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» 2009年02月12日 00時00分 公開

日本ユーザーが待ち望んだ製図機能の改善が実現ユーザー要望を積極的に取り込む SolidWorks 2010

[小林由美,@IT MONOist]

 米ダッソー・システムズ・ソリッドワークスは2009年2月11日(米国時間)、フロリダ州オーランドで開催した同社のプライベートイベント「SolidWorks World 2009」にて、3次元CADの新製品「SolidWorks 2010」の機能の一部を発表した。発売日などはまだ確定していない。

 SolidWorks 2010では、日本のユーザーから要望が多かったという、ドローイング(製図)の機能強化を行う。従来のSolidWorksのドローイング機能は、寸法や幾何公差の位置などの細かい部分の変更や微調整で時間がかかるというユーザーの声が多かったという。新しいバージョンからは、ドラッグで寸法や幾何公差の指す矢印、記号などの位置が、細やかにかつ楽に移動できるようになる。また複数並べて記入した寸法を自動で等間隔に調整できるようになるという。それから、複数に分かれた注記の1つをもう1つへドラッグして、1つの注記にマージすることも可能になる。ほかにも、ユーザーリクエストを元にした機能改善を検討しているという。

写真1 「たくさん並んだ寸法を等間隔に自動配置できる」 (クリックで画像が拡大します)

 モデリング機能もまた、上記同様にユーザー要望を基にして、細やかな部分で機能改善をするという。まず要望が非常に多かったという、ミラーコピー機能の改善をするという。SolidWorks 2008より、コピーされたフィーチャーの反転方向が制御できるようになっている。さらにSolidWorks 2010からは、コピーされた先のアセンブリの構成部品1つ1つに対して方向の指定ができるようになるという。従来は、コピーの元のフィーチャと、コピーされたフィーチャーとは、それぞれ個別のフィーチャーとして処理していた。今回からは、パターン扱いになり、同じフィーチャであると認識するという。それにより、片方の形状を修正すれば、もう片方の形状もその修正が反映される。

 また参照平面の作成を従来より自由にできるようにするという。例えば、参照平面の作成条件に正接が定義できるようになる。この機能を用いれば、2つの円筒の表面に接する平面などが作成できる。従来のバージョンで円筒の表面に接する平面を作るには、とある面から円筒表面までの距離を計算し、そこへ平面をオフセット機能などで配置し、基準軸を指定して任意の角度に平面を傾ける、あるいは角度の基準となる面やエッジをさらに選択する、というような面倒な作業が必要だった。

 「インスタント3D」(ダイレクトエディテイング)機能も強化される。パターンに対してインスタント3Dが適用できるようになるという。インポートフィーチャは従来、インスタント3Dの処理を行う前に、フィーチャを適宜追加する必要があったが、SolidWorks 2010からはモデルをインポートしてからすぐにインスタント3Dによる編集ができるようになるという。

 マルチボディ(1つのパーツファイルの中に、連結していない2個の形状が存在する状態)でもシートメタルの機能が対応するようになる。これまでのバージョンでは、シートメタルはシングルモデルのみの対応だった。新バージョンではマルチボディーに対応するという。従来、複雑な形状のシートメタル化をする前にはアセンブリにしていたが、この機能により、1つのパーツの中でシートメタルの機能が適用できるようになる。また展開状態のプレビューもできるようになるという。

 さらに「ユーザー定義プロパティ」が強化される。従来、購買先や材料、重量、コストなどの属性でソートし、フィルタされたものをまとめて選択する機能はあったが、SolidWorks 2010ではさらに、その選択された一群のモデル自身やツリーに対して任意の色を付け、区別することが可能となるという。

写真2 「属性でソートされた情報を色分けする」

 新機能の「シナリオテーブル」とは、ユーザーが望ましいと考える仕様に合わせて、応力解析や疲労解析の結果を自動的に導き、ジオメトリを最適化する機能だという。また画面の下の方に出てくる表の中で、設計変更の影響やFEM、疲労などの情報を一括表示できる。

 SolidWorks 2010からは「コンフィグレーションビルダー」という、コンフィグの変更がウィザード形式で行える機能が加わるとのことだ。これまで、コンフィグ設定が分かりづらい、使いづらいというユーザーの意見が多かったという。

SolidWorks 2010で、エコな設計を実現したい

写真3 米ダッソー・システムズ・ソリッドワークス プロダクト&マーケティング イノベーション ディレクタ リック チン(Rick Chin)氏

 米ダッソー・システムズ・ソリッドワークス プロダクト&マーケティング イノベーション ディレクタ リック・チン(Rick Chin)氏は、SolidWorks 2010に組み込む予定である環境対応製品を準備中だという。環境を考慮した設計や生産の検証と、その結果のレポートを作成するシステムだ。独PE INTERNATIONAL社のLCAシステム「GABI」を基盤とし、環境関連のデータベースとSolidWorks上のモデルとをリンクさせる。SolidWorksの画面で任意のモデルを選ぶと、そのモデルに関する環境データを画面右側に表示できる。設計変更前と後とで、検証結果を比較することもできるという。例えばリブが減ったことによって、有害物質の量がどれくらい減るか、その部品を生産するときのエネルギーがどれぐらい削減されるかなどが確認できる。

 チン氏は「自分の設計がどのように環境へ影響しているか、設計者はよく理解していないものです。しかし、環境への配慮は、いま大事な課題だと思います。いきなり設計者にきちんとそれを理解させる、というわけではなく、まずは意識をしてもらえるような製品を考えています」と話した。

写真4 「環境への影響を検証し、レポート化する」

厳しい経済状況にも負けず

 米ダッソー・システムズ・ソリッドワークスは、同社製品を利用した失業者支援を行う予定だという。職業訓練校にSolidWorksを提供したり、失業者に対して期限付きで製品の無料提供を行うなどを考えているという。なお当面はアメリカでのみで、日本での提供は未定だ。

 「この経済不況がいつ終わるのか、私にもよく分かりませんが、いつか終わることは確かだと思います。厳しいときにこそ、互いの絆(きずな)も強くなっていくのではないでしょうか。いまの私たちも(SolidWorks Worldの会場内の)皆さんに支えられています」と同社 CEO ジェフ・レイ(Jeff Ray)氏は話した。

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