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» 2009年07月28日 11時00分 公開

ガンプラ こだわりのモノづくり(2):ガンプラは樹脂流動解析をやらない (3/3)

[小林由美,MONOist]
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でも、匠たちが退職したら、どうなるの?

 「勘と経験」といわれると、いまメーカー各社で頭を抱える「人材不足」の問題が頭をよぎる。例えば高度で特殊な技術を持つ熟練工が退職してしまうと、その跡継ぎが育っておらず、結局いままで受注してきた部品が作れなくなってしまう、ひどければ工場を閉鎖しなければならなくなる、など……。熟練技術者の勘と経験に頼りがちだったモノづくり業界では、若手離れが進んでいて、跡継ぎが育ちづらいことが深刻な問題となっている。

 匠の技術者たちはロボットではないので、永久にホビー事業部にいるわけではない。いつかは退職する日が訪れる。もし、彼らの跡継ぎがいなかったら、もしくは後を継ぎたくても技術が高度過ぎてそれがかなわなかったら……ガンプラはどうなってしまうのか?

 しかし同事業部は、そんな問題にもきちんと対策をしている。

 「製品設計・金型設計については、それぞれマニュアルや規定集が整備されており、ナレッジを共有しながら業務を行います。新しい試みや起こったトラブルについても、その結果で、随時改定・追記を行っています。匠の要素が非常に必要な金型製作は、定期的な若手人材の投入とOJTをベースに育成計画を立て実施しています。設計データのデータベース化は行っています。例えば、コア側の共有構造のライブラリー化などをしています」(大榎氏)。

 それにやりがいのある仕事、SFの世界のような夢のある建屋と制服、そして美しく楽しい職場なら、新卒も若手もこぞって応募してきそうだ。職場の環境や雰囲気も、働くモチベーションを上げるための大きな要因なのだから。

次回は、いよいよ設計事情!

 ガンプラも、一般的な製造業と同じように3次元CADを使って設計している。「3次元CADで設計することで、トライ&エラーがその場でできます。ガンプラは、関節の構造などをどんどん進化させていっています。それには、3次元CADはなくてはならないものです。3次元CAD上で動かし、体のパーツそれぞれが動く軌跡、ポージングをバーチャルな環境で確認して試行錯誤ができます。この効果は非常に大きいです」(大榎氏)。試作品を数多く作ることなく、立体的かつ詳細にポーズを確認することができるので、コストを抑えながら製品の品質を高めていくことが可能というわけだ。

 また3次元モデルで設計していると、さまざまな部署の人に意見をもらいながらの修正がしやすくなる。「立体にすると、いろいろなことが直感的によく分かります。たくさん意見をいってきて、修正リクエストの数はおびただしい数になります。設計者以外の人は、『もうちょっと斜めな感じ』とか、『もっとくびれさせて』とか、数値ではなく感覚的な言葉を使いがちですが、それであっても、3次元モデルを見ながらであれば意図を確実に汲みやすくなります」(大榎氏)。

 ここまでは、産業機械や家電の設計での3次元CAD活用の事例でもよく聞かれる感じの、ごくごくオーソドックスな話。

 しかし同事業部では、手描きのポンチ絵で部品詳細を考え、しかも2次元図面と組み立て図が、一切ない。同事業部では、一般的な製造業の設計セオリーに反した手段を取って設計している。「部品設計上での寸法公差はどうなるの?」「検査はどうするの?」「図面は保管しておかなくて問題ないの?」「ていうか、作業が面倒じゃないのーっ!?」と、さまざまな疑問を残しつつ、続きは次回で!


モノづくりを楽しみ倒せ!

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