不確かさを残さない寸法測定方法はあるのか製図を極める! 幾何公差徹底攻略(3)(1/2 ページ)

丸い形状の断面が真円かどうかを判定したい場合、あなたならどうする? とにかく測定個所を増やしていけば何とかなりそう?

» 2009年03月11日 00時00分 公開

 前回は基礎的な加工の知識を確認しました。それに加えて、設計製図を行う上で、計測の知識も必要となります。特に幾何公差を指示する場合は、検査部門からの問い合わせに対応するためにも、計測機器の種類や使い方など必要最低限の知識が求められます。

筆者注:本記事で使用する写真は、雇用・能力開発機構 大阪センターのご協力の下、撮影させていただきました。



計測の種類

 計測とは、「公的に取り決めた測定標準を基礎とする計測」と定義されます。製図に関係する計測とは、物理的な大きさや幾何特性、表面性状を測定することを意味します。

表

 まずは、代表的な計測器を確認しましょう。

外側あるいは内側寸法を測定するもの

ノギス:外側用および内側用の測定面のあるジョウを一端に持つ本尺を基準にします(図1)。ジョウの間に測定物を挟むと、その寸法の分だけスライダー側に付いているジョウが滑ります。その距離を本尺目盛とバーニヤ(副尺)目盛を併せて読み取り寸法測定します。外側ジョウは測定物の外形(凸形状)、内側ジョウは測定物の内部(穴や溝)を測定します。一般的なノギスの分解能は0.05mmです。

図1 ノギス

外側寸法を測定するもの

マイクロメーター:アンビルという測定面を持っています(図2)。アンビルの先端とスピンドルの先端は、互いに平面かつ平行になっています。アンビルとスピンドルの間に測定物を挟み、スリーブとシンブルに刻まれた目盛りを読み寸法を測定します。一般的なマイクロメーターの分解能は0.01mmで、ノギスより精度の高い測定が可能です。

図2 マイクロメーター

内側寸法を測定するもの

シリンダゲージ:ダイヤルゲージなどの指示器を持つ測定機です(図3)。測定子を穴や溝の内側に当て、その変位を直角方向へ機械的に指示器ヘ伝達することで測定するものです。

図3 シリンダゲージ

形状を測定するための基準となるもの

 精密な平面は、測定物の平面と密着しやすい特徴があります。

精密定盤:一般的に鋳鉄または石で作られた盤状の構造体です。精密な平面を上面に備え、その面を測定基準(「実用データム平面」)とします。

ブロックゲージ:長方形のブロックまたは板状の端度器です。向かい合った2つの精密な平面が測定基準となります。耐久性や耐摩耗性に優れた金属やセラミックで作られます。


基準からの距離を測定するもの

ハイトゲージ:スライダーにはスクライバなどを取り付けるジョウが付いています(図4)。スクライバとベースの間に測定物を挟むと、スライダーがベースに直立する柱を滑ります。その距離を本尺目盛とバーニヤ目盛を併せて読み取ります。

図4 ハイトゲージ

ダイヤルゲージ:測定子の移動量を目盛板の長針に伝え、その量を目盛線(円形の全周を等間隔に分割している)に表示する測定器です(図5)。実寸法で測定する直接測定と、ブロックゲージなど基準寸法からの変位量を読み取る比較測定に用いられます。写真は、てこ式ダイヤルゲージです。

図5 ダイヤルゲージ

3次元測定機:プローブを測定対象物の表面に接触させて、その空間座標を決定することで寸法測定します(図6)。曲面など複雑な形状の測定によく用いられます。プローブ先端のスタイラスチップを対象物に接触させて測定します。この接触式以外に、レーザー光を利用した非接触式の3次元測定機もあります。

図6 3次元測定機

表面粗さ測定機:先端半径2μmの触針で測定対象表面をトレースし、触針の上下動作を作動トランスなどで電気的な信号に変えて出力することで、表面粗さやうねり、そりなどの測定を行います(図7)。

図7 表面粗さ測定機とディスプレイ 写真の測定器とディスプレイは別々のシステムのもの
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