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» 2008年09月29日 00時00分 公開

Excelで学ぶ実験計画法の基礎(1):品質管理と実験計画法の基本を押さえよう (2/4)

[菅民郎・福島隆司/株式会社エスミ,@IT MONOist]

データのバラツキと原因

 普通、異なる製品を測定したデータは異なる値になります。測定の精度を無限に高めることができるのであれば、身長や体重を考えてみてください、測定した値が一致することはありません(あったとして無視できるほど低い確率でしか発生しません)。ある特性について、複数の測定を行ったデータが異なる値になることを、データがばらついている、もしくは、データが変動しているといいます。

 また、ある特性について測定したデータのことを特性値といいます。特性値のバラツキが大きい場合は、その特性に関する品質にムラがあることを意味します。逆にバラツキが小さい場合は、品質が安定しているといいます。重要なことは、なぜ特性値が変動するのか、その変動の原因です。「品質にムラがあります」は、現象の報告であって、それだけの情報では品質を改善することはできません。

 変動の原因として、さまざまな原因が考えられますが、特に重要な原因のことを要因といいます。この要因の取りまとめに、特性要因図(特性値に影響する要因をまとめた図)を利用することができます。

 ところで、いま候補として取り上げた要因が、本当に要因なのか、証明するにはどうすればよいでしょうか。ある要因が本当の要因であるとき、特性値と要因の間には、共変関係と呼ばれる統計的な関係が認められます。共変関係とは、“共”に“変”化する“関係”です。要因の条件を変えたとき、特性値が変化すれば、特性値と要因は共変関係にあるといえます。要因の“条件”のことを水準と表現する場合もあります。本稿では、以降、条件のことを水準と表現します。いま述べた共変関係を、統計的に分析する方法を体系化した学問が実験計画法です。大きく2つの方法をテーマとしています。

  1. データの収集方法
  2. データの解析方法

 2はいわゆる統計学的(=数学的)な色彩の濃い内容です。一方、1は統計的な問題ではありません。しかし、実務では2より1の方がより重要であると筆者は考えています。理由は、2の成果は1で決まるからです。1は2の成否にかかわる要因であるといえます。要するに精度の低いデータを収集して、いかに高度な統計的方法を適用しても、意味のない結果しか得られないということです。また、2はソフトウェアがあれば正確に計算を実行してくれます。用いる解析方法が決まれば、それ以上、特に皆さんが悩むことはありません。

 後は解析結果の見方ですが、実務で統計的方法を利用する限り見るべき結果は非常に限られたものになります。そこで、統計的方法といえば2なのですが、そういった理由もあり、まず1について、その詳細を解説します。

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