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» 2008年10月15日 00時00分 公開

ものづくり支援ソフトウェア製品レポート(1):3DとWebで知財を共有するPLMツール―ENOVIA V6 (2/3)

[上島康夫,@IT MONOist]

データベース基盤が刷新されたENOVIA V6

 ダッソー・システムズからV6プラットフォームに対応する製品群が提供開始された2008年6月の時点からENOVIA V6という呼称に統一されたが、V5でのPDM製品は、「ENOVIA MatrixOne」「ENOVIA VPLM」「ENOVIA SmarTeam」という3つのラインに分かれていた。ENOVIA V6は、ENOVIA MatrixOneの技術基盤をベースにしており、従来のENOVIA VPLMやENOVIA SmarTeamが提供していた機能は、ENOVIA V6上でニーズに応じて選択・利用することになる。

 V5以前のENOVIAアーキテクチャでは、CATIAやSIMULIAなどで作成されたデータはファイルで管理されていた。ところがファイル単位の管理だと同時に1つのファイルを参照・更新できないため、グローバルで設計データを共有することは難しかった。V6では、すべてのアプリケーションで作成されたデータは、単一のデータベースに格納されるようにアーキテクチャが変更され、設計データをグローバルで参照し、変更することが可能となった。そしてこのデータベース基盤を提供しているのがENOVIA V6のアーキテクチャである。

 V6に対応したダッソー・ブランドの全製品は、ENOVIA V6という共通データ基盤が実装された形で提供される。例えば、ENOVIAデータベース上にCATIAが搭載されているものが「CATIA V6」だと考えればよい。これがV6プラットフォームの大きな特徴だ。

 また共通のデータベースを利用することで、CATIAとSIMULIAといった製品間のデータ連携を柔軟に行えるようになった。V5以前では、製品間のデータ連携にはカスタマイズが必要だったが、それは不要となった。そして、既存の情報システム(ERPやSCMなど)との連携を可能とするSOA(サービス指向アーキテクチャ)に対応し、オンラインでのデータ連携の範囲を広げている。

さまざまな付加情報を管理できるBOM

 先述したライフライク・エクスペリエンスを設計に生かすというコンセプトは、日本人には分かりにくい概念だろう。これを実務に即して説明すると「さまざまな付加情報をBOM(部品表)で管理する」ということになる。通常、BOMとは設計や製造のエンジニアが使用する部品データであり、一般の人が見て理解できるものではない。ENOVIAではBOMの間口を広げ、エンジニア以外の人でもBOMに情報を追加できるようにした。例えば製品の出荷後にユーザーからアンケートを収集した結果、特定の機能に改善要望があったとしよう。すると商品企画やマーケティング部門の人がENOVIAを開いて、特定の機能単位にひも付けて、該当の部品情報が格納されているBOMに改善要求を入力できるという。こうして、エンジニア以外の意見やアイデアをBOMの中で管理していけることが、ライフライク・エクスペリエンスを設計に生かすということになる。

ダッソー・システムズ リージョナルセールスディレクター 西村松師氏 ダッソー・システムズ リージョナルセールスディレクター 西村松師氏

 同社リージョナルセールスディレクターの西村松師氏は、「ENOVIAは設計者だけでなく、ものづくりの全工程で使ってもらえるツールで、実際に商品企画やマーケティング部門の人もENOVIAを使っています。従来のBOMとは、ある製品を作るのにどの部品が何個必要かという情報を蓄積した設計BOMがあって、それを製造BOMに変換し、最後にMRPで資材調達などを行うという流れでした。いま重要なのは、BOMの中にどれだけユーザーの要望や製品のスペックなどを取り込めるかです。そういった情報を正しくBOMに蓄積して、次の製品開発に役立てる。これが製造業の競争力につながるという発想でENOVIAを選択される顧客が多いです」と語った。

 多くの製造企業で、商品企画が顧客アンケートなどでユーザーの要望を集積したとしても、それがうまく設計者に伝えられていないのが実状だと西村氏は指摘する。

 「その最大の理由は、お互いの使っているデータベースが異なっているからです。ENOVIAは単一のBOMに顧客の要望を入れられるので、設計者は改善要求を参照しながら設計するという状況を作り出せるわけです」(西村氏)。

 このほか、ENOVIA V6はコラボレーション・ツールとして以下のような機能を備えている。

ダッシュボード 全社員が使うツールとしてのダッシュボード機能。エグゼクティブ、プロジェクトマネージャ、エンジニアなど、それぞれの立場に応じて必要な情報をWebから参照。

コラボレーティブ・プロダクト・エンジニアリング いわゆるPDMの部分で、CADデータなどの管理機能。

X-BOMマネージメント 顧客要求の入った計画BOM、設計BOM、製造BOM、サービスBOM、これらを相互の関連を保ちながら管理する機能。

サプライヤのリレーションマネジメント 購買時のRFPやサプライヤのスコアカードの管理機能。

コンプライアンシーマネジメント BOMの中にコンプライアンスに関する情報を込められる機能。

 それでは、次ページでコンプライアンシーマネジメントとしてV6で追加された環境対応機能を紹介しよう。

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