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» 2009年07月27日 00時00分 公開

こんな手法も! 電気/ハイブリッド車向け給電電子機器 イベントレポート(18)〜AT International 2009〜

2009年7月15〜17日の3日間、パシフィコ横浜でカーエレクトロニクスに関する技術展示会、AT International 2009(主催:日経BP)が開催された。本稿では、昨今注目を集めている電気/ハイブリッド自動車用のバッテリー技術に特化して、関連企業の展示内容を紹介する。

[上口翔子,@IT MONOist]

 テレビや新聞などでハイブリッドカー(以下、HEV)や電気自動車(以下、EV)を目にする機会が増えている。振り返ってみれば“今年はEV元年だったね”と言われる日も近いかもしれない。国内外の自動車関連技術展示会では、電池(バッテリー)技術に特化したコーナーが増設され、HEVやEVの近くには、街中や一般家庭でも使用することのできる急速充電器(充電システム)が置かれるようになった。

 2009年7月15〜17日の3日間、パシフィコ横浜で開催されたAT International 2009でも、EVならびに水素燃料電池バスの試乗会が設置され、展示ホール中央部には「電池パビリオン」「EV展示ゾーン」が構えていた。本稿では、この2ゾーンを中心に、展示会当日に見つけた少し珍しい給電システムを2つ紹介する。

ワイヤレス給電を自動車にも――雨でも大丈夫“非接触給電システム”

 まずは、昭和飛行機工業のブースで紹介されていた「非接触給電システム」を紹介する。

 非接触給電は、電磁誘導という物理現象を利用した充電方式だ。コネクタやパンタグラフなどの配線装置を使用せずに、送電側/受電側それぞれに組み込んだコイル間で給電ができる。その仕組みは、送電側のコイル(一次コイル)で、送電ユニットと呼ばれる電源装置で発生させた電磁エネルギー(高周波電流)を、受電側のコイル(2次コイル)に送電し、受信側でそれを電気エネルギーに変換するというもの。

バスの模型を利用した非接触給電デモンストレーションの様子(画像=左は、送電側の電源装置と、受電側のバス模型。電源装置から伸びている配線に、一次コイルが取り付けられており、それを画像=右の二次コイル側に近づけることで給電する)。距離を置いて、接触せずとも電力を送ることができる。なお、送電側と受信側のコイルには、まったく同じ周波電流が流れている。

 「非接触給電システムの特長は、水中でも安全に電力を送ることができること。例えば雨の日に送電側のコイルを埋め込んだ路面上で自動車を停車して充電、ということもできる。ショートや感電の心配もなく、給電時の騒音もない。また、キャパシタやリチウムイオン電池などの蓄電デバイスとも適性も良い」(会場の説明員)

水槽内外で非接触充電を行い、LEDを点灯した様子。金魚が近づいても感電しない。

 同社ではこれまで30kW/50kW型の電動マイクロバス向け大型非接触給電システムや、150kWの路面電車向けの同システムを開発している。今後は1k〜10kW型のEV/HEV向け中型非接触給電システムについても、実用化を目指し開発を進めていくという。

非接触給電システムを自動車やロボットに使用する際の仕組み

 また、同社ブース内では、非接触充電システムを応用した遠隔でのワイヤレス給電デモンストレーションが行われた。具体的には、送電側の高周波電源装置から、無線で60cmほど離れた場所に位置する受電側の電球10個(100W×10個=1kW)を点灯させるというものだ。これは以前、MITやインテルが公開した磁気共鳴方式と類似する技術だという。

 詳細な原理は非公開とされているが、電磁誘導方式をベースとした特殊な共振回路によって、高効率な電力伝送を実現しているとのこと。磁気共鳴方式と比較して低い周波数で動作できることから、損失が少なく、高効率な電力伝送が期待できるとしている。なお、コイル間のギャップは、従来の電磁誘導方式と比べて大幅に向上しており、同社では5倍〜10倍のギャップで使用できることを確認したという。

100Wの電球が10個点灯する様子。社内実験では、同じ60cmの距離で5kW相当の送電にも成功しているという

 近年、ワイヤレスでの電力伝送技術が急速に進んでいる。自動車をはじめ、携帯電話や音楽プレーヤなど小型機器への応用も期待される。

実は充電式よりも低コスト!?――“バッテリー交換システム”

 ベタープレイスのブースでは、電気自動車用のバッテリーを給電するのではなく、満充電の電池と使用後の電池をまるごと交換してしまおうという“バッテリー交換ステーション”を紹介していた。

 これまで電気自動車用の電池給電は、ガゾリン車と同じ概念で、充電器から二次電池を充電するというものが主に考えられていた。AT International 2009でも、プラグインHEVおよびEV用の急速充電器の出展が複数見られた。同社では、あらかじめ充電済みの電池を交換することで、わずか1分ほどで電池の充電(交換)を完了するとしている。

バッテリー交換ステーションの模型

 交換ステーションで使用する電池として、同社ではA123システムズのリチウムイオン二次電池を採用している。デモ用に作成したステーションでは、日産デュアリスの車体に合わせて同社が開発した電池を用いているという(会場ではステーションの模型が展示されていた)。交換カセットも含めた電池の総重量は250kg、電池容量は17kWh。

交換ステーションで使用する電池(A123システムズ製のリチウムイオン二次電池)

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