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» 2009年07月23日 00時00分 公開

Intel社が「GENIVI」の活動を説明、日産は「極めて正しい」と高評価

[朴尚洙,Automotive Electronics]

 米Intel社は2009年7月、横浜市内で同社の車載インフォテインメントシステム(In-Vechicle Infotainment System:IVI)向け事業とGENIVIアライアンスの活動に関する記者説明会を行った。

 Intel社は2009年3月、ドイツBMW社、米General Motors社、フランスPSA Peugeot Citroen社、米Delphi社、イタリアMagneti Marelli社、米Visteon社、米Wind River Systems社とともにGENIVIアライアンスを結成した。同アライアンスは、IVIのオープンプラットフォームの構築を推進する非営利団体で、オープン化によるIVIの開発コストの削減や、開発期間の短縮を目指している。2009年夏には、Intel社のプロセッサ「Atom」とWind River社のLinux OS「Wind River Linux」を基に開発したリファレンスデザインを発表する予定である。また、Intel社は、Atomと対応チップセットの車載グレード品を発表しており、カーナビゲーションシステムをはじめとしたIVI向けの事業展開を強化している。

写真1 インテルの石山康氏 写真1 インテルの石山康氏

 Intel社の日本法人インテルでマーケティング本部エンベデッド&ストレージ製品マーケティング・マネジャを務める石山康氏(写真1)は「サーバー機器、パソコンを中心に拡大してきたインターネット接続機器の市場は、携帯電話機が加わったことによりさらに拡大している。2015年には、各種の組み込み機器もインターネットに接続できるようになり、インターネット接続機器の総数は2015年に150億台に達するだろう。組み込み機器にインターネットへの接続機能を盛り込むという変革を、IVIが促すことになる。これまで、自動車の中と外部と遮断されていたが、今後はIVIを搭載することにより、自動車がネットワークの1ノードになる時代が来る」と語る。

 しかし、このような変革が期待される一方で、現在のIVIの開発にはさまざまな課題があるという。一般的に、自動車の外側で利用されているデジタル家電、パソコン、携帯電話機などの開発サイクルは1年〜1年半である。これに対して、IVIを含めて自動車業界の開発サイクルは3〜4年と長いため、自動車の外側で利用される機器の最新の機能に対応することは難しい。また、1つの自動車メーカー内においても、車種が異なれば搭載するIVIのプラットフォームの仕様も異なるため、複数の開発ラインが必要になる。「ある欧州の自動車メーカーの場合、自社の自動車に搭載しているIVIにおいて、スケジューラのデータフォーマットの数が40もある。そして、データフォーマット間の互換性もない」(石山氏)という。

 これらの課題に対して、GENIVIアライアンスは、IVI開発の非競争領域におけるオープンな業界標準のプラットフォームを構築し、開発コストの削減や開発期間の短縮を目指している。非競争領域とは、ミドルウエア、OS、ハードウエアの部分である。一方、HMI(Human Machine Interface)やアプリケーションは、自動車メーカーやIVIサプライヤが差異化を図る競争領域に当たる。また、同アライアンスは、標準プラットフォームに採用するプロセッサやLinuxのディストリビューションを、Intel社、Wind River社の製品に限定しない方針である。これまでに、ARMコアプロセッサを展開している米Texas Instruments社、米Freescale Semiconductor社や、組み込み向けLinuxを販売する米MontaVista Software社が同アライアンスへの参加を表明している。

日産がGENIVIの方向性に同意

写真2 日産自動車の野辺継男氏 写真2 日産自動車の野辺継男氏

 GENIVIアライアンスが、Intel社の記者説明会と同日に『AT International 2009』(2009年7月15日〜17日)で開催したセミナーにおいて、日産自動車で同社のテレマティクスサービス「カーウイングス」の担当主管を務める野辺継男氏(写真2)が講演を行った。

 野辺氏はその冒頭、「今回の講演は、日産自動車がGENIVIアライアンスに参加することを表明するものではない」と断りを入れた。しかし、同氏は、「GENIVIアライアンスが推進している、カーナビのオープンプラットフォームを構築しようという活動の方向性は、極めて正しい」と高く評価した。

 野辺氏は、日本国内で広く普及している組み込み型のカーナビが、海外では高価なために受け入れられていないという現状を指摘した。「カーナビは、携帯電話機に続く第2の“ガラパゴス”になる可能性がある」(同氏)。これに対して、低価格のナビゲーション機器であるPND(Personal Navigation Device)の市場は急拡大している。また、日産自動車が2009年春に欧州市場に投入した、組み込み型カーナビ「NISSAN Connect」の販売も好調である。この製品は、従来の半額以下となる900ユーロという価格を実現していることを特徴とする。同氏は、これらの事実から、「カーナビの需要は確実に存在するが、コスト削減が必要だ」と述べる。そして、「現在、カーナビのコスト削減につながる標準プラットフォームの構築を進めている企業や団体がいくつかある。その中で、GENIVIアライアンスが先頭に立つ存在だと考えている」(同氏)とした。なお、日産自動車は、同アライアンスの活動内容を分析してから、参加を検討する方針である。

(朴 尚洙)

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