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» 2009年02月04日 00時00分 公開

実務経験者が教える! ターボ機器の設計解析の勘所(2):羽根車の詳細設計でQ3Dを活用する (1/3)

満足のいく結果が出るまで、準3次元流れ解析による計算を繰り返し、羽根車の詳細形状を作り上げる。

[清水宏純/ヴァイナス,@IT MONOist]

 前回は、ターボ機械の一例として遠心圧縮機羽根車を取り上げ、性能予測を含む基本設計に必要な1次元寸法の設定について紹介しました。

 今回は、詳細設計について具体的に解説していきます

3. 羽根車詳細設計

3-1 羽根車の形状設計手順

 羽根車は次節で説明する手法で設計されますが、設計された羽根形状は前回説明した準3次元流れ解析(Q3D)で評価されます(図2.1)。

図2.1 解析法による羽根車設計手順

 準3次元流れは非粘性流れ解析のため損失などは考慮されていないので、準3次元流れ解析では効率などは予測されません。準3次元流れ解析は羽根と羽根とで形成される流路内の相対速度(W)と、それから求められる羽根間負荷(Loading:ΔW/W)、および羽根出口の羽根間負荷の状況を判断材料に羽根形状を評価するものです。

 PCの発達に応じて進歩し続ける大規模流体解析(CFD)により、短時間で羽根間の流れを解析できるようになった現在では、羽根形状設計と準3次元流れ解析のループの繰り返しで満足できる形状ができたら、その後はCFDにて流路内解析や効率などの演繹(えんえき)を実施して、性能予測値と比較検討した後、満足できない結果であれば、再度形状設計と準3次元流れ解析のループに戻るという設計方法が現在では実施されています。それにより、わずかでありますが、性能は従来の準3次元流れ解析だけの設計に比べ向上を続けています。ただし、CFDの解析結果を判定するには、CFDによる計算と実験値との相関関係データが必要です。

3-2 羽根車の形状設計

 羽根車の入口・出口の1次元諸元が決まると、次は3次元的に羽根形状を定義することになりますが、それに先立ち羽根車の軸方向長さ(L)を決める必要があります。 軸方向長さの決め方は過給機、ガスタービン、空気圧縮機などの羽根車を適用する用途によっても異なるので各社の実績によって決められるべきですが、一般には羽根車出口直径を基準に決められている場合が多いようです。高圧力比羽根車では空力負荷の点から「L≧R2」の方が有利です。

 羽根形状は次の形状設定パラメータの分布を指定することにより定義できます。

  • 子午面形状
  • 羽根角度分布
  • 羽根厚さ分布(Normal Thickness)

 羽根形状は、上記パラメータをハブ面とシュラウド面の両面上で定義し、ハブとシュラウド面の対応する点は線要素で結び定義することで創成される準3次元羽根と、ハブ〜シュラウドの間の面も点列で指定することにより創成される純3次元羽根の2つに分類できます。現時点では、羽根強度や加工工数の面から純3次元羽根よりも準3次元羽根が多用されていますが、今後、強度面の検討が進み、ファンジェットエンジンの羽根のように3次元性による空力性能の優位性が立証されれば、純3次元羽根へと移行される可能性は大きいでしょう。

 羽根形状定義パラメータ分布の一例を図2.2〜2.4に示します。

図2.2 子午面分布
図2.3 羽根角度分布
図2.4 羽根厚さ分布
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