「モノを作らないものづくり」がPLMのカギ!? 〜データから実現する持続可能なモノづくりとは開催直前! DMS2009速報

2009年6月24〜26日の3日間、東京ビッグサイトで「第20回 設計・製造ソリューション展」が開催される。編集部では出展者の1つ、デジタルプロセス・富士通に当日の見どころを伺った。

» 2009年06月22日 00時00分 公開
[原田美穂@IT MONOist]

 「誤解を恐れずに表現すると、我々は『モノを作らないものづくりで実現する、循環型社会の新しいものづくり』を目指しています」

 取材の冒頭、富士通 PLMビジネスセンター

プロジェクト課長 武田幸治氏は意外な言葉を発した。この「モノを作らないものづくり」は実のところ、数年前から富士通が標ぼうしているビジョンである。

 初めて目にする読者はこの言葉に少し驚かれるかもしれない。しかし、後述のように富士通PLMビジネスセンターの描くビジョンを聞き真意を知ると、冒頭の言葉には非常に強く明確なメッセージがこめられていることが理解できる。

 そもそも「モノを作らないものづくり」とはいったいどういったことなのか? その謎を解く前に、富士通グループのモノづくりに対するアプローチをあらためて整理しておこう。

万全な体制に整備された富士通のPLM事業

 富士通グループでは、本稿執筆時点から約1年前の2008年6月、PLM関連製品開発およびサポートのエンジニアを専門会社に結集しする新体制を発表し、PLM事業強化の方針を打ち出していた。

 新体制ではCAD製品開発機能を、同社の子会社であるデジタルプロセスに結集し、富士通グループ全体で保有する電気・機械、電子部品・電子回路で培われたノウハウをあわせ、ソリューション力強化が図られた。一方で、製品情報管理にあたるPDM製品については実績を多く持つ富士通長野システムエンジニアリングに技術者を結集させ、厚い体制で開発・サポートを行ってきた。

PDM製品のサポートもきめ細かく

デジタルプロセス業務部 部長 吉野琢也氏 デジタルプロセス業務部 部長 吉野琢也氏

 こうした流れを受け、2009年4月8日、富士通グループで提供されてきたPDMソリューション製品群「PLEMIA」も「M3」という統一コンセプトで新たに体系化、新たに業態・規模別に3つの選択肢が用意されている。サポート体制もいっそう強化され、富士通グループの全国各地の拠点で、迅速かつ決め細かな対応が可能になった。

 海外だけでなく、日本各地の拠点で迅速なサポートを受けられるのは、日本のモノづくりを支え続けてきた日本企業、富士通ならではのことだろう。

省資源型開発環境と「データ衡」

 ビジョンとして掲出された『モノを作らないものづくり』を前提に、今回のブース出展テーマとしてかかげられたのは「データ衡」という具体的なテーマだ。

 「『データ衡』という考え方は、日産自動車の製品作りにおいて長く語られてきたポリシーです。衡は中心という意味を持ちます。我々の提案するモノづくりシステムは、このデータ中心主義に則ったものなのです」(デジタルプロセス 吉野琢也氏)

 データを中心にモノづくりを考える、これが日産のクルマづくりのポリシーであり、富士通のPLMが受け継いだモノづくりシステムの思想である。

 製品ライフサイクル初期では、いかに製品出荷前投資を低く抑え、素早く市場投入するかが課題となる。開発工程での手戻り発生や前段階での試作の繰り返し、製品化に向けてのさまざまな検証など、開発工程の中でも手間が多く、コストがかかる作業をデジタル化し、事前に検討・検討を可能にするのはもちろん、製品にかかわる部品の再利用性の検証をも可能にした。

モノのデータが「モノを作らないものづくり」を実現する

富士通 PLMビジネスセンター プロジェクト課長 武田幸治氏 富士通 PLMビジネスセンター プロジェクト課長 武田幸治氏

 富士通のPLMが考えるモノづくりとはつまり、次のように表現できるだろう。

 システムも業務フローも、モノのデータを徹底的に重視し、設計も、分析も、試作も調達も、すべてのモノのデータをすべての部門が共有できる形で連携し、デジタルデータ上でモノをつくらずにさまざまな検討・検証を実現する。

 データ中心主義が結果的に開発コストや期間短縮につながるフロントローディングの仕組みを無理なく実現しているともいえよう。

 DMS展では実際にどのように「データ衝 〜モノを作らないものづくり〜」を実現させているかについて、日産自動車(NX事例)、アイ・オー・データ機器(PLEMIA事例)、富士ゼロックス(VPS事例)、における取り組みが事例として紹介される予定だ。

◇◇◇

 富士通では、現在、独自の高速エンジンを搭載し、高速レスポンス性能を実現した機械設計向け「ICAD/SX(アイキャドエスエックス)」、「NX(エヌエックス)」、デジタルモックアップツール「VPS(Virtual Product Simulator、ブイピーエス)」、「VridgeR(ブリッジャー)」、PDM製品群「PLEMIA(プレミア)」、「Teamcenter(チームセンター)」などの導入サポートといったように、モノづくりの現場から管理システムに至る、あらゆる場面に向けたソリューションを提供している。

 今回のDMS展では、富士通の包括的なカバー力・連携力が感じられるブースとなる予定だ。日本で多数の実績を持つ富士通ならではの安心感あるソリューション群を一度に触れられるチャンスでもある。

 また、デモンストレーションコーナーでは、デジタルプロセス・富士通長野システムエンジニアリングのスタッフおよび役員による技術プレゼンテーションも予定されている。テクニカルな課題を抱える読者はぜひこの機会に自動車業界・電機精密業界で培われた同社のノウハウを享受されたい。ブース番号などの詳細は下記の通り。

展示会名 第20回 設計・製造ソリューション展(DMS2009)
開催日 2009年6月24日(水)から26日(金)
会場 東京ビッグサイト
ブース番号 東3ホール 13-14

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.