙げる

 目的を達成するためにはさまざまな障害があります。目的の達成を阻んでいると考えられる障害をすべて列挙します。もしもこの「障害」があるならば「目的」を達成することはできない、と読んで確認します。

3.中間目的を見つける

 障害が克服できたときに達成される中間目的を設定します。中間目的は障害を乗り超えた状態を考え定義します。もしも「中間目的」が達成されるならばもはや「障害」は「目標」の達成を妨げることはない、と読んで確認していきます。

 例で確認していきましょう。

解決策

 TOCソリューションを活用して、顧客の困りごとを解決し、顧客利益を創出する提案をしている


 障害に対する中間目的を挙げてみます。考えてみると、最初の障害は「市場や顧客の問題点が分からない」「顧客のUDE(Un-Desirable Effect:好ましくない事実)が分からない」ということに気が付きました。そこで「顧客の環境を分析し、問題を提起して合意を得る」ことが必要だと考え中間目的にしました。

 それ以外の中間目的も同じように「なぜできないの?」と問い掛け、「だって……だから(できない)」という質問で抽出します(図5)。

↓mhfpro_toctp06 fig05.gif,図5 中間目的を抽出する,図5 中間目的を抽出する

4.すべての中間目的を時間順に並べる

 それぞれの障害を乗り超えると中間目的が達成されます。それを時間順に並べていきます。障害と中間目的の関係を整理してみましょう。中間目的と中間目的の間には、その達成を阻む障害があります。これは必要のロジックで考えると、「中間目的2」を達成するには「中間目的1」を達成しなければならない、なぜならば「障害1」が存在するからだ、というロジックが成り立っているのです。こうして出来上がった「中間目的ツリー」を図6に示します。

図6 完成した中間目的ツリー 図6 完成した中間目的ツリー

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